私兵偽造でございますか?
優はハッとすると
「あ、このお店のここ」
と駅の売店の上の看板の端を指差した。
「切れてて全部の文字見えないけど多分店名だと思う」
リリアも顔を近づけ
「白い線が引いていますね」
と答えた。
優は慌てて机に行くと紙と鉛筆を出して上が切れている見えている部分だけを書いた。
「縦棒にこの小さなケは分かる上に向かって線があって…縦棒と貝の下みたいなの」
そういう駅名を探せば良いんだ
二人はそれを手掛かりに近くの駒沢駅へと向かった。
歩いて10分。
土曜日ということもあって家族ずれが出掛けている姿がパラパラと見受けられた。
優は駅の運賃表の駅名を見ながら
「恐らく三文字」
と言い、一か所を指差すと
「あれだ」
と告げた。
「千ヶ瀬駅」
リリアは笑顔で
「確かに小さな文字が同じでございます」
と答えた。
優は切符を二枚買ってリリアと共に青梅行きの列車に乗り込んだ。
その駅の売店は数時間前に秀美が訪れた場所で優とリリアは到着すると駅の売店をみて
「間違いないここだね」
と顔を見合わせた。
優は考えながら
「それでー、先の映像の男の人が何処へ行ったかを探れば良いんだよね」
と呟いた。
「テレビのドラマでは駅のカメラで改札抜けるとか見てるんだけど」
そういうのきっと見せてもらえないし
リリアは優に
「そこはお任せください」
と言い
「ここの地の記憶を呼び起こしましょう」
と告げた。
「と言いましても時が分れば良いのですが」
優は驚きながら
「すごーい」
リリアの魔法だね
と言い
「あのね、昨日…リリアに見せてもらったの5時30分くらいだった」
と告げた。
リリアは頷くと
「かしこまりました」
と告げ
「エアインネルング」
と唱えた。
すると、色の薄い人々が行き交い始めたのである。
優は目を見開くと
「凄い」
魔法だ!
「魔法」
と目を輝かせた。
が、切符を買おうとしていた男性が自分と重なるように伸びる薄い透明の手に目を見開きギギギとその薄い色の人間を見た。
「…ひっ」
駅員も薄い色の人間が行きかうのに後退るようにして、椅子に足を引っ掛けてしりもちをついた。
「ゆ、幽霊!」
数は少ないが人々がおののきながら駅舎からワタワタと逃げ出したのである。
優はその様子を見てリリアをぎこちなく見て
「…もしかして…僕たちだけが見えるって訳じゃないの?」
と聞いた。
リリアはにっこり笑うと
「はい」
とさっぱり答え
「エアインネルングは空間の水がその記憶を映し出す術なのでそこにいる者全員に見えるものです」
と告げた。
…。
…。
優は周囲で「幽霊!」「怪奇現象!」「異界の歪み!」と騒ぐ人々を見回して
「…うん、そうなんだ」
と辛うじて答えた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




