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春恋しさに盗むもの
寒空の下、木々の間を通る。
「ときにアニー殿エリー殿。このあたりの精霊からなにか感じますか」
「精霊から、ですか」
メルベクさんに聞かれ、精霊を感じ取ってみる。
「春が待ち遠しいという感じですかね」
「なるほど。やはりですか」
メルベクさんが続ける。
「おととい雪が降りましたからな。春を恋しく思っていた可能性があります」
「それで急ぐ気持ちがあったんでしょうか」
エリーと競走したのも、もやもやの影響を受けていたとも考えられる。
「時計にとりついていたのも時間を少しでも早めたかったのだと思いますよ」
「時間泥棒が出たんでしょうか」
「はい。昨日の昼過ぎから時間の流れを速く感じましたから、可能性はあるかと」
もやもやの怖さを再認識して、桜並木を通り過ぎ、山小屋に到着する。
「…そういえばメルベクさんやドギーさんはどうやって空を飛ぶんですか」




