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本格的に豆腐作りを勇者にやらそうと思ったら、なぜか叔母が朝から来てた。

〈カレーではない何か〉の生産で忙しいんじゃないですか。雇い主だから大丈夫なんですか。町娘の私と経営者の叔母は違うってことだな。

『マリアンヌが勇者様とまた何か面白いことを始めたって姉さんに聞いたから』

漏洩源は母ですか。弟妹に甘いのは血筋なのかな。

『今度は最初っから咬ませて頂きます』

私に手を抜かさせない気だな。ってか、根っからの商売人。

『うまく行ったらまた打ち上げしましょー』

泣いてばかりでエセ勇者かと思ってたらマジ勇者。叔母と二度目の飲みの約束するなんて。

『で、マリちゃん。どうすれば…』

お前その首の上に付いてるのは飾りか?頭なら使え!

「水ごとすり潰す?裏漉す?できるだけ細かく」

『了解』

勇者はピシッと敬礼して豆の原形を無くすべく奮闘し始めた。

私は、とりあえず叔母とお茶にするかな。


すり潰したり、温めたり、絞ったりでそれらしい豆乳とおからができたのは夕方であった。

叔母は豆乳を試飲して、ニヤリと笑った。

そうですか。売れそうですか。でも手間もスゴいよね。

おからは首を傾げてた。後でなんか適当な料理を作ってみるかな。余すところなく使い切ってこそだし。


ついに、勇者が思い切ってにがりを投入した。

ちょっと思い切り過ぎな予感がする。

固まってきたのを木ベラで掬って、木枠に入れた。父が何かで作らせて、うまく使えなかったのの再利用(笑)

板を置いて重石を載せて…しばらく様子見かな。

とりあえずタンパク質を固めるまでは成功だ。後は量の調整とか細かいとこを詰めれば、豆腐そのものはできそう。

その試行錯誤は勇者の得意分野だな。冷や奴を食べる夢を叶えるために頑張るだろう。

となると問題は大豆の生産高を上げること、にがりの継続的入手、それに製造ライン、何よりなま物であることか。

にがりに関しては叔母が何とかするだろう。海産物にも興味を持っていたから、海辺の街に新しい事業所を立ち上げるかな。従兄の修行として任せるって感じ。

製造ラインについてはいくつかのアドバイスで叔母のブレーンが開発するだろう。

うん。大きな問題の一つは大豆。でも、何となく原因はわかってるんだ。根粒菌と連作障害。

大豆が育つためには窒素固定する根粒菌との共生が不可欠だったよな、確か。

根粒菌はうまく育ってるとこから土ごと移植でイケるかな。連作障害はヒントをあげるだけで大伯母なら解決するだろう。

大伯母とのやりとりは叔母に任せて…うん。私が表に出ることなく商業ベースに乗せられそう。

豆腐がなま物であることは、食堂に直卸だけにすれば何とかなるか?料理レシピと共に。

豆腐とおからの料理はいくつかの見本のあと両親に任そう。前世の記憶が自由な発想を妨げそうだ。

なるたけ人に任せて自分の負担を減らす。これ重要。

ん?

なんか勇者が期待の目でこっち見てんじゃん。そのボールを拾ってきた犬みたいな目はなんだ。尻尾を振って誉めて欲しがってるように見えるな。

うーん。なんかを遠くに投げて、取りに行かせるか。

二度と戻って来られないほど遠くに。

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