表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/57

ペナルティーレベル

 おとなしく席に着き作業に戻る。

 ついつい上級属性のペナルティーで稼げるスキルポイントのことを共有しようとしたが、羽村を含めたクラスメイトが敵になる可能性もゼロではないし、制限されたのはよかったのかも。

 悪い見方をすると上級属性の範囲攻撃を持った奴が恫喝外交をしてくるかもしれない。

 世界情勢における核攻撃だ。

 そいつか上級属性をちらつかせただけで誰もが従わざるを得なくなる。


「クラス転移というのは何人か頭がおかしくなる奴が出てくるからな}

 NPCを辻斬りしたり、クラスメイトですらPVPやPKの対象と見ている奴だっているはずだ。

 なにしろこちらで死んでも元の世界に戻れるだけと言っているのだ、罪悪感なんて感じないだろう。


 自分の弱点は秘密にしておこうと心に決めてスキル編集画面を見る。

 上級属性を大弱点にした後は基本の4属性も大弱点にして現在のスキルポイントは900だ。

 もうここまで来るとヌルゲーだ、なにしろ魔法はまだ残っている。


 スキル編集画面には200ポイントを超えた時から時間魔法と空間魔法が表示されている。

 時間魔法のペナルティーレベルを上げると画面の端に何か変化があったようだ。

 そこを意識して時間魔法のペナルティーレベルを戻すと、補助スキルの鑑定が現れる。

 時間魔法を使用不可にしたことで鑑定が使えなくなってしまった。

 同様に空間魔法のペナルティーレベルを上げると補助スキルの収納が使えなくなる。


「困ったな」

 鑑定や収納はレベルを上げたら早いうちに取っておこうとしていたのだが、使用禁止にしてしまうとまずペナルティーの解除からしなければいけない。

 ペナルティーレベルは3まで上げる予定なので、ペナルティーを消すためにはスキルポイントが100必要になる。

 それなら初めからペナルティーを付けるべきではない。


 他に何かないかとスキルを探す。

 レベルキャップ開放は200レベルでカンストするレベルをスキルレベルごとに202,220、400へと開放するスキルだ。

 ペナルティーを進めるとレベル制限となりペナルティーレベルごとに198,180、1になる。


足りないスキルレベルは100だから、ペナルティーレベル3まで上げるつもりだがレベル制限が1になるのは何にもできなくなる。

 詰み詰みの詰みだ。


 他にもMP増加のペナルティー。

 0になるからダメ。


 HP増加。

 0になるからもっとダメ。


 MP消費軽減。

 これはいけるか? 魔法は使わないし。

 ペナルティーレベル1でMP消費増加になったが、ペナルティーレベル3まで進めると常にMP消費に変わり、魔法を使わなかろうが致命的な欠点になってしまった。


 獲得経験値増加。

 獲得経験値減少に変わって、100%減少になるんだろうな、と思っていたらその通りだった。


 視力強化、

 聴力強化。

 味覚強化。

 触覚強化。

 嗅覚強化。

 どれも、ペナルティーレベル3まで上げると感覚を失う。

 味覚嗅覚あたりを一時的に失っても取り戻すのにスキルポイントが100必要だ。

 補助スキルからも料理や索敵などが消えていく。

 見知らぬ場所で毒や傷んだもの、ガスなどに無警戒になってしまうのも危ないだろう。


「ヌルゲーはどこに行ったんだよ」

 補助スキルなどは個別の魔法などと同じでペナルティーを設定することはできない、使えないか使えるかだけだ。


 いよいよ意地になったおれは五感の強化を全部ペナルティーレベル2まで上げ、50スキルポイントを獲得する。

「あと50」


 HP増加、MP増加、MP消費軽減もペナルティーレベル2にした。

 レベル制限もだ。


 全てにおいて90%の男となってしまったのだが、まだあと10ポイント足りない。

 最後に能力値をオール5からオール3にした。

 魔法を使わないので知力を1にしてもよさそうだが、判断力などにも影響しそうなので平均的に弱くなった。

 これで90%の男が60%の男にグレードダウンだ。


 ついに1000スキルポイントを獲得したおれは、所有経験値増加にカーソルを合わせる。

 手が震える、何か致命的な見落としをしているんじゃないか、スキルレベルが2に上がっても所有経験値10%増加にならないんじゃないか。


 そもそもランダムと言っている以上狙ったスキルが上がらないんじゃないか。

 先生は選んだスキルからと言ってはいたが・・・


 ごちゃごちゃっとしたスキル画面を見て何かの特化型ならこの画面もすっきりしているんだろうなと思う。

「あ」


 おれは手を上げて質問をしようとする。

 しかしその手は押さえられて、押さえた手はいつの間にか近くに来ていた先生だった。


「個別に聞きますよ、質問をどうぞ」

 ふわっと笑う先生からは何の悪意も感じないが、なにか個別にする理由でもあるのだろうか?


「選んだスキルのスキルレベルを上げてくれるってことでしたけど、ペナルティーレベルは含まれるのですか?」

 ペナルティーレベルもおれが選んだと言っていい、ランダムがそこから選ばれたらペナルティーがちょっとだけ解消されたペナルティーだらけのおれが出来てしまう。

 いや、上昇だからペナルティーが増加される恐れもある。


「それも面白いですけど、わたしが言った言葉通りならペナルティーレベルは含まれないですね」

 それを聞いてホッとしたおれは気になったことも聞く。


「なんで個別になったんですか?」

「ペナルティーレベルの事は気づいていない子もいますからね、自分で気付いた子だけの選択肢としておきたいんです」

 先生は目を伏せる。

 おれがペナルティーレベルの質問をすればそれがヒントになるってことか。

 ヒントというか答えだな。

 さっき相談禁止になったのも独自性を重視したのか。


「ありがとうございます」

「いえいえ、何かあったらまた聞いてくださいね」

 先生は教壇の方に戻っていった。


 もうやるしかない。

 これでダメならおれがバカだったんだと思ってリタイアしよう。

 マウスに力を込めて、所有経験値増加をクリックする。

 文字がハイライトされておれの選択を確定する。

 画面をスクロールして、最下部のスキル選択終了を押すと画面が暗転して電源が落ちたようだ。


「全員終わるまで待つのか」

 ヒマつぶしのためにスマホを取り出したがネットには繋がらなかったのでダウンロード済みの電子書籍をパラパラとめくる。

 スマホの画面外がぼやけたと思うと先生がスキル選択の終了を告げる。


 ずいぶん早いな、キャラクター作成なんて何時間もかける人だっていそうなのにな。

 画面外がぼやけたのは時間の流れが変わって、全員の終了時間を合わせた為なのかも。


「はーい、皆さんスキルの取得は完了しましたね。

 今後も今より限定的になりますがスキルの編集はできますので、レベルアップしたらスキルの編集画面を開いてくださいね」

 限定的になるのか。

 ペナルティー系は後付けできないかもな。


「スキルポイントを持ち越して終了した人もいますね。スキルレベルのランダム上昇を見越しているんでしょうね」

 それも頭いいな。

 剣技とか火魔法とかをスキルレベル2で取っておけば確定で使いたいスキルをスキルレベル3にできるんだな。


「今からランダムのスキルレベル上昇を適応します。スキルレベル1を獲得した人は一旦外した方がいいかもしれませんよ」

 一瞬景色がぼやける。

 スキルの編集をやり直した人の待ち時間を短縮したのか?


「はい、スキルレベルを上昇しました。ここからはわたしの手助けはありません。どうぞ楽しんでくださいね」

 一瞬どころではなく景色がぼやける。

 旅の扉のように景色がうにゃうやしていき、気が付くとおれたちは丘の上の草地にみんなで座っていた。


「始まったのか」

 丘からは近くに大きな街が見える。

レベルキャップ開放の数値を変更しました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ