−1話
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空を眺め、地を踏み締める
身体を撫で、毛を梳くこの風が心地いい
もっと風を感じれればと
駆けて乾く喉に
流るる川の水を流し込む
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「シズク今なんと言った」
「父様、このままではいずれ森が枯れ
我々もまた死を待つのみとなります
今動かなければ…」
「ならん、この地は先祖代々
我々を包み隠し、戦火を遠ざけてくれていた
それを今になって手放せと…」
シズクの父親。名をアサギ、番にカスミを共にする狼人の頭だ。その娘であるシズクが父に向かって「森に手を出すべきだ」と具申していた
上下関係、歴史を慮り、弱肉強食の関係を貫く環境の中でのシズクの行動は一家の大黒柱であり、群れの長であるアサギにとってとても不愉快にうつった
「ソウテンの名を十全に扱えぬ未熟者が
よもや私に意見をするとは偉くなったなシズク」
「父様、今は…」
「我が娘よ、狼とはなんだ」
シズクが父親の恫喝に肩を震わせる
「狼とは───」
アサギから溢れ出る黄金色の魔力。凪いでいた水面に間欠泉が如く溢れ出る魔力を前に、シズクは黄金色の魔力で対抗する姿勢を見せた
◆
「アサギ様、本当に良かったのですか?」
「生きるも死ぬも
飢えるも栄えるも
あいつが選んだ道よ」
家屋の崩れた一角で父親は降りしきる雨を睨みつけていた。泥に残るまだ幼い足跡に目を落とし、胸に刻まれた爪痕から滴る血液を拭って払い、着物を正した
「風呂に入る、支度をしろ」
「はい」
掛かる雨雲、寒さが身体に堪える中。ため息を一つ漏らすと───
「久しく日の目を見ていないな」
───かつての自由な身の内を独り言として呟いた




