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モブなので、関わらないで下さい  作者: 雨月 涙
幼少期編
6/7

5

ライラの歳を六歳から七歳に変更。

季節は巡り、春。私、ライラ・ティアードは八歳になった。


リウゴウ先生とルーシーは学園に入学したが、休みを利用して訪ねてきてくれている。

忙しいだろうし家庭教師を替えると提案したのだが……。なぜか無言の威圧ではね除けられた。解せぬ。


さらに。なんと、魔術専門の家庭教師にルーシーが立候補したのだ。

私としては嬉しいけれど……二人は大丈夫なのだろうか。


とも思っていた時期がありましたよ、ええ。それも杞憂だったけど。


だって、二人して学年一、二の成績なんて……。「心配するだけ無駄ですよ」と言っていた意味が分かったわ。



一方で、アレンの剣術は素晴らしく上達している。

彼の教師も、「教えがいがある」と喜んでいた。


キャメリアも順調に侍女の仕事を習得しているようだ。

最近では彼女にお茶を頼むことも増え、その度に「絶対ライラ姉付きになるから!ライラ姉、浮気しないでね!」と言ってくる。

それが可愛くて、つい頭を撫でてしまうんだよなぁ。


キャメリアが誇れる主人となる為にも、頑張らなければ!



        *



「……お茶会ですか?」


珍しいことに何も予定がない今日。私はお母様に誘われ、アフタヌーンティーをしていた。


「ええ。ティアード家(うち)の分家が行うらしいの。あなたが家の養女となったことを大々的に知ってもらうチャンスだし、社交界に慣れる為にも行って欲しいのだけど……」

駄目かしら?と首を傾げるお母様。


「……わかりました」



会場はナーチス子爵家。

子息が二人、子女が二人で、一番上の子息はすでに結婚している。

もう一人の子息は、最近子爵家に引き取られた庶子らしい。



諸々の説明や着るドレスを(侍女達が)選び、ついにお茶会当日。


会場に入ってしばらくすると、人影が近づいてきた。


「お目にかかれて光栄です、ライラ様。長男のヴィル・ナーチスと申します。本日は我が家のお茶会へ参加いただき、ありがとうございます」

彼は昨年結婚し、現在は爵位を継ぐ為に父であるナーチス子爵に付いて回ってるのだそう。


彼に続いて、長女、次女と順に挨拶をされる。

この姉妹は貴族の誇りが高く、自分より身分の低い者には嫌がらせをするから要注意……と侍女長に忠告されていた。

……確かに、品定めするかのような視線を向けられているわね。


彼女達の挨拶が終わると、その後ろから俯き気味の男の子が歩み出てきた。


「……お、お初にお目にかかります。……次男のフィオ・ナーチス、です」


「……ライラ・ティアードですわ。本日は、お招きありがとうございます」

速くなりそうな動作を抑えて、スカートの端を摘まんで礼をする。

すぐに引っ込んだフィオを庇うように前に出た長男のヴィルに続き、ナーチス兄妹は別の客の方へ向かっていった。


ヴィルの後ろをヒヨコのようについていくフィオを再度見る。


癖っ毛なのだろう、ウェーブがかかったようなキャラメル色の髪。深緑の瞳を縁取る睫毛は長く、華奢な体つきは(さなが)ら女の子のようだ。

というか、彼がドレスを着ていたら、間違いなく女の子に見えると思う。



「二人目の攻略対象と遭遇とか……」


それも、前世で私が合格祝いに攻略しようと思っていた(キャラ)とは。ナーチス家に聞き覚えがあったわけだ。



フィオ・ナーチスは、ナーチス家当主とそこに仕えていた侍女との間に生まれ、六歳で父方である子爵家に次男として引き取られる。

しかし、子爵の寵愛を受けられなかった子爵夫人は、侍女の面影残るフィオに辛く当たる。

さらに義姉達から様々な嫌がらせを受け、孤独な幼少期を過ごすのだ。


彼のルートはまだやっていなかった為詳しくはわからないが、小悪魔系年下キャラだったはず。


CMで「お姉さんは、愛してくれる?」って、一学年上のヒロインに迫ってたシーンが流れていて、それを友人に話したら、「あの台詞のあと、『ねえ、騙されちゃった?』って笑顔で聞いてくるんだよ。だから、あざと可愛い(小悪魔)系なんだよ」と然り気無くネタバレされて、かなり怒った記憶があるのだ。


ヴィルはフィオの味方っぽいけど、姉妹はゲーム通り……つまり、嫌がらせをしている可能性が高い。



「やるしかないわ……」


私は拳を握り、覚悟を決めたのであった。

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