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ハクモクレンは燃えている
宵闇にハクモクレンは燃えている 君待つ人の灯した標
雨に知る夏の香りは梔子の言わずと語る秘められし恋
唇の濡れたようにひかる赤 林檎は「好き」の意味を知ってる
タクラマカン砂漠に咲いた情熱のすべてを燃やし尽くせる牡丹花
菜の花もセイタカアワダチソウの黄もゴッホの花瓶に収斂される
コスモスの咲くコスモスの散る庭に コスモスの種 やがて芽を出す
恋うれども葉は花を見ず 那珂川の彼岸此岸に引き裂かれおり
咲き誇るアイリスのように美しく気高いものを剣としたい
太陽に似たオレンジの半分の 私の片割れであるひとよ
糖衣がけの言葉で語るものだから毒の林檎は甘美に酔える




