17話
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夕焼け空の下、空っぽになった麻袋置き場をマージは満足げな笑顔で眺めていた
『魔力貯蔵』の効果はシズクに合っており、シズクの働きぶりは目を瞠るものがあった。最初こそ今までより少し早い程度だったのが、次第に加速して昼間の苦戦は何だったのかと思わせる快調ぶりを発揮していた
日が沈む頃には、背丈を超える麻袋は全て蔵の中に収まっていた
「シズクさんは凄いな」
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「マージは何で自分でアーツを使わないんだ?」
「藪から棒に何ですか」
「気になってな、そんなに強いんなら」
「使わない、と言うより使う意味がないんだ」
「強いからか?」
「逆です。弱過ぎるから」
「は?」
マージは視線を落とす。視線に入るのは抉れた地面と凹んだ地面、潰れた草───呼吸を整えて話し始めた
「シズクさん、アーツって何だと思いますか」
「何って…何だ?」
「能力を補助する術式
それがアーツです」
「それは知ってる。教えて貰ったからな」
「スキルは強力な反面使い熟すのに
とても時間が必要になります」
「…」
「アーツは本来スキルの弱点を
克服する為の力なんですよ
その副次効果として
強化を受けられるだけなんです」
「え…っと?」
「スキルそのものの力を抑え
抑えた力の逃げ先を他に回す
それがアーツの基本なんです」
マージはそんな会話を思い出していた
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「…マージ、マージ!」
「あ、シズクさん」
「マージのおかげですごく早く終わった」
何もなくなった場所を惚けて眺めるマージの元にシズクが駆け寄り御礼の言葉を口にする
マージはこの調子なら『アーツ』の回収までにまとまった学習量と資金が工面できるなと思うと同時に脳裏には〈羨ましい〉、その言葉がついて回っていた
「マージ?」
「どうしました?」
「いや、何でもない」
マージを見送った。彼の背中にシズクは何処か不安を覚えていた。聞きたいことが山ほどできた1日だった
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焦る気持ちと後三日『魔力貯蔵』の他にも聞きたいことが沢山ある。シズクは本を眺めて、まだかまだかと明日を待った
「もしかしたら…森を」
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次の日、シズクの元にマージが現れることはなかった




