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38 謎の金属

38話を投稿します よろしくお願いします

王都ヴェルクロア。

城郭都市であるこの町は、城門から城まで一本の線を引くように主要通りであるグラン通りが流れている。


そこの中心に位置する中央広場には教会がある。


中央広場を起点として、


北へ行けば王城と高級店が立ち並ぶ貴族街。


東に行くと魔法の研究施設である魔導院が存在する。


今日は、中央広場から西に位置する職人街、勇者ユウヤと魔法使いフィナはそこに来ていた。


目的はもちろん王都とそれを取り巻く未だ謎多き品、聖剣の鍔の解明のためである。


鍛冶屋ゴードンの店。

ガン、ガン!!という音が工房に響いている。男たちが日々鉄を打ち続けている。匂いと熱気がこちらにまで伝わってくる。


「おお……」


よく鍛えられた武器に勇者ユウヤは驚嘆する。日用品で使うナイフから、冒険用の護身用の剣まで数多く取りそろえられている。


フィナはナイフの一つをとると、手持ちの紙を取り出した。縦に持った紙がすっ、と一直線に切れた。


「腕のいい……って噂は本当みたいね」


前にレックスがナイフを自慢していたのを思い出し、紹介してもらったのだ。


「レックスはそういうところ目ざといからな」


筋骨隆々の男がこちらに気づいた。汗を拭うと、やってきた。


「いらっしゃい。よく来たな、勇者。俺はゴードン。ここを取り仕切ってる者だ」


ゴードンは大柄な男だった。

太い腕にはいくつもの火傷の古傷があり、鍛え上げられた指先には鉄の匂いが染みついている。


「勇者って分かるんだな」


男はははは、と笑った。


「うちの工房じゃ、その噂で持ちきりだ。俺だってあの場にいたしな。そんな勇者がどうしてここに?」


「レックスが王都一の鍛冶屋って言ってたんだ」


「レックスが?そりゃ嬉しいもんだな」


ゴードンは太い腕を組み照れくさそうに笑った。無骨な職人らしい笑顔だった。レックスのことは昔から可愛がっているのだろう。


「それで、今日は何のようだ」


「ちょっと見てもらいたいものがあるんだ」


ユウヤは懐から昨日屋台でとった聖剣の鍔を机においた。


「ふむ、これがあの怪物を倒したっていう光の剣か。鍛冶屋としては少々気になるが……」


ゴードンはそれをしきりに観察している。


「しかし、お前。これ鍔だけだろう。本体はどうしたんだ?」


「それが……、俺が力をかざすと、光が延びて剣の形になるんだ」


ゴードンは鍔を見ながら驚いている。


「そんなことがあり得るのか……?」


フィナが口を開いた。


「私的には、魔力だと思うのよね。ほら、炎も魔力を込めれば出るでしょ?」


「それはそうだが、ではあの光は五大属性のうち何だったんだ?」


五大属性。それは、火、水、風、雷、土。

体から出る微量の魔力を呪文を唱えることで精霊の力を借り、火に変換できる。

水も風も雷も土もそうだ。それは子供の頃にみんな習うことである。


「火や雷みたいに光を放ちながら、土とか水、風みたいに質量のある剣を作る魔法ね……。」


「ありえない。纏わせて使う、ってんならわかるが、剣の形にしてそれを維持して使うって、どれだけ莫大な魔力を使うんだ。普通の奴がやったら一瞬で干からびるぞ」


フィナの手から火が出現する。


「私もこうやってやれば……」


ただの灯火がぐんぐん伸びていく。やがてそれは人並みの長さになって、剣の形と化した。


「剣の形を作れないことはないわ」


パチン、と炎が消えた。


「でも、魔力で形を作るなんて、とても割に合わないわ。普通に飛ばした方が簡単に威力をだせる」


ゴードンは目を丸くする。


「……嬢ちゃん、なにもんだ?」


その驚く様子に、ユウヤは頬を緩めた。

すいません。この人は例外なんです。おそらく王都一の魔力量を持つ才女なんです。


「でも、聖剣の光は、魔物が触れると消えてしまうという特性もあります」


「じゃあ、なおさらお手上げね。私でも見たことも聞いたこともないわ」


「ま、そんな都合いいものがあれば、剣なんて鍛えてる鍛冶屋はとっくに廃業だな」


ゴードンさんは腕を組み深くうなった。


「あの怪物騒ぎは俺も見てたが、考えれば考えるほどありえねえ」


確かにあの剣は怪物との戦いにて、城壁を越える長さはあった気がする。

なぜあんな桁外れの出力が出せたのか。ユウヤにはさっぱり分からなかった。


「魔法剣という技術ならうちでも少々作ったことがある」


「魔法剣?」


「ああ。海外には魔力を通す鉱石というものが存在する。それを仕入れて作ったことならうちでも何度かあるな」


「魔力を流して魔法、火や雷ををまとった剣を戦闘に応用することが出来るってことね」


フィナが納得する。


まあ、脆すぎて使い物になんねえ上に、魔法と剣術の両方を修めなければ使えねえ。あまり需要のない武器だな、とゴードンはもらした。


「しかし、ありえねえよな。これは何の金属を使ってるんだ?」


ゴードンが軽くコンコンと叩く。


「軽すぎる上に、それでいて頑丈。しかも魔力をよく通すときた。こんないい素材、仕事やってても滅多にお目にかかったことがねえ」


「……実はこの聖剣の鍔、他に二十五個あるの」


「マジか……」


ゴードンの手が止まった。


こんな幻の代物が、二十五個も存在する。さらに聖剣と言えば、勇者伝説における主要武器。

明らかに異常事態であった。


「私は、これは偽物で何らかのためにばらまかれた、という考えなんだけど」


「じゃあ、こんなものを誰かが意図して二十五本も作ったってことか」


「そうよ」


ゴードンは、ハハハ……と笑い始める。


「ありえねえ。ますますありえねえ。そんな凄腕の鍛冶屋がいたら、俺なんか足下にも及ばねえ。鍛冶屋の俺に分かるのはここまでだな。だが……」


そう言うと男は鍔をユウヤに手渡した。


「流通を探るのであれば港へいくといい。海外の品は必ず港を通る」


そう言われ、俺たちは鍛冶屋をあとにした。




続く。



ここまでお読みいただいてありがとうございます。

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次回もよろしくお願いします。

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