プロローグ也
息抜きに書いてみました。
どちらがメインになるかは分かりませんが宜しくお願いします。
━━ VRMMOマシーンを手に入れる!!
彼、三珠八千代は、この日が来る事をいつから待っていたのだろうか?
体の節々が痛い━━。
家電量販店の前で徹夜する事3日間,それだけの時間を路上で過ごせばどこかしら体に異変が起こってくるのも無理は無い・・・・だがしかし、そんな待ち時間は彼にとって一切のに苦にならなかった。
三珠八千代にとっては寧ろその待ち時間でさえも楽しかったのだ。
漫画やアニメやライトノベルと云ったサブカルチャーをこよなく愛する三珠八千代は、古今東西そうしたVRMMOの世界を題材とした物語を目にする度に、そうした世界に様々な想いを馳せていたのであった。
VRMMOの世界を知った時から現在に至るまで、ずっと色褪せる事無く想いを寄せていた。
いつの日にかきっと━━
そう胸に秘めながら日々を過ごしていた事を考えれば、外で3日間待つ事等何の苦痛も無い・・・否、苦痛だとすら思うにも至らない。
それに周りには自分と同じ様にVRMMOマシーンを買う為に、寝袋や食料を持参して家電量販店の前に陣取り、今か今かと待つ人々の雄姿を見れば最早、何等臆する事は無いのであった。
そして、そんな同士達と仲良くなるのに大して時間は必要としなかった。
三珠八千代は隣に座る御剣☆一空と名乗る中年と仲良くなり、周りから見て至極不穏な会話をしながら待ち時間を思う存分楽しんでいた。
「同士ニャンコ・インフィニティよ、いよいよ残り10時間を切ったでござるな?最早、拙者は先程から武者震いが止まらぬでござるよ」
「兄もか・・・・ふっ、私もだ。もうすぐ我等の世が明ける・・・パンドラの匣が開かれるのだ。歓喜する事はあれど臆する事等一切無い!」
「流石でござるな。拙者は何分この世に対し、一切の未練は芥子粒程も無い所存ではあるが、いささか我嫁に対し一抹の後ろめたさを持っているのもまた事実、、、、フフフ、拙者もまた人の血が流れていたという証でござるな」
・・・・等といった不毛な会話をしたり、メール交換等の遣り取りをしたりする間に、ただの開店時間と云う名の彼等の夜明けが明けた。
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何の滞りも無く無事、VRMMOマシーンを購入出来た三珠八千代は、御剣☆一空と「「戦場で」」等と残念な別れの言葉を交わして足早に自宅へと帰り、早速VRMMOマシーンの電源を入れてログインすると、横一線に緑色の光が走った。
「ふおおおおお!」
一筋の光が横一線に走ったかと思うと、緑色の一条の線はそのまま上下に広がって視界を埋め尽くした直後、白色に光った文字がモザイクの様に浮かび上がり、電子音と共に三珠八千代を歓迎する。
『 WELCOME 』
(ウエルカムキター!!)
三珠八千代にとってそれは何でも良かった。兎に角感動し、兎に角テンションが上がった。初VRMMOに対し冷静な紳士で居られる筈が無かった。
そこから三珠八千代は、画面がセットアップメーニューへと切り替わると、言語設定を日本語にセットし(その際、英語表記の方がカッコイイし、どうしよう?とか悩んでいたのだが)その他各種のセットアップを完了した後、予めダウンロードされているソフトを起動した。
『 SUCCUBUS 』
赤い女性のシルエットと共に赤い文字で現れたその文字の意味は、会社名━━ サキュバス ━━ 夢魔と云う意味である。
SUCCUBUSは古今東西から君臨する大手ゲーム会社を押し退け、先んじてVRMMOを世に送り出した新進気鋭の会社であり、βテストの募集の案内が始まるまでは全くのノーマーク・・・・つまり無名の会社であった。当時、夢のVRMMOのβテストの募集が話題となり、各インターネット検索ワード1位ともなると自然とTVでも紹介され始め一躍有名となった。
そんな新進気鋭のゲーム会社SUCCUBUSが満を持して世に送り出したゲーム
VRMMORPG『 THE・DIMENSION・ONLINE 』(ザ・ディメンション・オンライン)
TDOこのゲームは発売直前まで一切の情報が伏せられ、βテスターからでさえも一切の情報が開示される事無く、現在まで秘匿されていた。その限りなく伏せられている情報は様々な噂が錯綜し、より一層の期待が高まっていた。
そして、黒一色に染められた画面に紫色で表記された『 THE・DIMENSION・ONLINE』の文字を見た瞬間、三珠八千代は感動の余り、涙と共に鼻血を流すのであった。
「・・・・生きてて良かった」
思わずそう呟き、自身が涙や鼻血を流している事さえも気付かず暫くの間、感動の余韻に浸っていた。
・・・・そう、三珠八千代はずっと待っていたのだ。この世に生まれ出でて苦節31年。彼女も無く友達も居なく、ただただ日夜牙を研ぐ日々であった(笑)
そんな彼がこの世で唯一待ち望んでいた物がこのVRMMORPG『 THE・DIMENSION・ONLINE 』であった。
VRMMOを夢にまで見ていた三珠八千代であったが、必ずしも何の不安も無く過ごして居た訳では無い。三珠八千代がVRMMOマシーンが発売されるまでに至った紆余曲折の時を悶々と過ごしていた事をここに記さねばならない。
三珠八千代が当時10代であった頃、某インターネット掲示板に掲載された一文は、三珠八千代を大いに不安を掻き立てさせた。
それは・・・・・『VRMMOとかリアルに無理じゃね?』と云う一文だった。
それは技術的障害や費用対効果を鑑みた場合、とても現実的な話では無いと問い質されていたのであった。
脳に対して電気信号等と云った刺激を送ってアプローチすると云う事は、脳細胞を始めとした各神経に大変危険な害を及ぼす可能性が考慮される事は至極自然であり、例えそれらの技術が確立されたとしても果たして国の認可が下りるのか?と云った疑問が浮かび上がるのは当然の帰結である。
だがしかし、それら様々な懸念はVRMMOファンからしてみれば「それがどうした?他国へ亡命してでも俺は逝く!」と宣う強者揃いばかりであり、彼等にとって何等障害には成り得なかった。
斯くして様々な困難を乗り越えてめでたく彼等の夢は叶い、新たな世界への扉が開かれた訳なのだが・・・・。
果てしない旅路から再起動した三珠八千代は、数時間を掛けて自分がVRMMORPG内で操作するプレイヤーのセット・チュートリアルを悩み乍らも完了させる。
そして(いざ逝かん!)と目の前にある扉を開くと、扉の隙間から漏れるまばゆい光が三珠八千代の全身を照らし、余りにもの眩しさに思わず俯いて目を瞑ってしまう。
そしてゆっくりと目を開けると、まずは自分の初期装備の一つである皮のブーツと共に青々とした芝生で覆われた地面が目に映り、そしてゆっくりとなぞる様にして上へと見上げていけば、そこには形容し難い豊かな大自然とどこまでも青く済み切った大空が、三珠八千代を中心に広がっていた。
「うおおおおおおおおお!!!」
思わず両手を握りこぶしを上げ、天を見上げ叫んだ。
「我、一片の悔い無しっ!!」
三珠八千代は誰にとも無く高らかに宣言して目を閉じた。
何所からともなく流れてくる風は優しく頬を撫で、高く澄んだ空から射す太陽の光は、新しい世界に降り立った自分を祝福してくれているかの様に輝いていた。
一度深呼吸すれば芳醇な新緑の香りが鼻孔の奥を仄かに刺激し、まるでこの世界が現実では無いと云う事を忘れさせる。
そうして、TDOと云う新たな世界に生まれ落ちた感動の余韻に浸り終えた三珠八千代の胸の内には、例え様の無い熱きエネルギーが込み上げてくる。
(すげえ、すげえよ!叶ったんだ!本当に俺は夢の世界に居るんだ!)
そうして、自身が夢の世界に立っている事を飽きる事無く確認しようと何度も手を開いては握っていたのだが、とある事に気付く・・・・
(・・・・・・・あれ?)
・・・・それは自身の姿がTDO内でプレイする前に予め設定したキャラクターと違う姿である事に気付いたのだ。
「あれ?」
彼は後に此の時の事をこう語ったと云う「いやー、マジ焦った。」




