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タコのグルメ日記  作者: 百合姫
Ⅸ章 喰み殺す森
97/110

準備しよう一日から二日目

意外とすぐに感想が来てありがたいことです。

これからも見捨てずにほどほどに見ていただければ感無量であります。

一週間もかけて何を準備するかといえば、まずは非常食である。


一人でやるのは大変なので、やまいにも手伝ってもらいつつ、まずは手ごろなところで燻製を作る。

やまいには狩りに行ってもらい、僕はその間に燻製器を作る。といっても地面に魔法陣を描いて終了なのであるが。

それに魔力を流し込み、冷蔵庫のような空洞の四角い塊を作る。

正面を軽く殴り開け、壊した壁を綺麗に撤去。

冷蔵庫でいうところの扉を作る。壊した面の部分に非常に丈夫なダイオウギボウシの葉っぱを使い、それをめくればすぐに中身が見える状態に。

しょっぱい出来であるが、凝ってもさほど意味ないものなので簡易版だ。


中に鉄茎と勝手に呼んでいるーグリューネ曰く“これは種子”らしいがー植物体の一部が鉄のように固くなるツルを中にぶっさしていき、肉を置いたりつるしたりできるように。


改めて見ても不細工な出来であるが、ようは煙と熱を逃がさない大きな箱を用意できればいいのである。多分だいじょうぶ。


やまいもグリューネも僕もよく作り方は知らないのでその辺おおざっぱだ。


次にメープルシロップの原料である樹液集めにいそしむことにする。

煮詰めるために何十本という木から大量に収穫してもバケツ一杯分が関の山。

非常に根気のいる作業である。


「タコ、とってきた。

血抜きをしてあるよ。」

「ご苦労様。今度は樹液を集めてきてくれる?」

「あい。」


と返事をして帰って早々、再度出かけるやまい。

一度に運べる数は限られているので何度も往復しなくてはならないのだが、樹液集めはもはや日課であるがゆえに狩りよりも簡単であるくらいだろう。


そして僕はやまいが集めてきた獲物を見て少しばかりげんなりするのである。


「ちょっと量が多すぎないかな?」



山盛りに積まれた鳥やトカゲ、蛇などの森では手に入りやすい動物を始め、ネズミやウサギなどの小型動物、そして中型のシカやイノシシなんてのもいる。


邪龍の加護の副作用、嫌われる、ということが無くなったがゆえに遠慮なくその力であるくろもやさんを使った結果がこれである。

運び込まれた獲物もすべてくろもやさんで引っ張ってきたようだし、この森でこれだけの釣果とは末恐ろしいもの。

ま、今更なのだけども。



「てきぱき解体していきますか」


解体しながら一部の内臓などはそのままつまみ食いしつつ、途中でそれらの一部を昼食や夕食として消費しながらすべて切り分けたころには日が暮れ、たき火を発てて、そのまま燻製へ移行だ。

本当は寝てしまいのであるけど。


「・・・ねむい」


とやまいが目をこすりながら言う。

そしてそれにつられたかのように様子を見に来たグリューネが眠そうにあくびをした。

こいつは何も手伝ってくれていない。

なんで一番眠そうなんですかね。

あなたずっと寝てましたやん、食事以外の時間はすべてさぁっ。

なんてことを思ってはいないけれども。


「やまいは寝てていいよ。

グリューネは手伝え。」

「ううん…てつだう。」

「こどもは寝る時間だし、燻製は時間がかかるんだ。

グリューネに手伝ってもらうから。

下手に無理して出発が遅れても嫌でしょう?ね?」

「タコは?」

「僕はもともとは野生動物で寝る時間は少なくて済むからね。」

「なんで私が手伝わなくちゃいけないのかをまず説明してほしいのだけど?」

「なんで手伝わずに済むかと思ったのかを小一時間聞きたいのだけど?」

「真似するんじゃないわよっ!!しかも似てるしっ!!」


僕の声は生来の風の魔法で使っているがために声音の真似は楽勝、ってわけではないが不可能ではないのだ。


「今日一日寝てて暇だろ?」

「森の主としての務めがー」

「今は違うじゃん。」

「…そうだけどそうじゃないの。

そういう立場を無くしたからこそ改めて見えるものがあるのではないかと自分を見つめなおすために深い瞑想をしてたのよ。」

「…いびきかいてたくせに。」

「うそっ!?」

「うそですけど。」

「…殴るわよ。」



軽くからかった後で、燻製の火の管理を任せたいというと快くではないが了承したグリューネ。

さすがに手持無沙汰で悪いという気がしていたのかもしれない。

昼寝をやたらとしていたのは初めて森の外へ出られるということでわくわくして寝ていられなかったために昼になって眠くなっていたためだろう。

出ていくのは一週間ごと言ったにもかかわらずである。

なんだかんだで手伝おうと、寝ないように自分と、正確に言えば睡魔と戦っていた彼女の内心を察してはいたのでさほど気にしていないどころか、からかってやろうとも思ったのだが…


ま、それはさておき。


燻製で大事なのは火が起こらずに、煙がくすぶる程度の火力を維持しつつ、また燻製器内の温度が火が通りきらない程度を維持し続けることである。らしい。前世のうすぼんやりとしたたまたま見かけたテレビの知識であるがゆえに自信はないが。


はっきり言おう。

普通に分からなかった。

うまくいかなかったのだ。

大前提として煙を発てる程度の火力ってどんなもんなんみたいな?

なので僕は考えた。


こんな時のために魔法を学んだのである。


もといそれ専用の魔法陣を作り出した僕は天才ではなかろうか。

既存の魔法陣に組み込まれる魔法技術ではほぼほぼまるで使い物にならなかったために完全にオリジナル魔法である。

効果は薪やチップをいぶす程度の火力を維持しつづけることである。

前々から研究していた魔法なのだがようやく使い物になるレベルになったのだ。

ただ一つの欠点は魔力消費がとんでもなく、魔法陣を刻んだものが魔力耐性の低い石ころあたりなんかだと一時間くらいでボロボロになって粉となる。

なので一時間ごとに火種の交換、もとい魔法陣を刻んでいる石ころの交換が必要ということでその作業をグリューネに任せるのだ。


あとは単純に始めての使用なのでうまくいくかのチェックもしてもらいたい。

ちなみにやまいは断固として手伝うといってグリューネと一緒に日の管理をしていたのだが途中でやまいの膝枕ですやすやしていた。

ほほえましい。


二日目。

何事もうまくいかないものだ。

途中で魔法陣の設定をミスったらしく完全に火が通ってしまった。

残りの肉を失敗しないように今度はしっかり注意をしよう。

渋くて味の落ちた失敗した燻製肉を適当にスープとして煮込んだものが今日一日のごはんである。

グリューネはむしろその渋さが気に入ったようであるが、僕とやまいはいまいちって感じである。


グリューネに燻製を見てもらっていた間、メープルシロップを作っていたわけであるが一部はさらに煮込み、水あめ以上の粘度と固さを出してその辺の洗った木の枝で適当に掬い取る。


宙に上げてもさほど形が崩れないほどの粘度であるため、これに軽く微風を送る魔法をまたもやオリジナル魔法として作り上げ、それで軽く乾かして完全に固める。

メープル飴の完成である。


これを一人につき三本分くらい、の予定だったのだが。


「あれ?どこに置いたっけ?」


葉に包んで置いておいたメープル飴が2本ほど無くなっていた。

あれと思って見渡すと違和感。


「何を加えてるの?グリューネ。それにやまいまで」


燻製器の前に座っている二人がいるが、口からは棒が出ている。

いや、枝が出ていた。ついさっき見覚えのあるような枝が。


「にゃんのことふぁふぁからにゃふいね。」


食べながらしゃべるのは行儀悪いと注意するのが先か、保存食を勝手に食ったのを怒るのが先か。


「タコも食べる?」


と言ってベロンと口から唾液まみれのメープル飴を出すやまい。

別に気にしないけど、自分の唾液まみれのそれを出すのはどうだろう?

いや、別に気にしないし、ちょっとあれなドキドキ感を感じたということもないし、ロリコンではないし、やまいは友人兼家族であるし。


「それ、保存食として作ったものだったんだけど、なんで勝手に食べてるの?」

「え?

でも、手伝ってくれるお礼にドードが食べていいって…」


やまいはきょとんとした顔でグリューネを見る。

そうか、ならばやまいはよしとして、今の言葉はグリューネだけに言ったということにしてしまおう。


「それは分かってる、僕はグリューネに言ったんだよ。」

「えええええええっ!?」


グリューネ自身は自分が勝手に持ち出したことを知ってるから、やまいも一緒に、もしくはやまいが一緒なら怒られてもそこまでではないと考えたのだろうが甘い。

顔を逸らしていたグリューネは驚いてこっちを見る。


「で、釈明は?

一応聞いてあげよう。」

「…た、たーる…樽でいっぱいぶんのメープルの契約ゆえによ。」

「それとこれとは別だということは理解してるでしょう?」


目を逸らしてやがるしな。


「わ、分からなかったわね…ま、まことに遺憾ながらね!

申し訳ないとは思うわ。」


と、震えた声で謝るグリューネ。

だがしかし。

ゆるさんよ。



「今日の晩飯ぬー」

「悪かったわ、もうしません。」


はやいね。

分かってたことだけども。



結局二日目はさらにメープルを補填するべく、動いただけで終わってしまった。



感想返信


タコの表情変化について。

表情筋が無くて、自らが動かしてるのにいつからかそれが自然になり過ぎて違和感を感じる的な感想に対して。



一応その辺の理由を書いた一文が作中にあったかと思われます。

最初は意識的に、しかしやってるうちにクセになりました的な部分が。本当にあっさりとした感じで書いた覚えがあるので書きながら、多分忘れてしまう読者や流してしまう人もいるだろうな、と思いながら書いていたような記憶が。

はい、私の怠慢の結果ですね。ごめんなさい。


連載再開がてら今、一から設定の確認のために見直してるので適当なところで修正を入れようかとは思ってますので気長にお待ち頂ければ幸いです。

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