35/35
夏の刑罰
少年は私を宝物と呼び 虫ピンをさし磔刑に処す
おし黙る 崩れかかった石垣の中の一つになったつもりで
後悔を知らない子らの夏が来る 蝉の歌声死に絶える頃
入水するカマキリはとうに死んでいて ハリガネムシの命をつなぐ
8月の太陽は眩しすぎるので 日の当たらない場所で咲きたい
冷え性の私の手さえ生ぬるく 初めてアイス食べきる猛暑日
死んでから残るものってなんですか 道端に光る甲虫の殻
冷蔵庫の中 数センチ残された麦茶を捨てて夏がすり減る
美しい星の記憶となるように 線香花火は明滅し消ゆ
雨風に光に音に滲み出る夏の痛みをかえりみぬ人




