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カウントダウンとストップウォッチ(旧ver)  作者: wacca
七章 本当のこと
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1話 海を感じて海に感じて

 もう三、四日大学には行っていない。単位を取れないとまずいが自分でなんとかなるだろうと油断している。もう心はずたずたなのだ。私はこの五年間なにをしていたのだろう。誠が事故にあって、悲しくて寂しくて泣きに泣いた一年目。御厨くんという居場所におぼれ始めた二年目。おぼれに溺れた三年目四年目五年目。私は寂しさのあまり、本当に大切にすべきだった一点を見失っていたのだ。大好きだった誠。寂しいからにてる人に思いを寄せた。それで幸せになるのは私だけだ。自己の幸せを求めたあまり、自分だけでなく、大好きな誠を。そしてまがい物だったかもしれないしれないけれど確かに愛した御厨くんを不幸にしてしまった。「身から出た錆」ですむ話ではない。私という一点から出た錆は回りに広がって行き、私に関わっていた所すべてを錆でそめてしまったのだ。御存知の通り、錆というのはなかなかとれない物である。こういう場合の錆もなかなかとれない。しかも私は私だけでなく回りの二人にも錆を広げてしまったのだ。後始末に困る。あぁ頭が痛い。こんな時は前だったら思考を停止するという必殺技があったのだが先例のせいで現状になっているのだ。さすがに私だって過去の経験はある程度参考にして行動する。だから考えざるを得ないのだ。そもそも大きな後悔というのは大きな波となって心に押し寄せてくるので、なかなか無視はしていられないのだ。しかし、もう考えたくないと言うのが正直な意見だ。もういい。まだこんな時間だがもう寝てしまおう。それか、いっそ...

気が着けば私は駅のホームにいた。一瞬あの世行きの列車に乗るか、家に帰るか迷った。しかし第三の案を思いついたので私は電車に乗った。もはや帰宅のラッシュもすぎた電車の中。窓には自分の顔が映っていた。昔父親と行った海浜公園の最寄り駅で下車する。大学生とはいえ私ももう補導されるような年齢ではない。少し歩いて海に出た。砂浜に入る門は閉まっていたので、さくを乗り越えて入った。1人、真っ暗な海岸によこたわり目をつむる。波の音、風の声、砂の感触、海の香りが、私の脳内をたちまち占拠していく。目を開いて夜空を見上げると、星空が広がっていた。宇宙のどこかへ消えてしまいたい。火星でも水星でも月でも冥王星でもいい。そう思った。どのくらいそうしていただろうか。駅に戻ると、終電はとっくに終わっていた。父親に「大学に泊まる」といってごまかし、私は再び海に戻る。スマートフォンの時計を見ると午前一時を回っていた。静かな世界だ。スマートフォンのライトを使って砂浜を少し移動して防風林の木の下に腰を下ろして海を眺める。静かな世界だ。私は回りに人がいないのを確認し、服をぬぐ。下着も一緒に木の下に畳んでおいておく。今は自由になりたいのだ。裸のまま砂浜を横断し、そのまま海の水に、足から入っていく。春は過ぎたとは言え、まだ夏にはほど遠い今日この日。かなり冷たい水が体の上の方へと上がっていく。だんだんと深い方へ足を進める。水が腰より少し上に来たところで腰を下ろす。ちょうど肩まで水がくる形だ。波がくるとお尻の辺りから砂が持って行かれる。髪をほどく。ぬれていくがそんなことは知らない。海からあがった後しばらく体を乾かすべくそのままで砂浜を歩いていた。ここ数日ずたずたになっていた心がだいぶ落ち着いてきていた。少しだけ心に余裕が出てきた私は少しだけ恥ずかしくなり、先ほどの木の下へ戻った。風が何も身につけていない体に当たって心地よい。

 気がつくと遠くの空が紫色になっていた。いつの間にか寝ていたようだ。背中に着いた砂を払い、夜に脱ぎ捨てておいた服を着る。一夜を何も身にまとわないで過ごした体は、少し冷えていた。洋服が少し暖かくて気持ちよかった。

 始発で家に帰る。父親を起こさないようにそっと自分の荷物を取りに行き、近くのコンビニでサンドイッチをかって食べる。今日も大学で授業がある。さあ行こう。がんばれ、私。

ブックマークが三件。そして総アクセス回数が300を突破致しました(*^▽^)/★*☆♪みなさん本当にありがとうございます!

あと2~3話です!頑張ります!次回は明日2020,5,28中に投稿する予定です!お楽しみに~(^^)

                    wacca

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