表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

小6には無理なイベントです

中身小6×貴族社会です。


ゆるく見えてわりと詰んでる主人公が、

なんとか生き延びようと頑張ります。



「きゃあ!」


悲鳴とともに、大量の紙が廊下にばらまかれた。


「手伝ってあげなさいよ」

「いやだよ、アイツ男爵令嬢だぞ」


倒れたまま泣きそうな少女を、みんな遠巻きで囁くだけ。

(かわいそ! いや、周りひどっ)

クリステルはしゃがみ込んで紙を拾い集めると、少女に手を差し出した。


「大丈夫?」 


美人揃いのこの貴族学校で、クリステル・シャトランという少女には、決定的な特徴があった。

ズボンを履いている。

それだけ。

けれど、この学園で女子がズボンを履くことは、あり得ない。

理由は単純。はしたないからだ。

(動きやすいのに)


でも、スカートが嫌いなわけではない。それでもズボンを履いているのには、ちゃんと理由がある。

 

高等部の制服を渡されたときだ。

制服を渡されて、その生地の柔らかさと滑らかさにテンションが上がっていた。

早速着て、メイドにも「かわいいです!」と褒められて、鏡見た。

(短っ)

スカートの裾が……短かった。

その30cm程しかない、風が吹かなくても走れば下着が見えてしまうようなスカートに、クリステルは悟った。


──だめだ、こんなんじゃ安心して学園生活を送れない。


それで、現在に至る。


「まあ、クリステル様よ」

「今日も鮮やかね」


一部の令嬢たちは、まるでアイドルを見るような目を向けてくる。 


「女なのに出しゃばって、恥ずかしくないのか?」

「女は後ろで男に守られていればいいのに」


(……この昭和男どもが) 

そして、クリステルにはもう一つ、特徴があった。

前世は、小学6年生。

なのに──起きたら、高校1年生だった。

本当に、勘弁してほしい。

中学受験を乗り越えて、明日は卒業式だったのに。

(ふざけんな。小6だからってらなめてんのか)


「クリステル!」


振り返ると、黒髪の少女がこちらを睨んでいた。ジュリアだ。

無言で顎をしゃくり、ついてこいとだけ伝えてくる。

その先にいたのは──


「ヴァランティーヌ様!」

 

腰まで届く赤い縦ロール。堂々とした立ち姿。

公爵令嬢。

この学園の頂点に立つ存在だ。

その腕の中には、金髪の少女が守られるように抱きしめられていた。 


「もう来ないでって言ったでしょう? フローラが半分平民だからって何? 私の妹よ」


(……昨日と違う)

昨日の彼女は、確かに悪役令嬢の鏡だった。


「フローラに水をかけてきなさい!」

「この平民が。あなたなんて妹ではありませんわ!」


そう言っていたはずなのに。今日はまるで、別人だ。

 

「姉さん!」


黒髪の少年が駆け寄る。エリック。

その直後。

ベシッ。 


ジュリアの頬が、乾いた音とともに打たれた。 

(……え、普通に叩くんだ) 

暴力も、いじめも、当たり前。

ここは、そういう世界らしい。 

(情報、少なすぎるんだけど)

転生して一週間。

わかっているのは、自分がヴァランティーヌの取り巻きだということだけ。

文字も読めない。常識もわからない。 


「この先も嫌がらせを続けるなら、お父様に言いつけるわよ!」 


(はいはい、公爵最強) 


逆らえば、家が終わる。

取り巻きをやめることすらできない。


(詰んでない?)


そう思いながらも、クリステルは頭を下げた。


「……申し訳ありませんでした」


こんなに丁寧に謝ったことは、前世では一度もない。謝ったとしても、『小6に何言わせてんだよ』とお姉ちゃんが止めてくれただろう。

この状況、どうにかしないと本気で詰む。

 

クリステルは尻餅をついたジュリアに手を差し伸べながら思った。

(あー、金持ちになって──)


「触らないでちょうだい!」


顔にジュリアの拳が飛んでくる。

(部屋の中でダラダラして)

それをなんとか体をのけぞらしてかわした。と、思ったが、容赦なく右肩に拳がぶつか?。

(マンガ読んで)

手に気を取られているうちに、足を引っ掛けれられ、体制を崩した。なんとか、左足を後ろにずらして体制を戻す。

(お菓子食べたいな〜)

その隙を狙って、ジュリアはまた拳を飛ばしてくる。クリステルはパシッとその手首を捕まえた。

 

「とりま落ち着こうか」


読んでくださり、ありがとうございます。


転生したら体は高校1年生、中身は小6になってしまったクリステルのお話の始まりです。


次回はこの世界がどこか、わかってくるので、ぜひ読んでみてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ