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魔王家の動乱ー3 ノーグルーサと動乱の始まり

こんにちは。終焉の焔です。

贖罪その二です。

頑張りました。


「嫌な予感がするな」


叢雲により月明かりが掻き消されたのをみてノーグルーサは呟いた。


「おい、ペドラザ!ペドラザはいるか!」

「はい、お呼びでしょうか、殿下」


虚空に向かって叫ばれた言葉に反応し、一人の少女が現れた。

桃色の髪をした少女は凛とした声で返事をすると直ぐに跪いた。


「ビーン姉妹を連れて来てくれ、それが終わったら今日はもう休んでくれていい」

「かしこまりました」


少女はそういうと普通にドアから出ていった。

そこは現れた時と同じようにバサッと一瞬にして消えてもらいたかったが瞬間移動は体術の神髄であるため多用しすぎるのは体がもたないのだ。じゃあ、現れる時も使うなよ。


閑話休題。しばらくすると、扉が遠慮したようにゆっくりと開かれた。


「来てくれたか」


ノーグルーサはそう満足そうに頷くと扉の方へと歩み寄った。

少し開かれた扉からは遠慮程度に黄色の瞳が覗いている。


「…ノーグルーサ殿下。その……」

「どうしたのだ、ハリーファ?」


俯きがちに小声でいう少女――ハリーファに訝しそうにノーグルーサは尋ねる。

すると、少女は扉から飛び出した。


耳が尖っているショートカットの銀髪のエルフの少女。寝起きだったのか可愛い寝巻き姿はまだ垢抜けていないといったような相貌で胸も小さい。そしてあどけないとはいえ整った顔立ちに煌めくーー彼女から見てーー左が赤、右が黄色のオッドアイには涙が溢れんばかりに湛えられていた。


エルフの少女ーーハリーファ・ビーンは少し間をおくと一呼吸で言った。


「お姉さまはもう、お休みになってしまっているのです。だから、私が代わりに償いますからどうか、お姉さまはお助けください!」

「ちょっと待て、ハリーファ。いったい何のことか?」


事態を飲み込めないノーグルーサにハリーファは眉を顰めて答えた。


「殿下がこんな、夜分にお呼びになっているなど、ただ事ではありません。だから、私たちに業を煮えつくした殿下が断罪の鉄槌をおくだしになるのですよね?」

「何を馬鹿げた事を言うか?僕が、断罪の鉄槌を下す?馬鹿馬鹿しい」


ノーグルーサはそう言うとケラケラと愉快そうに笑った。それにハリーファは事態が飲み込めないままオロオロとしている。ノーグルーサはそんなハリーファの頭をポンポンと撫でるように叩いた。


「安心しろ、ハリーファ。僕はお前たち姉妹をとても大切に想っているしそれと同時にとても重宝している。だから僕がお前たちを殺すなどありえないし、業をにやすなど論外だよ。だから、安心してくれ」

「はい、殿下」


諭すように言い聞かせるノーグルーサの優しい微笑みにハリーファは安心したような表情を見せる。

それを見るとノーグルーサは話を元に戻した。


「で、本題だが」

「はい」


ノーグルーサの言葉にハリーファは気を引き締めたように向き直った。

それを確認するとノーグルーサは続ける。


「お前たちには全幅の信頼を置いている」

「はい」

「ここからは他言無用で頼むよ」

「もちろんです」


コクリと頷くハリーファにノーグルーサは満足そうに大きく頷いた。


「よし。お前たちにはスルターンの監視を行って欲しい」

「スルターンのですか!?」


ノーグルーサの言葉にハリーファはさぞ驚いたようで、目を見開いている。

ノーグルーサは頷くと話を進めた。


「ああ。あいつの異名は知っているだろう?」

「ええ、牽強付会の玄人ですよね」

「その通り。心の隙に入り込みそのものを自由自在に操るという。妹たちは今、精神的に不安定な状況だ。だから、今彼奴を妹たちの下に近づかせるわけにはいかないんだ。何をされるかわからないからね」

「でも、それだったら警護のほうがいいのではないでしょうか?」


幾分かトーンを落として語るノーグルーサにハリーファは疑問を投げかける。

すると、ノーグルーサは首を振った。


「いや、それではもしスルターンが何か企みをしていた時に障害となるお前たちを排除しかねない。お前たちの命を危険に晒すわけにはいかないからな」

「でも!」

「気持ちはわかる。僕もできれば警護にしときたいが。命は何にも変えられないからな」


食い下がるハリーファにノーグルーサは諭すように言い聞かせた。

するとハリーファはやりきれないといった表情で頷いた。


「了解しました」

「頼んだよ」


ハリーファは決意したような表情でこくんと頷くとそのまま踵を返した。

ハリーファがドアを出て行く時にノーグルーサはその背中を呼び止めた。


「ハリーファ。これだけは守ってくれ。命の危険が迫ったら逃げること。いいな?」

「はい、もちろんです」


その言葉は嫌に明るく、はっきりと聞こえた。


部屋に一人残されたノーグルーサはベランダに出た。

空は完全に闇色となっており、一縷の月光もない。


この先、全員無事にこの難を乗り越える事が出来ればいいとノーグルーサは月に届くばかりにただただ祈った。



書き終えて見て、ノーグルーサこんな口調でいいのかと思ったり思わなかったり。

ノーグルーサは一番話して欲しくないキャラの一人です。

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