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守護様の遊び

 ダー君から聞いたフレイヤお姉さんのいる場所は、ウォードにはすぐに分かった。さすが警備さん。


「そういえば、にゃーごちゃんも来てるの?」


 知らない、とウォードが首を横に振る。

ぴぃちゃんと違って、美猫様は気ままがお似合い。こんなざわついた庭にはいらっしゃらない感じがする。



「カラスは?」

「ぴぃちゃん、来てないよ」


聞いたダー君が残念そうにする。


「ダー遊びたかったのに」

「でも昨日も遊んだよね」



 どこにいてもクリスティナが「ぴぃちゃん遊ぼ」と呼べば「しゅたっ。ぴぃ参上!」と、すぐに来てくれると思う。

でもぴぃちゃんにも「おひとり様時間」は必要だから、今日は呼ばないであげる。


 そのかわり私がダー君に振り回されて疲れた時には、絶対に呼ぶからね。



「私がいるのに、たりないの?」


ダー君ったら贅沢なんだから。


「狼は狼だけ、クリスティナとカラスはセット」


 おっと、ただ人の私が守護様と同等の扱いということで、よろしいでしょうか。ぴぃちゃんより私が偉いみたいに聞こえます。



それまで控えていたウォードが、口を挟む。


「アガラス家の当主を見かけました。守護クサリヘビ様もご一緒かもしれません」 

 


 ダー君の背筋が伸びる。ペタッとした膜のような羽根を広げるのは、探しに行く気満々の証。


 あちら様はどうか分からないけれど、ダー君はクサリヘビのずるちゃんが好き。

ヘビの首を掴んで全身巻きつかれた状態での最高に嬉しそうな笑みは、クリスティナの記憶に鮮明である。どちらかと言えば悪夢寄り。



 ダー君がそわっとする。クリスティナをチラ見。そわそわ。

分かりやすい態度には、こう言ってあげるのが正解でしょう。



「探して来たら? ダー君。お姉さんのところへはウォードが連れて行ってくれるから、大丈夫。ずるちゃんとこ行ってきて」

 

 ダー君の輝きを増した瞳は、永遠の輝きと称されるダイヤモンドよりピカピカだ。


えっへんと咳払いして。


「山猫の。もとひがお待ちぞよ。その命にかえてもクリスティナを護衛するのよ」



 お顔に似合わない重々しい口調はクリスティナには笑いの種。

しかしウォードは真摯に受け止め、軽く一礼までした。  



「賜りました。お任せください」

「うむ。『山猫の』名は?」


 ダー君、ウォードのお名前、前から知ってるよね。会話にいくらでも出てたよね?

頭の中に疑問符が次々浮かぶクリスティナを放って、ひとりと一守護の会話は進む。



「私の名はウォード・ハートリー。ハートリーの嫡男です」



 ダー君に「あからさまに値踏みをするような目はやめなさい」と注意すべきかな。

 クリスティナが迷う間にやり取りは続く。



「ああ、皆はそのように呼んでいたか。ウォード・ハートリー、今後も聖王家によく仕えるように」

「はい」


 ウォードには大人のような話し方をしたのに、クリスティナに向き直ったダー君は普段通りだった。



「クサリヘビを捕まえてくる。そしたらクリスティナも一緒に遊ぶのよ」

「うん、分かった」


 ずるちゃんかあ。ちょっと性格も分からなくて、楽しく遊べる気がしないんだよね。出会いがよろしくなかったのもある、あちらも嫌がっていたような気がするし。



 クリスティナはダー君のいなくなったあたりを睨んだ。


 ずるちゃんはダー君と遊びたくないかもしれない。だとしたら頑張って逃げてね、陰ながら応援します。



そして、分かっちゃってるよ私。


「ダー君と離れたいからって、ずるちゃんを犠牲にしたでしょ、ウォード」

「さて」



まったく心当たりのない風を装ってハートリーの嫡男は小さく笑った。



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