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勇者と愉快な仲間達と少女、魔王を倒す旅に出る  作者: 逆張りオタクの天照大御神


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10/10

新たな時代の幕開け


「クソッ、何がどうなってんだよ…!あの約束は、嘘だったのかよ…?」


「……とにかく今は、この状況を整理するのが先だ。ブーカ」


『はい、ここに』


「状況はどうなっている、兵はどれくらいいる?」


『手強いには手強いですが、今の所は死傷者は出ていません。兵は私の軍隊だけです』


「流石だな、それで魔王軍が現れたと言ったが魔王はいるか?」


『兵の情報によると、魔王と名乗っている者はおります』


「そうか、有難う。お前は国民の避難を最優先に動いてくれ」


『分かりました、ではお気を付けて』


「ああ」


 ブーカとの通信は途切れた。


「魔王の奴、一体何を考えてんだよ…!」


「落ち着けラン」


「これが落ち着いていられるかよ!」


「僕も魔王が再び進行を始めたのは驚いているが、奴は名乗りを上げるタイプではない」


「…!確かに、そうだった…」


 勇者として過ごした日々、そして相対した日のことを思い出せば魔王が名乗る真似をするとは考えづらい。


「僕は王城に戻って国民に避難を呼び掛ける、お前は」


「一々言わなくても、分かる」


「…!なら、頼んだぞ」


「ああ!」


 レンは一人、王城に向かう。


 そしてランは、魔王軍が現れたと言われた西門へと走り出した。


 魔力があまり残っていない為、時間は掛かったが西門に到着。


「ブーカ、状況は!」


「ラン様!状況はお伝えした通り、変わらずでございます」


「分かった、ここは俺が受け持つからお前らは国民を避難させろ」


「…良いのですか」


 ブーカも魔法を扱う者、ランの魔力の無さはすぐに分かる。


「心配すんな、これでも元勇者だ。この程度の魔物ぐらいは相手出来るさ」


「……ご無理はなさらず」


「安心しろ、もう充分無理してる」


「ははっ、またレン様に怒られますぞ」


「そん時は、そん時だ!」


「それとラン様」


「何だ?」


「その少女は何故、ここに」


「……」


 少女なんて連れて来た覚えのないランが、横に目を逸らすと同じように横に目を逸らしているロロンがいた。


 じっと見つめると、こちらが気になるのか目を少しだけ向けてきた。


 しかし、すぐに目を逸らして気付かないフリをされる。


「おい…」


 呆れた声で話し掛ける。


「だ、だって!」


 呼び掛けに振り向いてしまい、「何やってんだ」と言いたげな目に唸り声を上げる。


 二人の問答を見て、父のことを聞きたかったロロンは思わずランに付いて来てしまったのだ。


「ったく、来ちまったもんは仕方がねぇ」


 いくら傍若無人のランでも、泣きそうな少女には弱いらしい。


「い、良いんですか…?」


「ああ、だがお前も戦えロロン」


「わ、私もですか!?」


「いやお前は戦えるだろ」


「無理です無理です!」


「無理って、そんな訳無いだろ。お前、俺のことを殴り飛ばしただろ」


「あれは貴方が―――って、そうだったー!?」


 どうやら殴られたことを思い出していたらしく、ロロンは遂に問い詰められてしまうと頭を抱えて屈む。


「殴らねぇから、代わりに力を見せろ」


 そんなロロンを諭すように、同じように屈んで同じ目線で話す。


「そ、そんなことを言われても…」


「じゃあ殴られるか?」


「やりますやります!」


「よし、行け!ロロン!」


 ランが見たいのは怯えている少女の姿ではなく、少女の力だ。


 回復魔法も、その一端ではあるものの自分を一回で気絶させた拳に興味があった。


 確かに少女に殴られて気絶したことは不快ではあるが、それ以上にロロン・ディッセンバーと言う少女が気になるのだ。


「はい!」


(魔物を殴ったことなんて無いけど、殴らないと私が殴られる!)


 危機感を抱いた事で身が引き締まったロロンは、早速迫りくる魔物達に立ち向かって行く。


「大丈夫なのですか…?」


「多分大丈夫だろう、あいつ意外と強いし」


 いざとなれば自分が助けに入れば良い、そもそも手助けなど要らないのだろうが。


(貴方達には悪いけど、私だって殴られたくないの!)


「はああぁ!」


 拳に力を込めて、不器用ながらも精一杯振りかざす。


 殴り方も、戦い方も、力の使い方も分からない。


 だが、ランが見たいものは見れた。


「す、凄い…!我らでも手こずる魔物達を、こうもあっさりと…!」


「ああ、戦い方は完全に素人だが上出来だ!」


 魔物達は凡そ、数十から百の間。


 一匹一匹が弱くとも、これだけ集まれば騎士10人でも手こずる。


 しかしロロンは、あっという間に全ての魔物を殴り飛ばした。


「はぁ、はぁ、はぁ…」


(こ、こんなに動いたの初めて…)


 かなりの距離を歩いてきたとは言え、特別体力がある訳でもないので全力で動けば体力の消耗は激しい。


 肩で息をして、少しクラクラするぐらいには疲れた。


「上出来だ、ロロン」


「こ、これで、殴られずに済むんですか…?」


「これなら文句無ぇよ、つーか魔物を殴って良かったのか?」


 気にしていなかったが、ロロンが魔王の娘ならば魔物を同種の筈だ。


「何でですか?」


「何でって、お前魔王の娘なんだろ」


「うーん、でも私ハーフなので」


「いや問題あるだろ」


 半分とは言え、同族は同族の筈なのだがロロンは気にしている素振りを全く見せない。


「でもマ―――、お母さんには『悪い奴に魔物も人間も関係ない』って教わったので」


「子供に何を教えてんだよ、お前の母ちゃんは」


「殴る相手を選ぶ方法ですかね」


「本当に何を教えてんの?つーか、さらっと言ったけどハーフって母ちゃんは人間なのか?」


 この世界での魔物、魔王は悪逆を尽くす生き物として有名だ。


 そんな魔王と関わったどころか、懇意にした人間は歴史上いない。


「はい、普通の人間です」


「…そうか」


 いない筈なのだが、ロロンの言うことが正しければ歴史を覆す事になる。


 間違えている可能性もあるが、今そんなことを考えている余裕は無い。


(あれ、もしかして私また余計なことを…)


 ランはブーカ達に見張りを指示し、ロロンを連れ王城に向かった。


 襲って来る筈の無い魔王軍、それを率いているであろう魔王の娘、ランの杞憂は杞憂に終わらない。


 何も無いであって欲しいが、そうは行かない。


 ランとレン、リンが勇者として魔王と出会った時だった。


 魔王でも勇者でも無く、人間でも魔物でもない何者かが魔王の力を奪った。


 状況を整理出来ないまま、魔王の力を奪った何者かは『いつか必ず、この世を混沌に陥れる』、とだけ言い残し消えて行った。


「今が、その時だって言うことかよ…!」


 これから始まるは魔王の時代でも勇者の時代でも無い、新たな者の時代の幕開けだ。

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