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未来へ

 夜 学園からの帰り道


 みんながそれぞれの後始末の為に帰って行き、僕と紅緋はいつものように二人並んで歩いている。

「終わったね」

「うん。終わった」

「紅緋も帰っちゃうの?」

「ううん。帰らない」

 一緒に歩いていた紅緋は少し前に出て振り返り僕の目の前に立った。

「あたし決めたんだ! 自分がやりたいこと、思ったことをやってみるって。何もしないで悩んでるよりやってから悩もうと思う」

「う、うん。いいんだけど、どっちにしても悩むの前提なんだね?」

「そうだよ。何も問題が起きなければいいけど起きたときのショックを和らげる為の保険みたいなもんだよ」

「そっか〜」

 紅緋は今回のことで少し強くなった気がする。

「と、言うわけであたしが今、一番やりたいことはあれ!」

 紅緋が指差した方向を見るとアウトレットモールに併設した遊園地の大観覧車を示していた。

「えっ、あれって……」

 いや、どう考えても無理だよ。時間が殆ど動いてないのに観覧車に乗っても楽しいわけないよ。

「いいから一緒に来て!」

 僕の手を取り笑顔で走り出す紅緋。

 そんな紅緋を見て僕は思う。


 やっぱり僕は元気な笑顔の紅緋が好きだ。


 そしてずっとその笑顔を見ていたいと思う。


 大観覧車の下までやって来た僕たちは立ち止まり上を見上げた。てっぺんまで何十メートルあるのだろうか? ゴンドラが微かに動いているのが見て取れる。

「未來! 行っくよ!」

 紅緋は僕にそう声をかけると僕の手をしっかりと握り上へとジャンプした。

「わわわわーーっ!」

 僕は紅緋に引っ張られ宙を舞う。驚いた顔をしている僕に紅緋は優しい笑顔で言う。

「大丈夫だよ」

 僕と紅緋は下の方のゴンドラから順に上っていき、やがて一番上にあるゴンドラに到達する。そしてそのゴンドラの屋根の上に二人並んで腰掛けた。

 空には満天の星、眼下に見えるのは空の星を散りばめたような無数の街の光。まるで宇宙に二人きりでいるような気がしてくる。

「どう? すごいでしょ」

「すごいよ。紅緋はここのこと知ってたの」

「うん。未來と一緒に見たかったんだ」

 僕は街の光を見つめながら嬉しそうに話す紅緋の横顔を見つめた。


「また、来れたらいいよね」


 僕が見ていることに気づいた紅緋はほんのりと頬を赤く染めて答える。


「うん。何度も……、絶対だよ!」


 今なら僕のちっぽけな願いが宇宙(そら)に届く気がした。

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