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ニューゲーム

よろしくお願いします

 その日、おれたちの先生が変わった。

「あなた方には異世界で冒険をすることができます」


 変わったのは世界。

 おれたちは、異世界に転移したのだった。


「まず心配されていることは、もとの世界に帰れるかということでしょう」

 その先生は一番気になることを最初に切り出した。


「帰れます」

 教室から、ホッとした声が漏れる。


「ゲームのように考えていただけるとゲームオーバーになった人は、元の世界のもとに時間に戻ります。

 こちらの世界で一か月以内にゲームオーバーになった方は全く同じ時間、それ以上の期間を過ごす方は相応の時間を失踪したことになりますが、

関係者の認識が失踪したことに適応しますので事件になることはありません」

 適応というのは元々いなかったことになるのか?

 留学中とか一人暮らしみたいに。


「失踪後に復帰した方は認識の適応が個別に設定されることになりますが、学生としての勉強が遅れる事くらいしかデメリットはありません」

 それが重要なのに、と顔をしかめたクラスメイトもいたが、そういう人は一か月以内にリタイアすればいいだけの話だ。


「よろしいですか? 話も聞きたくないと言う方は今すぐ元の世界に返すことも可能です」

 その言葉に1人の女子が手を挙げて数秒後に頷くと教室から消えた。

 一か月以内であればこちらで遊んで帰れるのに、それすら馬鹿らしいということなんだろう。


「よろしいですね? なぜあなた方が呼ばれたか気になる方もいるでしょう。

 簡潔に言いますとあなた方の中に特別な才能、仮に勇者と呼びましょうか。

 その勇者の種子を持つもの、勇者に寄り添うもの、こちらはパーティーメンバーですね。

 従者、盟友、賢者、聖女など色々な要素を持つものががあなたたちの中にいます」

 従者ってなんか、身分差を感じる。

 しかたないか、相手は勇者だし。


「だれが勇者かというのは今はわかりません。

 勇者ということに胡坐をかいて鍛錬を怠れば勇者の種子も萌芽することはないからです。

 勇者でなかったとしてもこちらの世界の一般人よりかなりの才能をプレゼントしますので生活に苦労することはないでしょう」

 チートか? チートなのか?


「ここからは個別に時間を使ってもらいます。

 いわゆるキャラクターメイキングですね。

 ステータスボードを配りましたので、各々自分自身のスキルを設定してみてください」

 先生? が言うと机の上にノートパソコンが現れる。

 マウスも付いていて、画面にはおれの名前「遊佐 蕗」とスキルと思われる文字列がずらっと並んでいる。

 カーソルをロールオーバーさせるとスキルの説明が現れ、説明の中からも語句の説明や他のスキルに飛ぶこともできるようだ。


 剣技、槍技、斧技、弓技。

 火魔法、水魔法、風魔法、土魔法などの物理攻撃や魔法攻撃。


 鑑定、収納、隠密、索敵他色々な補助系。

 能力値の振り分け、能力値は攻撃、防御、知性、精神、敏捷の5つだ。


 攻撃、防御は物理系。知性、精神は魔法系のそれぞれ攻撃と防御になる。

 ためしに能力を振り分けてみると、攻撃が10を超えると剛力というスキルが選べるようになった。

 防御では頑強、知性では精度、精神では忍耐が選べるようになり能力値の上乗せをするスキルのようだ。

 敏捷では俊敏が選べるようになり、確認後に数値を戻しているとマイナスのボタンを押しすぎて数値がマイナスになってしまった。


 するとスキルポイントの消費の数値がマイナスになりスキルポイントの返却という表示に変わる。

 元々の能力値はオール5だったが敏捷を1まで落とすと鈍足というスキルが現れた。

 行動に制限がかかるほどのペナルティーである代わりに相応のスキルポイントが返却されるらしい。


 元々使えるスキルポイントは100ポイント、スキルのペナルティーを進めると鈍足レベル3で総スキルポイントが204になった。

 鈍足スキルの説明ではスキルレベル1で1%の減速とありスキルポイントが1返ってくる。

 調子に乗って進めていたらスキルレベル2で10%減速、スキルレベル3では100%の減速になってしまった。

 さすがにこれはない、ないんだけど返ってくるスキルポイントも相応で100%の減速では100スキルポイントが返ってきた。

 敏捷を1減らすごとに1ポイント、鈍足レベル1で1,レベル2で9,レベル3で90返ってきて元と合わせて204だ。


 スキルポイントが200を超えると、画面に表示されるスキルがいくつか増える。

 その中には時間魔法、空間魔法などもあり、説明には転移や巨大インベントリ、予言や死に戻り、セーブとロードなどもあった。

 使用するためには時間魔法を覚えたうえで個別の魔法を覚えなければいけないので今覚えるのは現実的ではないがチートに相応しい魔法だろう。


 手当たり次第にスキルポイントの返却をしていると、スキルポイントを1000取得したところでそのスキルが現れた。


 所有経験値増加。


 一見大したこともなく見える、しかしコストの膨大さから言ってもこれがゴミスキルの訳がない。

 箸も持てない、扇風機の風に当たるだけでHPが減り続ける。

 ミジンコよりバカで、金魚すくいのポイよりも弱いメンタルな上、1歩も動けなくなっても500ポイントちょっとしかもらえないのだ。


 それが2倍必要なスキルだ。

 「先生バグっています」と言いたいけどあの先生はおれたちの思考もリアルタイムでモニターしている。(たぶん)

 本当にバグなら今ここで修正を入れるはずだ。

 そう思って先生を見るとニヤッと笑って頷いた。

 やっぱりだ、これはバグじゃない。


 スキルの説明には1日に一度所有経験値を1%増加させるとある。

 大雑把に言って10日に1割、いやもっとあるな。

 ノートパソコンには電卓も表計算ソフトも付いている。

 ためしに1に1.01を掛けてその答えに1.01を掛けることを繰り返してみる。


「少なっ」

 10日で1割以上あると思っていたのに10日目に出た数字は1.094。30日まで進めても1.335にしかならない。

 30日はこちらに残るか元の世界に帰るかの区切りの日、そこまでにはこちらでやっていけるかを見極めたい。


 返却されたスキルポイントを再投入して元に戻し無難なスキルを選ぶ。

 割り振りとしては10ポイント使うスキルレベル2を9個、1ポイントで取れるスキルレベル1を10個取るのが良さそうだ。


 特化していないのでエンドコンテンツはお断りされるだろうけど、パーティーメンバーがどうなるかもわからないので極端な構成はやめておく。

 火魔法、水魔法、風魔法、土魔法をそれぞれスキルレベル2にすると氷魔法と雷魔法、さらに光魔法と闇魔法が解放された。

 条件としては火魔法と風魔法をスキルレベル2にすると雷魔法、水魔法と土魔法で氷魔法。

 同様に火風土で光魔法、水風土で闇魔法のようだ。


 追加された4属性の魔法はスキルレベル1を取るために10ポイントもかかる。

 基本の4属性をスキルレベル2、追加の4属性をスキルレベル1にすると全属性が取れるが、20しかポイントが残らないので難しい所だ。


 魔法の属性を選ぶと、個別の魔法を選べる。

 火魔法のスキルレベル1では着火ファイヤー・・・のみだ。

 他の魔法も給水ウォーターそよ風ウインド小穴アースなど直接戦闘には使えない。


 スキルレベル2でやっと火弾バレットのような攻撃呪文が出てくる。

 取得に必要なポイントは、スキルレベルを上げた時と同じ9ポイント。

 回復キュア風蛇バインド堅牢アーマーと回復、デバフ、バフが揃って戦うことはできる、が。


「チートか? これ」

 チートというほどの強さは感じない。ここまでやってやっと魔法使いとして働ける。

 それなのに、スキルポイントは大部分を使い切ってしまった。

 4属性の適性を2レベル得るのに40ポイント、8種類の魔法を覚えるのにまた40ポイントだ。


 残ったポイントで、MP消費軽減かMP増加もスキルレベル2で取っておきたい。

 あとはこまごましたものしか取れないから、鑑定とか収納とか何かの武器をスキルレベル1でとって、残りは能力値かな。


「先生、質問良いですか?」

 クラスの女子が手を挙げた、紀先きさきか、クラスの中心グループにいる明るい子だ。

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