14話
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「やっといなくなった」
彼女の名前はシズク。亜麻色の髪色、秋風に揺られる小麦の穂の様な毛色と頭頂部から生えた同色の短い耳にふくらはぎを撫でれるほど長い同色の尻尾を携えている。故郷から離れて暮らす狼人だ
「変なやつだった」
シズクはお人よしのマージから貰った2本の焼肉の串を眺めていた。意図の読めない緩急の激しい行動力に少し疲れ気味にため息を吐いた
「20イン」
串の値段につけるにはやや高めな値段に呆れてため息が再び漏れる。大方金持ちの道楽という物に呆れた様な、癪に障ると言った様子のため息だ
「早く運ばないと…」
三度、動きがぎこちなく、鈍い身体にシズクはため息を漏らした
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「シズクさ〜ん」
2袋目の麻袋を運ぶシズクの前に再びマージがやってくるとシズクは眉を顰めて苛立ちを見せていた
「麻袋ひとつ貰うね」
「…なんだって?」
少女の目に敵意が宿るが、マージは構わず続けた
「一袋買っちゃった」
「…」
「後、はい!これ」
「本?」
「今日から君の教育係になったんだ
【脚力強化】の…」
「ちょっと待て、今なんて?」
「【脚力強化】のじ…」
「違う!その前だ!」
「教育係に…」
「なんだって?」
「もう、耳を立てて聞いてよ」
「そんなこと、あるわけないだろ」
「え?耳がないの」
「ッ!だぁ!!あ〜もう」
「ごめんおふざけが過ぎたね」
頭を抱えて苛立ちを露わにするシズクにマージが丁寧な所作をとった───一礼までの動作には形式ばっているものの人の視線を惹きつける魅力があった
一礼の後、満面の笑みでマージは言った
「〈アーツブローカー〉のマージと申します
シズクさん、以後お見知り置きを」




