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勇者と愉快な仲間達と少女、魔王を倒す旅に出る  作者: 逆張りオタクの天照大御神


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勇者と愉快な仲間達と少女、魔王を倒す旅に出る


 この世界は長らく魔王に支配されていたが勇敢な勇者とその仲間達により世界は平和となる。

 

 しかし悪事を働く者はどの世界でも共通でどこにでもいるものだ、例え巨悪が滅びようとも小さな悪の芽は無くならない。

 

 そんな者を裁く為、青年は今日もウキウキで犯罪者を探し見回りをする。


「お前ら、ここで何してやがるぶっ殺すぞおらぁ!」


 早速集団で何か怪しいことをしている男達を見つけ即座に突っかかる。とても取り締まる側とは思えない態度と言葉遣いだ。


「何だてめぇ、俺様達を誰だか知って舐めた口を利いてんのか?」


 勿論悪いことをしている自覚がある男達はこう返す。


「何してるかって聞いてぇんだ、コラァ!」


 突如周囲に落雷が降り注ぐ。


「ふんっ雷だぁ?俺は鉄だぜ雷なんて受け流し―――ぎゃぁああああ!?」


「鉄が、何だって?」


 本来避雷針として機能する鉄もこの男の前では等しく雷に打たれるだけの存在。


「ひっ、ひぃいいい!」


「逃げんなやこらぁ!」


「ぎゃあああああ!」


「何だよこいつ、バケモンかよ…」


「誰がバケモンだ、コラァ!」


「ぎゃああああ!」


 青年は周りの迷惑を考えず好き放題暴れ散らかす。

 逃げる者も抵抗する者も白旗を上げる者にも容赦のない攻撃、火力の高すぎる雷、荒い口調に手下は心当たりがあった。


(こいつやっぱり!)


手下と思われる一人が口をガタガタと揺らす。


「こ、こいつ…」


「お前も処刑だこらぁ!」


「ぎゃああああ!」


(やっぱりそうだ、こいつ…!)


 笑いながら荒ぶり破壊を楽しむ姿はまるで邪竜、いや雷竜と言うべきか彼の扱う魔法は雷なのだから。


 *  *  *



「ここが勇者がいるっていう大国・エグゼステンス!」


 黒い逆さ十字架のアクセサリーを付けている少女は魔王を倒す者、通称”勇者”をある事情で探しに遠く離れた田舎からこの国にやってきていた。


 魔王とは、世界を支配し混乱に陥れた恐ろしき存在だが少女は遠く離れた田舎から来ている。


 それ故に情報が遅れており、既に魔王が討伐されたことを知らない。


「まずは情報収集ね」


 そんな事は露知らず、腹の音と共に飲食店に入る。


「いらっしゃいませー」


 何人かの店員の声に少し驚くも、狼狽えてしまっては田舎者だとすぐバレてしまう。


(田舎から来たってバレたら何されるか分からないんだから、気を引き締めないと)


(あの子、もしかして田舎から来たのかな?)


 しかし既に店員にバレている。汚れが付いてボロめの服を着ていれば、誰でも分かる。


「お客様、今日はお一人ですか?」


「はい、一人です」


「かしこまりました、ではお席までご案内致しますね」


「お、お願いします」 


 無知である少女は言われるがままに、席に着く。


「では、ごゆっくり」


「はい、ありがとうございます」


 店員が去ると同時に、少女の目の前には大きなメニュー表が開かれる。


「す、凄い魔法…!これが大都市…!」


 魔法によって空中に書かれた文字や絵に感動を覚えているが、悩んでいる余裕は無い。


(ど、どれにしよう、どれも凄く美味しそう…)


 しかし優柔不断なのか無知故になのか、メニューを決めれらずに悩んでしまう。


「お客様お悩みですか?」


「あっ、はい…」


 そんな時に、先の店員が少女に話し掛ける。


「それでしたら当店の看板メニューであるこちらはいかがでしょうか?」


「じ、じゃあこれで」


 勧められた品は、少女の食欲を一番煽るもので注文を決める。


「かしこまりました、では少々お待ち下さい」


「あっ、はい」


 しばらくすると先程の女性店員がやってきて少女が目を惹かれた料理が運ばれてきた。


「お待たせ致しました、こちらが当店自慢の料理でございます」


 三日程、何も食べられていなかった少女は届けられた料理をすぐに口へと運ぶ。


 柔らかい肉がフルーツのような甘さをしていながら、決して食欲を損なわない。

 

 むしろ甘さが肉の重みを軽くしてくれて、重量感ある見た目とは裏腹に軽く食べれる上に、味も絶品だ。


 ソースは多少濃いような気もするが、一緒に付いて来たライスを頬張る理由にもなる。


 一緒にいる野菜はノイズだが、ソースを付けて食べれば誤魔化せる。


(こ、こんなにも美味しい物があるなんて大都市って凄い!)


 あまりの美味しさに、感動すら覚える。


 少女が生まれた村では多少の味付けはされていたが、それでもこの料理と比べたら味など無いも同然に思えた。


(あと一個だけ頼みたいな…でもお金が…)


 思わず頼んでしまったが、書かれている値段と財布を見ると残りで何かを頼めるかと言われると大分怪しい。

 

(話には聞いていたけど、やっぱり高いな…)


 生まれ故郷が少し恋しくなるも、自分に託された使命を思い出し会計を済ませお店を出る。


「てめぇら全員、逮捕だコラァ!」


「か、勘弁してくれ…!」


「もう悪さはしねぇから、大人しく牢屋に入るからよぉ!」


「んなこと言って、逃げる気だろ!」


「逃げねぇよ!?あんたから逃げれるなんて、誰も思っちゃいねぇよ!」


「嘘吐け!」


「嘘じゃねぇよ!?だからもう、雷に打たれるのはごめんだ…!」


「じゃあ、あと一回だけな」


「何で!?」


「俺が打ちたい」


「鬼かよ!?」


「じゃあラスト一発、どデカいの行くぜぇ!」


「ぎゃあああああっ!?」

 

 外に出ると誰かが暴れているのか、悲鳴が聞こえて来た。


(な、何あの人、大都市ってあんな人がいるの…?)


「嬢ちゃん、もしかして余所から来た人かい?」


「ふぇっ!?」


 あまりの光景に驚き縮こまっていると、一人の中年男性が声を掛けてきた。


「悪いね、この騒ぎは王国騎士団団長の仕業だ…」


「えっ、それって凄い偉い人ですよね?まさか魔王が現れたんですか!?」


「いいや?ただの小悪党だ」


「……へっ?」


「あいつはラン・オーガストこの国最強の騎士にして()()()()()()()()()()()()()()()()()だ」


 これが魔王を倒した少年と、魔王を倒す勇者を求める少女の初めての出会いだった。


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