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〈アーツブローカー〉の気のみ気のまま巡礼記  作者: 中折れ青二才
プロローグ・恩に報いたい一心で
2/42

2話

◆◇◆◇◆


 アルトラのパーティーが迷宮の中で激しい攻防戦を繰り広げていた。一体一体はそれほど脅威ではない様子ながら如何せん数の多さに手を焼いている様子だった


「ちっ【剣聖】を発動する!

 巻き込まれるなよお前ら

 特にマージ、テメェは地面に這いつくばったまま

 動くな!動いたら構わず殺す!」


「はい!」


 通路に跋扈するキノコに手足の生えた魔物の数がゴードンの許容量を超え、足止めから離れ、前線を押し上げてくる中、アルトラが【剣聖】による状況の打開に乗り出した


「この辺が邪魔にならないと予想する

 敵から身を守れないのはこの際仕方ない

 せめて味方の邪魔をしない努力を要求」


「ごめんなさい」


 マージは眠気により繊細さを欠いた動きをしていた。それでもエリアに言われるがまま彼女の足元で地面に伏せ、頭を低くする姿勢をとりアルトラの剣聖の発動を見守った


「【剣聖】起動!」


『出力調整』による発声発動により、【剣聖】が有効状態になりアルトラの剣が淡い光を帯び、忽ち煌々と光を上げた瞬間、それは洞窟内を駆け巡り、光が収まったころには魔物は両断され、地に倒れ伏していた


「かっこいいなぁ…うわっぷ」


 剣聖に見惚れていたマージは剣聖の発動で生じた風圧にて巻き上げられた泥を頭から被ってしまい荷物までもを汚してしまった


「おい、いつまで寝てんだグズ!

 さっさと先に行くぞ!クソ!

 荷物にも泥付けやがって」


「ごめんなさい」


 マージが頭から被った泥を両手で払っているとアルトラがその鈍臭さに文句を叩きつけると同時にマージを蹴り飛ばした


 マージの軽い身体はアルトラの攻撃力の高さにより宙を舞うと、勢いを殺せないままに地面を滑るようにして後方で退避していたゴードンとティーナの元まで吹き飛ばされた


 魔物の体液でぬかるんだ地面は当然の如く跳ね飛んだ


「ゲホっ!ゲホ…」


「おいおい汚ないな。近寄らないでくれよ」


「もう、そんなこと言ったら可哀想ですよ」


 ゴードンとティーナが露骨にマージから距離を取った。誰も彼を助けようとはしないがマージはそれを気にする様子はない。慣れた様子で立ち上がりハンカチを取り出すと背嚢についてしまった泥を丁寧に拭き取り、先に進む味方の元まで走っていった


◆◇◆◇◆


「しっかし、最凶の迷宮なんて言う割に

 全然大したことねえな

 これが探索者殺しの迷宮か?」


「同意。魔物は数が多いだけで

 強さは中の下といったところ

 罠も見かけるが効果はほとんどない」


「おれたちがそれだけ強いのだろう

 ティーナの【天使の白翼】も

 働いているようだしな」


「そんな、私の力なんて大したことは…」


「おいマージ!水をよこせ」


「はい!」


 4人が進む背中に追いつき、マージはアルトラの元まで走って『魔力を帯びた水袋』を手渡した。それに口をつけ、体力と魔力の回復を計ったアルトラだったが水袋の中の水はほんのりとしか冷たくなく、アルトラは不機嫌になった


「荷物持ちも満足にできねえのか」


「ごめん、なさい」


「おいエリア、これを冷やせ

 魔力余ってんだろ」


「拒否。先の戦闘で消費した

 今はまだ回復中だから使いたくない」


「おいクズ、次に飲むまでに冷やしとけ」


「はい」


 そんなやりとりをしつつ、迷宮の探索は着実に進んでいった

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