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最終話 『邪神の頭』を狙う暴走魔王が本拠地へ襲来!? 快適な自堕落ライフを守るためミリオン軍勢で迎撃します

「キシャァァァァァァァッッッ!!!」


 魔女の森王国の王都――その遥か上空の空が、ねっとりとした赤黒い暗黒の霧によって完全に覆い尽くされていた。


 地下深くに封印されていた邪神の胴体と融合バグし、失われた『頭部』を求めて爆進してきた狂暴な邪神魔王。その身体から溢れ出た呪いの霧が、大気を汚染しながら、何万匹という漆黒の『黒いガーゴイル』の群れを大量発生させていた。


「間違いないねぇ。あれは邪神魔王の『眷属』さ。大昔に戦った時も、あの鬱陶しい羽虫どもを無限に生み出して国を滅ぼしかけたんだ」


 金髪の爆乳美女に擬態した魔女が、手鏡型の索敵魔導具を睨みつけながら苦々しく吐き捨てた。


「マスター! 眷属どもが城下街に近づく前に、私たちが前線で迎え撃つよ!」


 銀髪の美女フェイがナイフを構え、俺――アルトの元から一足先に弾かれたように飛び出した。


「我が神、冥界神様の眠りを妨げる羽虫どもめ。灰すら残さず消滅させてくれよう」


 背後に十本の呪われた暗黒の魔剣を背負った、我が社の誇る警備保障部門のトップ――『邪神(元・剣神)』の咆哮と共に、百万の超古代アンデッド軍が一斉に天空のガーゴイル軍へと襲いかかった。


 壮絶極まりない空中戦が幕を開ける。


 何億年も生きた伝説の化け物であるリッチが極大暗黒魔法を放ち、若返った魔女が魔導砲でガーゴイルの群れを次々と粉砕していく。


 そして――その最前線には、かつて我が社の天之尾羽張様に首を撥ねられ、リッチの地下工場で完璧な忠誠の社畜へと魔改造された、あの『クソ勇者』、『剣聖』、そして冒険者ギルドの『ゼネラルマスター』の骨格の姿もあった。


マスターのために……! 我が骨のすべてを賭して、不届き者を圧殺する……っ!」


 かつて世界最強とうたわれた強者どもが、今や食事も睡眠も文句の三大欲求も一切言わず、二十四時間年中無休、不眠不休で我が社の利益のためにガーゴイルを蹂躙していく。最高の他力本願、これ以上ないカタルシスだ。


「よし。フェイ、シルフィ。あの有能な新入社員どもに前線の羽虫(残業)はすべて丸投げ《・・・》だ。俺たちは眷属なんか完全に無視して、大元の邪神魔王を直接ワンパンで叩くぞ」


 俺は魔改造されたボア(バイク風)のシートに跨がり、鬱蒼とした森の獣道を、最弱のレベル1オーラのままのんびりと進んでいた。


 だが、地面の起伏が激しく、どうにも進軍速度が遅い。レベル1の貧弱な身体だ、ボアの振動だけでお尻の肉がまた悲鳴を上げそうになっていた。


「くそ、地上の移動はやっぱり遅いな。これじゃあ娼館の次のシフトに遅れちまう」


『ククク……冥界神様、ご安心ください。我が超古代文明の魔学技術を、ただの座り心地にしか注いでいないとでもお思いですか?』

 脳内にリッチからの愉快げな念話が響いた。


「……あん? どういうことだ?」


『ボアはいつでも、空を飛べるように改造してありますよ!』


「マジか!? おい、ボア! 飛べるのか!?」


「ブモオオオオオオオオンッッ!!!」


 ボアスケルトンが激しく顎骨がっこつを鳴らした瞬間、その骨の脇腹から、ステルス戦闘機のような『漆黒の三角の羽』がピキピキと音を立てて展開された。


 次の瞬間、ボアは凄まじい推進力を放ちながら、俺を背に乗せたまま垂直に天空へと飛び上がったのだ。


「うおおおっ!? めっちゃ快適! 空中バイクモードじゃねえか!!」


「あはは! マスター、すっごーい! これなら一瞬でトカゲの王様のところまで行けるね!」


 俺の肩の上で、手のひらサイズになって姿を消していた(インビジブル)金髪ギャル風の美少女シルフィが、楽しそうに羽をパタパタと動かす。


 一瞬で雲海を突き抜け、俺たちはついに、赤黒い暗黒の霧の真ん中で咆哮する、軽自動車の何十倍もの巨体を誇る邪神魔王と正面から相対した。


「オ、オオオオオオオオオオオオオンッッ!!!」


 理性を失った魔王の絶叫が空間を震わせる。


 邪神魔王は俺たちの姿を認識するや否や、この世の生物には決して聞き取れない、禍々しい超古代の未知の言語で、世界を滅ぼすための『究極の神聖暗黒魔法』を凄まじい速度で詠唱えいしょうし始めた。


 天空に、街を一つ丸ごと圧殺しかねないほどの巨大な幾何学模様の魔法陣が浮かび上がる。まともに発動すれば、この魔女の森王国すら木端微塵になるかもしれない、世界最凶の一撃。


 だが――。


 キィィィィィン――。

 世界から、完全にすべての光と音が消失した。


 俺が空中バイク風ボアのハンドルを握ったまま、腰の刀の柄にそっと触れただけ。


 主である俺の、そして我が社の利益(楽園)への明確な破壊の意志を感知した神殺しの神剣『天之尾羽張』の自動迎撃システム(安全運転)が、その神速の極限において作動したのだ。


 閃光が一閃。


「え――」

 それが、世界を滅ぼすはずだった最凶の化け物が遺した、最後の言葉だった。


 何が起きたのかすら理解できず、究極魔法を放つことすら許されなかった邪神魔王の巨大な首が、綺麗な放物線を描いて宙を舞った。


 大剣を掲げる前に、ただの一刀のもとに綺麗さっぱり首を撥ね飛ばされたのだ。


 主を失った空の魔法陣と赤黒い霧は、まるで幻だったかのように、一瞬にして影も形もなく掻き消えていった。格付け完了、圧倒的な勝利。


「……さて。こいつ、死霊術でアンデッド化したら、一体どうなっちゃうんだろうな?」


 俺はボアの上から、ゆっくりと地面に落下していく邪神魔王の『新鮮な最高級レア素材(死体)』を見下ろし、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。


 働きたくない最弱ニートの、飽くなき他力本願の好奇心。俺は無造作に右手を突き出した。


「【死霊創生ネクロ・ライズ】」


 ドクンッ!!!


 俺の『死霊術師UR』のバグ魔力が発動し、天之尾羽張様の神殺しの神気と融合しながら、邪神魔王の死体に吸い込まれていく。


 肉体が一瞬で融解し、純白の骨格へと変わる。立ち上がったのは――全身の骨に世界の因果律を歪めるほどの暗黒魔導回路が刻まれた、神話級の『邪神魔王スケルトン』。


「……オォ、オオオオオオオオオオオンッ!!!」


 その巨大な骨のバケモノは、流れるような美しい動作で、空中を浮遊しながら俺の前に深く頭を垂れた。


「……拝謁はいえついたします、我が唯一絶対の創造主、冥界神様。この至高の不滅の身体を与えてくださった御恩、一生の忠誠を以て、24時間年中無休、不眠不休で馬車馬のように働いてお返しいたします……っ!」


「おう、我が社へようこそ。お前は今日から、我が社の『インフラおよび特殊重機部門のトップ(社畜)』だ。これから始まる世界中の道路工事と、俺のマイホームのさらなる魔改造のために頑張ってね」


「御意のままにぃぃぃッッ!!!」


 その瞬間、大元のボスが我が社の社員となったことで、空中に残っていた何万匹ものガーゴイルの群れも、すべて自動的に我が社の『末端作業員ロボット』として完全配下化されたのだった。


「フハハハハ! 完璧だな! これでもう、この世界のすべての懸念事項は完全に片付いた!」


 俺たちは魔女の森へとめでたく帰還し、街の住民たちの大歓声に包まれながら、大団円だいだんえんを迎えたのだった。


 世界中のギルドの利益の1割が勝手にトラック数台分届き、

 経営と労働はすべて優秀な骸骨執事コンビやリッチに完全丸投げし、

 世界を滅ぼすはずだった邪神魔王や勇者、剣聖たちを全員アンデッド(社畜)にして地下工場や現場で不眠不休で働かせる。


 レベル1固定の最弱ニート、アルト。


 自分は指一本動かさない他力本願の極みで、世界一ホワイトな(自分にとって)絶対不働の最強ブラック不死帝国を完成させた彼は、今度こそ本気で、何一つ思い残すことなく、お気に入りの最高に魔改造された天国のような高級娼館へと、満面の笑みでバイク風ボアのアクセルを最大まで吹かして直行するのだった。

(――完――)

最後まで読んでいただきありがとうございました!


他にも異世界ファンタジー作品を多数執筆しています。

気になるタイトルがあれば、ぜひチェックしてみてください!(大幅にブラッシュアップしました! 以前読んでくださった方も、新鮮な気持ちでお楽しみいただけると思います♪)


本作のスピンオフです。シリアスなタッチは如何?

・断罪の鍛冶師 〜異世界の神剣と断罪の鉄鎚〜

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・魔物使いの異世界大陸平定記〜神々や大悪魔すら配下!? 規格外のテイム能力で異世界の理をぶち壊し、気づけば大陸全土を制覇していた〜

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・モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~

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・史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜

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・【改訂版】Sランクパーティーに捨てられたポーターは実は最強の空間魔法使いだった。~虐げられた世界に復讐して『ざまぁ』するんだぁ!~

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・悪逆無道の異世界冒険記〜テンプレ世界をぶち壊す! 邪魔な奴らは全員ざまあして突っ走る〜

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・復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する〜

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・異世界戦国記~戦国の世に大うつけ者で戦闘スキルが無いと追い出されたけど天下布武やっちゃうよ~

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