38話
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「マージ殿」
名前を呼ばれ咄嗟に振り返ったマージの視線の先には地上で【パス】を繋いだ。シズクが抱えていた2人のうちのひとり───男の狼人の姿がそこにいた
「危ない!」
マージはその男が叫んだのに反応した蝸牛が攻撃態勢に入ったのを見て叫び返した。迫る触腕に対して狼人は臆することなく拳を突き出すと聞き慣れた一節を静かに唱えた
「【装纏牙狼】」
瞬間、風圧を伴って放たれた黄金色の魔力が狼人から立ち上った。迫っていた触腕はその過程で吹き飛ばされると空中で天を仰いだ
「〈遠吠えに似た発声〉」
部屋に反響する程の大声を放つ───〈咆哮〉それは勝利宣言だった。魔力が追従する程の精密な魔力操作、狼人は目にも止まらぬ速さで蝸牛との距離を縮め、未だ反応できていない蝸牛の殻に向かって拳による一撃を放ち、地面に亀裂を生じさせる程の威力を見せた
「えぇ…」
「〈遠吠え〉」
マージの援護の暇も無く決着がついたのであった
◆
「この殻凄いな」
マージは狼人の一撃がどれ程のものか測りかねているものの先の一撃───空気を揺らし、迷宮の不壊と名高い強度を誇る床にヒビを入れてみせた攻撃を受けて原型を留めていた殻に興味を示していた
「どうにか持ち帰れないかな…」
「マージ殿、少し宜しいでしょうか?」
「あ、先程はありがとうございました
貴方は確か、アサギさんでしたね」
「ご存じなのですね。シズクからでしょうか」
「そんなところです」
〈嘘である〉───【スキル】で知った名前だ




