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第19話「受付嬢Aさんの場合也」

 あの男は一体何なんでしょうか?


 八千代・三珠・・・・彼は何故か私の琴線に触れると言うか、癪に障ると言うか・・・・いちギルドの職員が一人のハンターに対して特別な感情・・・この場合は悪い意味でですが兎に角、人によって対応が変わる等と云う事はあってはならない・・・とは解ってはいるんですが、彼の言動を見ていると我慢が出来ないと言うか、思わず無意識に不適切な対応をしてしまいます。


 これは自己弁護になってしまいますが、あの男にも問題があると思います。


 ━━そう、あれはいつ日の事だったでしょうか?彼が初めて登録手続きに来た日の事、私の彼への第一印象は(ひ弱そうだな・・・)と思いました。一般人の部類で言えば普通の体格です・・・でもハンターとしてはハッキリと言って脆弱です。彼の手を見ても剣を一度も剣を振った事が無いんだなと分かるぐらいに綺麗で、(・・・ああ、この人すぐに辞めるんだろうなあ)と思いました。


 何故ならば、力の使わない魔法使いであっても例外では無く、体ぐらいは鍛えてくるのが当然で、依頼内容によっては険しい山道を歩いたり、食料や野営用品や素材を背負って行動する訳ですから、考えるまでも無く鍛えて来るものなのです。それで無くても魔物の脅威を知っていれば事前に訓練してくるものですが、彼にはそう云った様子は伺い知れません。そんな事もあってハッキリ言ってこの業界を舐めているなと思いました。


 それだけなら無謀な新人で終わったでしょうが彼はこう言ったのです「あの~、ハンター王に成りたいんですけど・・・・」等と宣うのです。


 その時、「知るかっ!?勝手に成れ!」と、私は言いたかったですが、そこは私にもギルドスタッフの一員としての矜持がありますから何とか取り繕って平静を保って対応しました。


 そうやって冷静な対応で登録を進めていくと驚くべき事が発覚したのです。これには驚きが隠せなかったのですが、彼は何と31歳だったのです。確かに彼は年齢不詳で分かり難い見た目ではありましたが、私は何となく20代前半だと思って見ていたので、まさかアラサーとは思いませんでした。


 そんな素人丸出しの男が31歳にもなって冒険者を始めるとはこの業界を舐めているとしか言い様がありません。


 通常、冒険者と言う者は成人・・・この国では15才からなのですが、その年頃から始めるものです。


 中には軍を退役してハンターに転職する事もありますが、当然彼等の場合には対魔物との戦闘経験がありますから問題はありません・・・ですが、それ以外の戦闘経験の無い素人は何かしらの指南を受けて訓練してから来るものなのですが、それでも万全とは言えず若くして死亡するケースも少なく無いのです。


 世間知らずの無謀な馬鹿・・・それが私の八千代・三珠に対する印象でした。



 暫くして、彼が依頼を受けようと・・・・ふざけた事にお昼に顔を出してきたのでつい嫌味を言ってしまったのですが、兎に角依頼を受けたいとの事でしたので、比較的に危険の無い簡単な仕事を紹介しました。


 紹介したとは言っても依頼では無くて自由意思で行うフリーハントなのですが、無謀な新人が一攫千金とばかりに身の丈に合わない魔物を狩ろうとする事もあるので、野生動物や薬草等の採取を中心に紹介しました。


 危険の無い簡単な内容とは言っても、ダンジョンである森の中へ採取しに行く訳ですから、魔物との遭遇の可能性は無くはありません。


 そうやって注意事項も含めたアドバイスをして送り出した訳なのですが、そこでもまた彼は、私の神経を逆撫でる様な行動を取ったのです。


 無事、彼が狩りから帰って来た迄は良かったのですが、彼に何を狩ってきたのか聞いて見ると、ヘルハウンドだと言うではないですか。ギルドとして当然の配慮ではありますが少なからず親切心からの紹介を聞き入れず、事もあろうか一つ星のハンターなら最低は3人は必要であるヘルハウンドを狩って来たと等と、私の忠告の何を聞いていたんでしょうか?。それだけなら大金星で済む話ですし、期待の新人が現れたと云う事で喜ばしい話なので良いのですが・・・問題はそのヘルハウンドの状態でした。


 彼が提出した採取袋の中を覗いて見ると・・・・思い出すのも悍ましいですが、中は血と肉でドロドロのグチャグチャになっていて元が何だったのか判らないヘルハウンドらしき物体になっていたのです。それはどう考えても彼が持っている武器ではそんな状態にはなり得ません。言うならば、巨大な岩でも上から落としたかの様な潰れ方をしていたので・・・私は今になって思うのですが、あれはきっと別の魔物に因る仕業か事故で死んだんだと思うのです・・・それぐらい有り得ない死に方をしていました。


 そんな状態の死骸を持って来るものですから、暫くはお肉が食べれなくなってしまったのです。それに加えて中の血を捨てないから倒れた拍子に中身がぶちまけられて掃除が大変でした。気持ち悪い物を見せた挙句、掃除(勿論、クリーニング代を請求して彼にも手伝わせましたが)をして残業までさせられたのです。



 次に、これが彼に対する険悪感を決定付けた出来事なのですが、彼は私が愛して止まない宿屋の子供達であるルナちゃん・ミーちゃんに近付きやがったのです。


 彼女達は熊系の獣人でとっても愛らしいモフモフのプリプリで柔らかく、特に舌っ足らずなミーちゃんに上目遣いで「おね~ちゃ~」と言われた日にはガクブルものです。


 数少ない私の休日の時にはお菓子を買って彼女達に会いに行くのが唯一の楽しみで、もう幾ら彼女達につぎ込んだのか判りません。そうやってミーちゃんを膝の上に乗せてお茶を飲むと私の日頃のストレスは癒されていくのです・・・・ですが、それを事もあろうかあのカスは、休日に私があの子達に会いに行こうとお菓子をいっぱい買って遊びに行ったら奇跡(ミラクル)ミーちゃんを抱っこしてナデナデしてやがったのです。どうやら私の調べによると、あのクズはあの愛しいルナちゃん達の宿に泊まっているらしく、いつか彼には天誅・・・否、人(私)の手に因る裁きが下るでしょう・・・・・。



 そうこうしていつの日かあの外道を殺害(ポア)してやると計画を練っていた時に起こったのがブルードラゴンの目撃事件でした。ブルードラゴンがネスファ侯爵領南部の上空を通過したのを住人に目撃されたらしく、こちらの方へ向かったとの情報が入ってきたのでギルド内部は上や下への大騒ぎでした。


 朝早く叩き起された私は、関係各所への報告や依頼の遅延手続き等で大忙しでした。そんな中、緊急の依頼を受けている人達以外の他のハンターの方達は自粛して大人しくしてくれていたのに、あのアホは森のダンジョンに出るって言いだしたのです。当然こちらは警告はしますが、戒厳令が発令されない限りは強制的に引き止める事は出来ないので注意して送り出す事しか出来ません。


 案の定、時が経ってから戒厳令が下りても、あの男が森へ出てしまっている為に門を閉めるに閉められない状態になってしまい、兵士長さんに嫌味を言われてしました。


 そんなこんなであの男が帰って来たかと思えば、ブルードラゴンを目撃したそうです(そのまま喰われれば良かったのに・・・・)そしてギルドマスターや軍の参謀であるエルドナンド様に呼び出されて報告したのですが、何とブルードラゴンの鱗を見つけて拾ってきたのです。ドラゴンの鱗は1枚あたり1万ジータはする代物で、それを6枚も拾ってきたのです。私達ギルドスタッフの年収の約20倍の金額をあの男は拾ってきたのです・・・・おお、神よ何故あの様な人間のクズに・・・・。


 目から血の涙が流れるぐらい悔しかったですが、あの鬼畜は事もあろうに大金が入る事を知った瞬間、「若くてカワイイ奴隷の値段っていくら?」と聞いてきやがったのです・・・・流石のギルドマスターやエルドナンド様もドン引きしていました。最早、その発想は性犯罪者の域です・・・・・警備兵さん、コイツです!



 そうしてウマウマと大金をせしめたあのチ〇・・・カスは案の定それ以来ギルドに依頼を受けに来なくなりました。ある朝、ギルドの業務で兵舎へと伺う事があったのですがその道中、あの男が奴隷館の前で何やらブツブツ言っていたのを見かけ、早速奴隷を買いに来たのだろうと反吐が出る思いをしながら通り過ぎました。そして兵舎での要件が終わりギルドへ帰っていると、奴隷館の近くにあったセクシーパブに八千代・三珠お断りと書いた紙が貼ってありました。



 そうして暫くの間、あのアホを見かけ無くなったのが少し気になったので(素粒子ぐらいですが)、癪ではありましたが、あの下衆の事をルナちゃんに聞いて見ると「何かねえ、王都に買い物に行くって言ってたよ?」と言ったのです・・・・・奴隷だな?あの性犯罪者め・・・・。



 そうこうして、暫くの間心乱される事無く平穏に過ごせていたのですが、何と最近王都を騒がせている奴隷解放戦線がまたもや爆発テロを起こし、今度は国立劇場を襲撃したのです。此処だけの話なのですが、噂によるとどういう方法でかキマイラを使役したらしいのですが、信じられない事に謎の魔法使いに依って一人で瞬時に解決された様です・・・・きっと名のあるハンターなのでしょう。それに付け加え、そのキマイラを屠った魔法は宮廷魔法士でもどう云う魔法なのか検討も着かないらしく、一説には失われた古代魔法(ハイエイシエント)の一種では無いかといった憶測も出ているらしいです・・・・凄い。


 そしてそんな凄い魔法を使う人物を手の内に匿おうと考えてるらしく今朝、国の上層部からは重要参考人として各ギルドに手配書が回ってきたのです・・・・そんな凄い人がこんな辺鄙な街にやって来るとは思えませんが・・・・・ですが、この町に来る事がある様なら1度会って見たいものです。


 そんなこんなで、いつも通り業務に励んでいると・・・・・



 「すんませーん、パーティー登録したいんすけどー・・・・」



 ・・・・ハア、あのクサレ外道が帰って来やがりました・・・・・パーティー登録ぅ?・・・生意気な・・・こんなクズの仲間になるなんてどこの物好きでしょうか?・・・・・え~と何々?・・・・えっと2人とも獣人の狐族で・・・・もう一人が猫族・・・・・・15歳と13歳ぃい!?・・・・・き、貴様ぁあ!?

お陰様で1万PVを突破しますた。そんなこんなでこれを機に活動報告始める事にしますた。


よろしければ見てやってください。 (´ ・ω・`)/

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