表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/41

■最終話 指先で紡ぐぼくらの・・・



 

 

それは、高2のとある日。

ミノリと席が隣同士になって、すぐの事だった。

 

 

チラリ左隣を盗み見ると、相変わらず赤い顔をして窓の外を見ているミノリ。

ククク。と小さく笑い、ハヤトはつまらない授業をやり過ごす為にノートに

何気なく落書きをしていた。

 

 

最初は、ドラえもんを描き、ジャイアンを描き、スネ夫を描いてみた。

 

 

 

 

  (あれ。 意外に俺、うまいじゃん・・・。)

 

 

 

ドラえもんシリーズに飽きると、なんとなく自分の名前を書いてみた。

 

 

 

  ”後藤 速 ”


  ”後藤 速 ”


  ”後藤 速 ”・・・

 

 

 

ハンドルネームも書いてみる。

 

 

  ”mosso ”

 

 

 

音楽用語で ”速く ”という意味のそれ。

自分の名前と同じ言葉を見付け、メールアドレスなどにも使っていた。

 

 

ふと、ミノリのハンドルネーム ”グローブ ”を思う。

 

 

 

 

  (グローブって、なんだ・・・?)

 

 

 

 

毎夜の会話の中で野球好きとかいう話は聞いたことが無かった。

ノートに書き出してみる。

 

 

 

    ”グローブ ”

 

 

    ”ぐろーぶ ”

 

 

    ”glove ”

 

 

    ”GLOVE ”

 

 

 

 

   (・・・・・・ん??)

 

 

 

 

    ”G L O V E”

 

 

 

 

 

   (・・・・・・・んんん???)

 

 

 

 

    ”G  L O V E ”

 

 

 

 

 

 

    ”Goto Love ” ・・・?

 

 

 

 

 

   (・・・・・!!!!!!!!!っ)

 

 

 

 

大きな音を立て机に突っ伏して、真っ赤になるハヤト。

さすがにその音に、ミノリが顔を向けハヤトを見ている。

 

 

 

 『ゴトウ君・・・? 顔赤いけど、熱あるんじゃない・・・?』

 

 

 

そう声を掛けてくるミノリにノートが見えないよう、慌てて上半身で覆い隠す。

 

 

 

 

 

   (・・・・・・まじ、スかぁ・・・・・。)

 

 

 

 

照れくさくて仕様がなくて、その後は一日、ミノリの顔を見れなかった。

 

 

 

とある秋の日。

教室の窓から、初秋のやわらかい陽が眩しく溢れる午後のこと。

 

 

 

 

 

         指先で紡ぐぼくらの・・・

 

 

                            【おわり】

 

 


本編終了です。お目汚し失礼致しました。 引き続き、読み切りで【番外編1,2,3】【スピンオフ1,2】があります。 宜しければ、どうぞお付き合い宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ