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とりあえず、最初の試食会。
固くて苦い。にがりを思い切り入れすぎだ。
『苦っ』
『……』
「マズい」
翌日から、勇者は分量の調整と手順の見直しを始めた。ノートに事細かくメモをしている。
それを横目で見ながら、今後に向けての様々な話し合いを叔母とする。
おから料理としてはスープとクッキーを試作してみた。野菜スープに放り込んだだけ。一応、呉汁のつもり。油や砂糖があんまり使えないから悩ましい。試食は家族全員で行い、それに従い母が新たな料理を創作する。
勇者が豆腐を完成させた時には商業化に向けての道筋はできていた。
で、本格的な豆腐の試食だ。
勇者は豆腐を器に盛って、そのまま固まった。
『………マリちゃん』
「ん?」
『…かつぶしと………お醤油が無い』
「うん。知ってた」
笑顔で返す。
「醤油は発酵食品だから」
発酵には手を出さないって何度も言ったよね。
『かつぶ…鰹節は?』
「こんな内陸部で何を言います?寝言は寝てからにしなさい!」
叔母が居なきゃもっとボロクソに言えるのに、面倒だなぁ。
とりあえず、豆腐を一口。うん。これならイケる。
流通考えたら、もっと水分を絞ってそのまま豆腐ステーキができるほどにするか、いっそのこと高野豆腐に……ちっ冷凍庫ないや。
冷蔵庫の原理はわかっている。単に物理法則の応用だ。だからと言って、冷蔵庫を作る技術はこの世界にはまだないことぐらい知っている。
冷蔵庫の代用で一番簡単な方法は魔法で氷を作って簡易冷蔵庫にするか、魔法で直接冷やしたり凍らすことだ。だが、それは禁じ手だ。
この世界に魔法があるのは認めるが、何もかも魔法で解決するのは望まない。だいたい私には魔法は使えない。自分で使えないものは要らない。
ところで、さっきから『醤油、醤油』と騒いでるヤツがいるんだけど、うるさいから蹴り出していいだろうか?
どこかに勇者捨て山ないかな。二度と来るなって言っても、鳥頭なんだもん。




