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異能力者達の夜明け  作者: ゆーろ
冒険者達の午後
9/28

冒険者達の午後 破×3『考』

「冒険者達の午後×3」(Ⅱ)

0:ーーー「箱庭のメロス-考-」ーーー



0:登場キャラ


ガロ:男。ガロンドール・ウォンバット。冒険家。準ギルド「アホレンジャー」リーダー。


ジャイロ:男。ジャイロ・バニングス。賞金稼ぎ。準ギルド「アホレンジャー」


ノエル:女。ノエル・ベルメット。A級ギルド所属。元探偵。準ギルド「アホレンジャー」兼「グランシャリノ」


カラス:男。カラス。姓なし。侍。準ギルド「アホレンジャー」


マシュー:女。マシュー・ワンプソン。


ヘルマン:女。ヘルマン・ゼップバーン


ヴァン:男。ヴァン・ハンドレット


カルビス:男。カルビス・ラングナー


アインズ:男。アインズ・ブローカー


RS00:女。人工知能自立駆動型システムRSシリーズ


エドワード:女。エドワード・シャルル。



0:ーーー「箱庭のメロス」ーーー



RS00:(M)最初に感じたのは。体温。


0:水槽の中


RS00:(M)指先から身体の中心部にかけて、徐々に熱が与えられる。身に覚えのある、懐かしさを彷彿とさせる感覚。けれど、何処か自分とは程遠い場所にあるような。そんな感覚


0:RS00は徐々に目を開く


RS00:(M)瞼が開き、視界に情報が広がる。光、色、景色。その全てを認識する事が出来た。その場所は知らないが、情報を処理するには十分な既視感だった。


RS00:(M)そして。私の目の前にあるもの。あれが、私の『親』か。それは口を開き、声帯を揺らして意味のある言葉を発声した。


RS00:(M)ーーー「おはよう。RS00」


RS00:(M)私が、一番最初に聞いた、言葉。その時。私は私の名前を知った。


RS00:(M)言語は、F。『私を忘れないで』



0:1階 エントランスルーム前

0:13:00


ヘルマン:「さぁて。やっと二人きりだな。異能狩り」


ジャイロ:「ああ、最悪だよ」


ヘルマン:「それじゃあ聞かせてもらおうか。お前の古巣、「無題」はどうなったのか。」


ジャイロ:「聞くかぁ?普通。デリカシー無いって言われねえか、あんた。」


ヘルマン:「デリカシーなんてあったら警察やってないさ」


ジャイロ:「はっ。おっしゃる通りで」


ヘルマン:「で。どうなんだよ。ギルドでは上手くやってんのか。」


ジャイロ:「ああ、お陰さんで。そこそこは縁には恵まれたよ」


ヘルマン:「そりゃ何よりだな。」


ジャイロ:「無題の事は、別に話す事もねえ。あんたが知ってること以上は語る事はねえよ。」


ヘルマン:「そうか。リベール市警もまるで手を出せない案件だ。少しでも埃が出ればと思ったが、既に払い切ってるようだ。」


ジャイロ:「そりゃ良かったよ。」


ヘルマン:「…。最近な。A級ギルド達の動き方が妙に活発だ。特に、グランシャリノ」


ジャイロ:「ほお。なんで今グランシャリノの名前ができやがる?」


ヘルマン:「…。無題が、グランシャリノに完全合併されたからだ。」


ジャイロ:「……。おいおい。マジで言ってんのか…?」



0:場面転換

0:302号室


マシュー:「ここがジャイロさんの居た302号室ですが…」


カルビス:「おい、眼鏡ちゃん」


マシュー:「はい?」


0:カルビスは本をマシューに投げた


マシュー:「うわわっと、な、なんですか急にっ。」


カルビス:「それ、読んでみな。」


マシュー:「え。…グラビア誌じゃないですか!!なんでそんな事するんですか!というかどこから持ってきたんですか!セクハラですよ!セクハラ!!」


カルビス:「俺が持ってきたわけじゃないです!この部屋にだけ置いてあったんです!多分アロハボーイの私物じゃないですかねえ!?やめてください決め付け!逆に俺がそういう本を持っている様な人間だと、邪な目で見てるんですよね!セクハラですよセクハラ!!しかもそれを自分への性的被害かのように大袈裟に騒ぎ立てるのも自意識過剰だし被害妄想も甚だしいです!そもそも私はDカップもない貴方を女性とも見ていないのでご安心下さい!」


マシュー:「胸は見てるじゃないですか!!」


カルビス:「見てるよ!!!」


マシュー:「ええええええええ」


0:場面転換

0:1階 エントランスルーム


ジャイロ:「……なるほど、なあ。」


ヘルマン:「どうだ。古巣が荒らされていく気持ちってのは。流石のお前にも人情ってものが芽生えるか」


ジャイロ:「…さあ。兎にも角にも。試練ってのは、逃げても逃げても、しつこく背中を追ってくるもんなんだな、と。そう思ったよ。」


ヘルマン:「それを因縁って言うんだよ。」


ジャイロ:「……。オーダーは。まだ生きてるのか」


ヘルマン:「ああ。生きてるよ。お前らが受けたと噂のギルド試験からすぐ、パリで目撃情報があった。お前らギルドのエース格が偵察に向かったそうだが。以降は音信不通だと。」


ジャイロ:「……」


ヘルマン:「別に釘を刺す分けじゃあねえが。誤った選択だけはしてくれるなよ。」


ジャイロ:「十分釘刺してるよ。」


ヘルマン:「は。軽口を叩ける余裕があるならいい。」


ジャイロ:「なあ、ヘルマン」


ヘルマン:「なんだ」


ジャイロ:「うちのギルドに、ノエルってのが居るんだが。どうやら古い仲だそうじゃねえか。」


ヘルマン:「ああ。あいつがまだベルメット探偵事務所っつーギルドに居た頃からの仲だ。その頃のノエルはただの雇われ職員で、ギルドの一員じゃあ無かったが。」


ジャイロ:「やっぱり、噂の。つまりノエルの兄貴は、ニーア・ベルメットか」


ヘルマン:「やっぱり知ってるか。」


ジャイロ:「俺がこのギルドに入る前、賞金稼ぎ時代だ。色んな筋の連中が妙にベルメット探偵事務所関連の情報を消して回ってる臭いがした。いち個人に割く労力とは思えねほど。正直俺には関係ない話だとは思ってたが、ニーア・ベルメットの失踪に、何が関わっている。」


ヘルマン:「ああ、煙草もなしにこんな話をするのも虚しいもんだが。」


ジャイロ:「やっぱり知ってんだな。リベール市警じゃ古株で、しかも頑固と有名なだけある。」


ヘルマン:「5年前、リベールで起こった大量失踪事件は知ってるだろう。」


ジャイロ:「ああ。俺が無題を抜けたのも丁度5年前だ。その直後に起こった事だからな、よく覚えてるよ。リベール市民450人が原因不明の失踪にあったらしいな。最近はもう全くと言っていいほど聞かなくなったな。」


ヘルマン:「あの失踪事件は、不可解な点が多過ぎる。あれだけの大事件でありながら、メディアへの取り上げは無く、不自然なほど中央の介入も無かった。ギルドも同じく、ほぼ手放しの状態。当てつけのように市警刑事課が担当に当てられたが、事件規模の割に予算も無いような現状が1ヶ月続いた。」


ジャイロ:「そりゃあまた、変な話だな。街ではだいぶ騒ぎになってたが、外部への露出はそんなに少なかったのか。」


ヘルマン:「ああ、この状況には市警もお手上げだ。結果、私は旧縁のニーア・ベルメットを頼った。あいつは、私がフランスで一番信用している名探偵だ。」


ジャイロ:「御高名は聞き及んでたが、あんたが認める程か。頑固刑事」


ヘルマン:「は。認めざるを得ないんだ。あいつに依頼を出せば翌週には証拠と犯人を署に連れてくる。依頼を要請すれば必ず真相を突き止める。あまりに優秀なもんで、市警の一部でニーアに金を握らせて功績を奪おうとする賄賂未遂があったくらいだ。」


ジャイロ:「そりゃ凄い。国家権力も靴を舐める推理力か。お嬢の洞察力にはいつも度肝を抜かされたが、兄譲りって訳だな」


ヘルマン:「私からすれば、ノエルはニーアの足元にも及ばないよ。あれは賢過ぎる。」


ジャイロ:「それで、その賢過ぎる名探偵が、リベールの大量失踪事件にどう繋がる」


ヘルマン:「そりゃあ協力を要請したさ。だが、その2ヶ月後。ニーアの連絡は途絶えた。完全無敗の名探偵は、初めて真実を説き明かす前に、失踪事件に巻き込まれた。と刑事課は踏んでる。」


ジャイロ:「……」


ヘルマン:「その後の再捜査も全くと言っていいほど上手く回りはしなかった。相次ぐ辞職届、刑事の失踪。事件を深堀しようとすればするほど、人生に幕を下ろす事になると悟った市警は、ついに未解決事件としてその捜査班の規模を縮小し、今じゃ形ばかりの捜査班が毎日暇してるって状況だ。」


ジャイロ:「…。こりゃあまた。想像よりも遥かに深深としたものに足を突っ込んでやがるな、お嬢」


ヘルマン:「お前達のギルドは、全員そうだよ。とくにガロンドール・ウォンバット」


ジャイロ:「は?ガロにも何かあんのか」


カラス:「おい、うんこ。」


ガロ:「ジャイローーっ。お前も手伝えって!怒られるぞ!ノエルに!」


ジャイロ:「ああ。分かった。今行く。ったく、いい所でェ」


ヘルマン:「…今は、これ以上はやめておこう。お前達の行く道は、かなり困難の嵐だぞ、という事だけ伝えておくが」


ジャイロ:「なんだよ、そこまで話しておいてお預けか?」


ヘルマン:「老婆心ながら、心ばかりの遠慮というやつだ。ひとつだけ警告しておく。グランシャリノに深追いはするな。ノエルが失踪事件をまだ追っているなら、近い内に消されてもおかしくは無い」


ジャイロ:「……は。今自分達が生き残れるかも分からねえ状況でえ。」


ヘルマン:「は。まったくだな。」


0:3階フロア

0:探索チーム「カルビス アインズ ヴァン ヘルマン」


カルビス:「ほほ〜。シャワールーム。発見伝っ。」


マシュー:「シャワールーム以外はただの部屋ですね…。」


ヴァン:「遺体の髪が濡れてたってのは、恐らくこのシャワールームでか」


アインズ:「頭部だけ水で洗い流されていたからな。シャワールームじゃなく、水道でもなんでも良さそうだが、遺体を運ぶ手間を考えるとシャワールームが一番有用だろう。」


ヴァン:「ああ。濡れてるな。シャワールームが。入浴剤の香りもする。こりゃ誰かが遺体を洗ったって証拠だろう」


カルビス:「バカお前、ただの水浴びかもしれねえだろ。舐めとけよ床」


アインズ:「男の可能性があるなら俺は舐めない。無謀なリスクはひとつしか負いたくないんだ」


ヴァン:「なんの話しをしてるんだ。」


マシュー:「3階に泊まってたのはノエルさんと、ジャイロさんですね。」


カルビス:「ほらアインズ、2分の1であの探偵だぞ」


アインズ:「2分の1でアロハだろうが」



0:二階フロア

0:散策チーム「ガロ。エドワード。ジャイロ。ノエル。」


ガロ:「おー。二階も広いなぁ」


エドワード:「ここには、部屋とキッチンがあるね」


ガロ:「キッチン。いいなぁー、こんな状況じゃなかったら飯食いたかった」


ノエル:「待てよ。キッチンになら、包丁やナイフくらい置いてあるんじゃないか。」


ガロ:「え?そりゃあるだろうけど。なんで?」


ノエル:「被害者の傷には刺し傷と切り傷があったって言っただろ。狂気の調達は、キッチンから行えるな。」


ガロ:「あー、確かに。」


ノエル:「二階に居たのは…。確か、ヴァンさんとカルビスさんだったか?」


カラス:「え。覚えてねえ」


エドワード:「あ、えっと。うん。そうだよ」


ノエル:「起床時刻的に、起きてすぐ動いたにしても、ヴァンさんじゃあ不可能か。ジャイロどう思う。」


ジャイロ:「…」


ノエル:「おい、ジャイロ」


ジャイロ:「ん。ああ、そうだな。多分無理なんじゃないか」


ノエル:「…。キレがないな。何かあったのか?」


ジャイロ:「いいや。何も無い」


ノエル:「じゃあぼーっとすんなよ。こんな状況じゃ、ガロなんてまったく頼りにならない。カラスも土壇場だと直感力に優れてるけど、アテにしていいものでもない。」


ジャイロ:「ああ、分かってるよ」


ノエル:「分かってないから言ってるんだろ。もっと緊張感を持てよ。状況わかってるのか」


ジャイロ:「分かってるって」


ガロ:「おいお前ら。喧嘩すんなよ。」


ノエル:「…。喧嘩じゃない。生き残る為だ。ほら、行くよ」


0:ノエルは足早に二階を探索する


エドワード:「怖い人だね、ノエルちゃん」


ガロ:「いやあ、確かに怖いけど。いつもはあんなんじゃないんだよ。今日は、皆。なんか違う。」


エドワード:「そっ、か…。」


カラス:「…。」


0:場面転換


0:4階フロア

0:探索チーム「ガロ エドワード ジャイロ ノエル」


ノエル:「4階は、部屋と。倉庫か。」


エドワード:(M)倉庫には縄やノコギリ、ドライバー等の日曜大工品が置いてあり、木箱には埃を被っているのを確認し、長年使われてないことが伺える。


ガロ:「ここからも凶器出てくるんじゃねえか?」


カラス:「まあ、そうだな。鎌、ノコギリ、サバイバルナイフまで、十分な品揃えだ。」


ノエル:「その他に証拠になりそうなものは?」


ガロ:「特になさそうだな。」


ノエル:「…違うな。これも、違う。」


ジャイロ:「おい、何1人でブツクサ言ってんだ。」


ノエル:「考えてんだよ。」


ジャイロ:「お。おう、そうか。」


0:ノエルは爪を噛んでいる


ノエル:「…」


ガロ:「なあ、ノエル」


ノエル:「なに。」


ガロ:「お前。なんか焦ってんのか?」


ノエル:「は?」


ガロ:「さっきもそうだけど。なんかお前らしくねえぞ。」


ノエル:「なにが。」


ガロ:「お前が誰かにそんなふうに八つ当たりするだなんて見たこと無かったし。何より、お前。」


0:ガロはノエルを指さした


ガロ:「俺たちのことも疑ってるだろ」


ノエル:「…!」


エドワード:「ちょ、ちょっとガロっ。」


ジャイロ:「野生の直感力ってやつかねえ。毎度、しょうもねえところで核心つきやがる」


ノエル:「…。疑ってたらなんだ。」


ガロ:「疑われたなら悲しいだろっ。俺達は仲間だぞっ。」


カラス:「俺はお前に疑われて殺されかけたけどな」


ガロ:「いやあ悪かったって」


カラス:「まあ、別にいいが」


ガロ:「俺、馬鹿だから難しい事は分からねえ。でもさ、前、カラスがアンドンのおっさんを殺したんじゃないかって思ったとき。すっげーーー悲しかったんだ。」


ノエル:「…」


ガロ:「だから、もう決めた。俺は、俺が信じる仲間を信じる。俺は、お前らだけは犯人じゃねえと思ってる。そう信じてる」


0:ガロはノエルの目を見ている


ガロ:「お前は俺の仲間だろ。」


ノエル:「…。そうだけど」


ガロ:「じゃあ、俺を信じろ。俺たちを信じろ。じゃなきゃ、いつか。仲違いする気がする。」


ノエル:「そんなの無理だよ。こんな状況で、自分が昨日まで何をしていたかも思い出せないのに、完全に人を信じるなんて出来ない。」


ガロ:「信じるのが仲間だっ。それに、お前らが居ないと、俺冒険が楽しくない!」


ジャイロ:「熱血入っちまったなあ」


エドワード:「ガロって、なんか面白いね。」


カラス:「筋金入りの変人だよ。近年稀に見る」


ノエル:「………。」


ガロ:「まあ、わかんねえ。ノエルの言う通り、昨日の記憶が無いんだ。覚えてないだけで、俺が殺したかもしれない。でも、その時はその時だ!きっとその、なんたら思考裁判ってので犯人は見つかる!」


ノエル:「言ってること滅茶苦茶だぞ」


ガロ:「ああ。だから、俺が犯人だったら、ちゃんとお前らが俺を殺してくれ。」


ジャイロ:「…」


エドワード:(M)出会って間も無いが、ガロンドール・ウォンバット、という人間を言い表すなら。有り体な言葉を使うと、光だ。潔く、真っ直ぐで、だからこそ屈託のない言葉は何よりも強く心を打つ。少なくともこの場では、私たちの心にあるモヤモヤとした疑心を打ち消す、確かな光だった。私はふと既視感に苛まれ、思わず笑みが溢れてしまった。


ジャイロ:「ったく。お前の言う通りだよ、ガロ。記憶がねえってのに疑うなは無理があらァ。だから、少なくとも、犯人が割れるまでは信用する。お前なら、もう一度歩いていいと思ったんだ。でなきゃあ、ギルド試験の時、俺ァもう諦めてる。この場にいねえよ」


ガロ:「だっははっ。あのロシアンルーレットなっ。」


ノエル:「で、でもっ。人が死んでるんだぞっ。」


ガロ:「そりゃ悲しいし、喜べるテンションでもねえけどよ。人はどーせいつか死ぬんだ。じゃあ、それまでは。俺が好きなやつと、好きなことして死にてえ。だから、俺は死ぬまでお前らを信じる」


カラス:「っつー事だ。俺も切り替えるよ、よろしくな、容疑者A共」


ガロ:「だっははっ。それ、いいなぁー。」


ノエル:「…。はぁ。」


0:ノエルはその場に大の字で寝転がった


ノエル:「やーーーめた!」


ガロ:「お?」


ジャイロ:「あ?」


カラス:「は?」


エドワード:「え?」


ノエル:「ちょっと頭回しすぎて疲れちゃった。みーーんな敵に見えたし。異常性が絡んでるなら、お前らが本物かどうかも怪しいだろ?」


ガロ:「え。あ、そうか。お前偽物かもしれねえの?」


ジャイロ:「いや。俺は本物だ。お前は?」


エドワード:「いや、本物本物。ほら、ほっぺがいたたたた」


ガロ:「んだっ。それにほら、もし偽物でも、本物の俺はどっかにいるだろ?そんときは本物の俺をひっぱたいてくれよ。」


ノエル:「ぷっ。はは、ああ。だからもうやめた!余計な事まで考えない!そうだよ、私はあくまで、元探偵だっ。こんな事件、隅から隅まで解決してやる必要なんかないっ。犯人だけ探せばいいんだろ?私たち以外の」


ガロ:「おうっ。そーだそーだ!」


カラス:「調子戻ってきたな、おい。」


ノエル:「かも。ちょっとさ、昔の夢を見てたんだ。」


ジャイロ:「お。奇遇だな。俺もだよ。このモーテルで目が覚める前だろ?」


ガロ:「え?俺もだけど」


カラス:「俺もだ」


ノエル:「まじで!?」


ジャイロ:「こりゃあ、黒幕の仕業かもしれねえな。記憶が無いっていうのもそれに繋がってる可能性がある。」


ノエル:「このモーテルに宿泊した時か…。毒でも盛られたか。いやいやいや!そうだ!今はそれどころじゃない!まずは犯人を探す!これに限るんだっ。」


ガロ:「おう!で、あのテレビ女が全部知ってんだろうから、あいつぶっ飛ばして生きて帰るぞ!皆で!」


ノエル:「おおっしゃやったらぁ!」


ジャイロ:「はっ。良かったよ、本当に。調子戻ったようで」


ノエル:「お前もな、ジャイロ」


エドワード:(M)凄い。あれだけ、どす黒い。沼の底のような心情が。一気に晴れた。仲間だなんて、縁遠い言葉で、古臭くて、でも。ただの綺麗事じゃないということは、よく分かった。


0:エドワードは零れるように呟いた


エドワード:「…いいな。」


ガロ:「…おお?」


ジャイロ:「今なんて?」


エドワード:「あ、いや。私、そういう友達とか、いた覚えないから、いや記憶自体ないんだけど。でも、いいなって。ほんと、単純にそう思った」


ノエル:「ふふん。じゃあ…。お前ら、ちょっとこい」


0:ジャイロ、ガロ、カラス、ノエル、ごにょごにょ


ガロ:「おーー!めっちゃいいなそれ!」


エドワード:「え、なに。なに。」


ガロ:「お前さ!ギルドに入らねえかっ。」


エドワード:「えっ。ギルド…?」


ガロ:「そうだっ。まだ準ギルドだけどよっ。いつかちゃんとした正規ギルドになって、で!世界中冒険するんだっ。」


エドワード:「いや、でも、私全然戦闘経験とかも無いと思うし」


ノエル:「私もないよ。からっきし」


エドワード:「…」


ジャイロ:「行く宛てもねえならいいじゃねえか、俺としちゃあ女が増える分には大歓迎だからな。」


カラス:「お前は本当に馬鹿だな」


ガロ:「なっ。だからお前。俺の仲間になれっ。」


エドワード:「…。うん。いいよ」


ガロ:「えー!まじで!」


ノエル:「はは、まじか」


ジャイロ:「ぅしゃうぉらァァァァ!」


カラス:「お前1番喜んでるな」


ガロ:「じゃあ、よろしくなっ。エドワード」


エドワード:「…。エドでいいよ。ひひ、そっちの方が呼びやすいでしょ。」


ガロ:「お。ああ!確かに、こっちの方がしっくり来るわ。よろしくな、エド。」


0:二人は握手した。


ジャイロ:「おぉーい!俺も握手させろ!手触らせろ!」


ノエル:「露骨か」


ガロ:「さぁーーて!そんじゃあ…!」


エドワード:「うん。ちゃちゃっと、この異変、攻略しちゃおうっ。」


ガロ:「っしゃー!俄然やる気でできた!行くぞお前ら!」


ノエル:「えっ。ちょっ、やば!なんか踏んだ!」


ガロ:「え?」


ジャイロ:「あーー!なんかエチチな角度に転けてやがるガロとノエルの野郎!羨まし…いや別にいっか!ノエルだし!」


0:ノエルとガロがこけている


ガロ:「お、おお……」


ノエル:「痛い……痛い……!」


カラス:「何やってんだお前らは」


ガロ:「お前が急に倒れたんだろ。何してんだよ」


ノエル:「なんかに引っかかった。なんだこれ、もう。」


0:ノエルは地面に落ちている縄を拾った


ノエル:「おお。麻縄」


ガロ:「なんでそんなのが地面に落ちてんだよ、くそ」


ジャイロ:「落ちるだろ別に」


カラス:「…。ちょっと待てよ。遺体の状態って、拷問された跡だったよな」


ノエル:「…!拷問に縄は付き物か…!」


ガロ:「お!凶器か!」


0:ノエルは慌てて麻縄を調べる


エドワード:「……。ど、どうデスカ?」


0:麻縄の中腹部を指さした


ノエル:「……。ここだ。ここが伸びるように不自然に解けてる。相当キツく何かを縛ったか、縛られたものが暴れたか、少なくとも経年劣化による糸割れじゃあないな。それに、うん。本当に少し。少しだけ、濡れてる。もう殆ど乾いてるけど。」


カラス:「ひとつ、証拠品確保、だな。」


エドワード:「じゃ、じゃあそれ以外にも何かあるかも!黒幕がどこかからテレビを接続してるかもしれない!」


ノエル:「よし。皆、手分けして徹底的にこの倉庫を調べるよ!」


ガロ:「おう!任せろ!」


0:場面転換

0:13:30

0:5階フロア


ヴァン:「…。3階は、特に何も無いな。部屋だけだ」


カルビス:「ここまで特に進展無しだぁ。肝心の凶器も見つからねえんじゃあしょうがねえ。一部屋ずつ漁るかぁ?」


アインズ:「どうせ時間は余るんだ、総ガサ入れするしかねえだろうよ。」


ヴァン:「……。」


アインズ:「ん。なぁに立ち止まってる、アーヘンの」


ヴァン:「いいや。カルビス・ラングナー、とか言ったな。」


カルビス:「はぁい?」


ヴァン:「お前。自己紹介の時、製造系会社のリーマンだって言ったな。」


カルビス:「ああ、言ったが。それが何か?」


ヴァン:「…。いいや。何も無い」


0:場面転換

0:4階フロア 倉庫


ノエル:「暫く探し回ったけど、収穫無し、か。」


カラス:「てめえのせいだぞエロアロハ」


ジャイロ:「絞めるぞアホござる」


ノエル:「とにかく、一つだけとは言え、確実に犯行に使われた道具を発見できたのはでかい。ナイフやハンマーもあったけど、確実に犯行に使われたかと思うと怪しい。」


0:倉庫の扉が開く


マシュー:「失礼しますっ。あ、あの。皆さん、少し、いいですか」


エドワード:「マシューさん?」


カラス:「おお、眼鏡じゃねえか。」


ノエル:「ちょうど倉庫の捜索が終わったところだ、私達も皆と合流しようと思ってたけど。何かあったか?」


マシュー:「は、はい。その、私達さっきまで6階フロアを探索してたんですけど、その。ーー被害者の部屋っぽいものを見つけまして…」


エドワード:「……!」


ジャイロ:「おいおい、まじか。」


0:場面転換

0:6階フロア

0:605号室


エドワード:(M)6階フロア。ガロとヴァンさんを除く8人が一同に集い、各々が思考をめぐらせている。被害者が宿泊していたと思われる605号室で、ベッドシーツ、枕カバーに血の跡を確認。


ヘルマン:「……。」


エドワード:「うっ……。」


ヘルマン:「おい、現場に吐くなよ。貴重な証拠が虹色になる。」


エドワード:「す、すみません。ここで殺害があったと考えると、うっ。」


ヘルマン:「はあ。まあ、トーシローならしょうがねぇが。ノエル、そっちはどうだ。」


ノエル:「はい。シーツが引きづられるようにしてベッドからズレ落ちてます。ただ、争った形跡等は無さそうですね。」


アインズ:「枕カバーにも血痕があるなら、一番最初の犯行現場は、この部屋でほぼ確定か。」


ジャイロ:「ああ、寝込みを襲われました。って言ってるようなもんだ。他にはなにか見つかったか?」


マシュー:「あ、あの…。化粧台、なんですけど」


カラス:「あ?化粧台がなんだ」


マシュー:「ひぃ、すみません、化粧台が、濡れてるんですっ。いやほんと、それだけです、すみません」


カラス:「化粧台が濡れてる?」


0:化粧台を見る


マシュー:「化粧台は一応、小さな鏡と、手が洗えるくらいの洗面台があるんです。朝目を覚ます時には必ず顔を洗うので、それで使いました、よく覚えてます」


ノエル:「この605号室の散策が初めてである以上、少なくとも、被害者か加害者のどちらかがその洗面台を使った、という事になるか」


カラス:「もしくは首謀者、だな。」


アインズ:「もう一つ、発見したことがある。」


エドワード:「他にも、なんですか!」


アインズ:「ガロンドールの泊まっていた602号室の通気口だがな。唯一、2階のキッチンフロアと繋がってるんだ。」


カラス:「通気口だぁ?」


ジャイロ:「どこにでも繋がってそうなもんだが。他の部屋は無かったのか。」


ヘルマン:「ああ。602号室のみ、唯一目立つ柵があったんだ。外してペンを落としてみたら、2階のキッチンフロアの端っこに落としたペンが着地してたって話だ。」


エドワード:「そう、ですか。」


ジャイロ:「あまり有益な情報とぁ思えねえな。人が入れるほどの大きさか?」


ヘルマン:「ああ。人一人ならなんとか。」


ジャイロ:「なるほどなあ。まあ、一旦は持ち帰りだ。」


カルビス:「最後に、6階フロアにだけ、テレビが無かった。」


ノエル:「テレビ…?あのテレビ女が時報アナウンスを流してたテレビか?」


カルビス:「ああ。大した手がかりにもならねえかもしれねぇが、一応報告だ。」


エドワード:「そうだね。何はともあれ、まずは犯人、いいや。黒幕の証拠を見つけないと。」


ノエル:「さて。残るは5階、か。」


0:場面転換

0:5階フロア

0:501号室


エドワード:(M)501号室。私の起きた部屋だ。私が部屋を出た時から何も変わらず、そのままの状態を保っていた。その時、私はとあるものを探していた。


ジャイロ:「ああ〜〜!女の部屋だ〜!枕ぁ〜!あぁ〜!枕からシャンプーの!女の匂いだ〜!!ちょっとヨダレの匂いもするねえ!?」


カラス:「ほんまにきもい」


ノエル:「うん。特に変な所は無いな。タンスに凶器が隠れてるわけも無し。」


エドワード:「まあ、そりゃそうだよ。あっ!そうだそうだっ。忘れる前にっ。」


0:エドワードは本棚から本を手に取った


ジャイロ:「お?なんの本だ?それ」


エドワード:「ああ、ガロに返そうと思って。これ、ガロのでしょ?」


0:エドワードはノエルに本を手渡した


ガロ:「ん…?おお!?これえ!」


ジャイロ:「ガロの冒険譚じゃねえか!クソダサポエム集!」


カラス:「なんでガロの冒険譚をお前が持ってるんだ?」


エドワード:「持ってるも何も!最初からこの部屋にあったんだよっ。ただ、ガロンドール冒険譚って書いてあったから、ちゃんと渡そうって思って。きっと大事な物なんでしょ」


ガロ:「おっ。おおおっ!無くしたかとおもったよマジでー!ありがとう!エド!」


エドワード:「にひひ、ちゃんと大事に持っときなよ」


ガロ:「ああ!まじ助かったよ〜!」


0:場面転換

0:506号室


カルビス:「なんか。」


アインズ:「ああ、なんつうか。」


マシュー:「あわわわわ」


ヘルマン:「マシュー。お前の部屋。乱れすぎじゃねえか?」


0:あらゆる物が散乱している


マシュー:「すすすす、すみませんっっ!いやもうほんっっと、朝すっごい急いでてっ。どこだここーっ。なんだこれーっ。てなってるうちに、もう、こんなんなっちゃって…」


カルビス:「なんでソファがこんなに傾いてるんだ?」


マシュー:「あ、えっと。起きた時、このソファに居たんですよ…」


ヘルマン:「だが、ベッドシーツには寝返りでズレてた跡がある。なんでソファで目が覚めたんだ?」


マシュー:「え、いや。分かりません、寝ぼけてたのかな…」


アインズ:「一通り荒らしたが。とりあえず、凶器も隠してねえ。荒れてること以外の不信感はねえな。」


マシュー:「うっ。疑わないでくださいっ!やってません私は!」


アインズ:「はいはい」


0:ーーーーーーーーー


RS00:『はーーいどうもこんにちは!RS00ですっ。寂しかった?寂しかったでしょうっ。今回お話するのは〜っ。これまた面白い実験の話ですっ。』


RS00:『それでは、ユークリッド思考実験についてお話します。』


RS00:『それは思考であり、感情であり、人間性。「こうしたい」と願った感情は、行動と結果の座標を強制的に結び付け、一切のプロセスも原因も無しに、結果だけを引き起こせる超常と呼ばれました。』


RS00:『ユークリッド思考実験はある意味、意志の「引力」というものを試した実験と言えます。詳細は……。内緒!それじゃあ、またねねねね〜!』


0:ーーーーーーーー


エドワード:(M)こうして。エントランスルームの見張りを各ローテーションしつつ、モーテルの細かな散策を終えた。黒幕に繋がる糸口こそ無かったが、殺人の証拠はそれなりに揃ってきた。各々が探索、考察を終え、午後19時40分。カフェテリアにて、21時から始まる思考裁判に向け、最後の情報整理を行っていた。


0:19:40

0:1階 カフェテリア


カラス:「すかーーっ。すかーーっ。」


マシュー:「ひ、ひぃ。寝てる。こんな状況で…」


エドワード:「つ、疲れた〜…カラスくん、私も寝たいぃ」


ジャイロ:「揉んでやろうか、胸」


エドワード:「うわぁ〜ありがとぉ〜」


ノエル:「騙されてるぞ、エドワード」


ヴァン:「モーテルの全貌も見えてきたが…」


ヘルマン:「ああ、だいぶ整ってきたんじゃないか。イマイチ、確証に近い証拠は掴み損ねてる気がせんでもないが……」


RS00:『はいはーーい!そんな君たちに!朗報!』


ヘルマン:「この声…!」


エドワード:(M)もう、何度も。何度も聞いた。聞いただけでむかっ腹の立つ、場違いな声。その唐突な登場に場がピリつく。


マシュー:「でででで、でたぁ〜!」


ガロ:「テレビ女!次はなんだ!」


ジャイロ:「しゃしゃり出てんじゃねえぞボケ!」


カルビス:「さみぃ〜んだよ!」


RS00:『え。いや、今回は本当に、みんなを助けようと思って……』


エドワード:「嘘つくな!」


RS00:『ほ、ほ、本当なのに…!びっ!びえええええええっ!へけっ!へけええっ!』


エドワード:「その薄ら寒い演技をやめろ…!」


RS00:『やめます。いやね、今から約一時間後に思考裁判を控えたわけなんですけども。私思いました。ちょ〜っと難易度高くね?と。だってみんな記憶ないわけだし』


ヴァン:「はっ。よく分かってんじゃねえか」


アインズ:「だったら何だ?ヒントでもくれるってか?」


RS00:『そのとぉーーーーりぃ!』


カルビス:「ワオ!」


エドワード:「はぁ……?」


RS00:『今から皆様には、「水平思考Q&A」を受ける権利を差し上げます。』


カラス:「水平思考…?なんだぁそりゃあ」


RS00:『ん〜まぁつまり!この何でも知ってるめちゃくそに物知りな私、RS00に「何でもひとつ質問できる」権利をあげちゃいますっ。こ〜んの商売上手っ。持ってけ泥棒っ。』


ガロ:「まじで!?」


ヘルマン:「…。」


エドワード:「何でもひとつ…」


ノエル:「随分太っ腹なんだな。」


RS00:『さっきも言っただろ?こんなのは難易度が高すぎる。空想と妄想がぶつかる光景ほど虚しいものは無いからね。私なりの気遣いだよ、これ』


ジャイロ:「……。どうする?正直、やらない手は無いとは思うが」


ガロ:「でもアイツがムカつくからアイツの手を借りたくない!」


RS00:『ああ、違うよ。これはヒントではあるけれど、証拠品の収集の一環だと思ってくれて構わない。因みに、後にも先にもこのQ&Aは今回きりだっ。次の殺人でも、次の次でも、次の次の次でも、私はQ&Aを開催しないよ!気分じゃない限り!』


ヘルマン:「だとよ。」


ノエル:「……。」


エドワード:「やりましょう。」


ノエル:「エド……」


エドワード:「真相に近づく為なら、悪魔の手でも、それこそ黒幕の策略だって利用してやる。お前にとって戯れなのかもしれないが、それで後悔するのはお前だぞ。RS00」


カラス:「はっ。いいじゃねえか。俺も受けるに一票だ。」


ノエル:「まあ、証拠品と来たら回収しない訳にも行かないしな」


ヘルマン:「捜査じゃあ刑事のプライドを捨てなきゃならんタイミングがいちばん遺憾だ。だがまあ、それが今なんだろうよ。」


アインズ:「俺も、異論なし」


カルビス:「ねえなあ。」


マシュー:「私もありません!逆に!ありがとうございます!いや本当に!」


ジャイロ:「だとよ。どうする。ガロ」


ガロ:「ぐぐぐ。わかったよ…っ。乗ってやるっ!」


エドワード:「その変わり、絶対にあいつ、吠え面かかそうな、ガロ」


ガロ:「おう!当たり前だ!!」


RS00:『はーーーいご注文頂きましたァ!ただしその前にっ。条件が二つあります。ひとつ、犯人を特定出来る様な情報には回答しない。ふたつ、私はYESかNOでしか答えない。逆にYESかNOで回答できない質問については無効。この二つ条件のどちらかに抵触すれば、つまり折角の大チャンスNEXTシャカイフッキコンナンズヒントは無駄打ちとなりますのでご注意を!』


ジャイロ:「名前変わってんじゃねえか」


カルビス:「こりゃまた、粋というか、なんと言うか。」


ヴァン:「犯人を特定出来るような情報って言うと。例えばなんだ。」


RS00:『例であれば、「私は犯人ですか」という問に対して私がNOと答える。すると、君達は全員同じ質問をする。ローラー作戦の末、最終的に誰が「YES」が出たかを割り出さてしまうだろう?流石にそこまでの助力をしてやる義理は無いし、私の主義に反する。その細かいレギュレーションはその時の私の自由で突飛な発想で考えるが、一先ず!このQ&Aで答えを求めすぎないように!』


ヴァン:「なるほど。いちいちムカつく程ゲーム性が高ぇじゃねえの」


アインズ:「で。二つの、YESかNOで答えられるっつーのは、まんまか?」


RS00:『そう、まんまだよ。「白か黒どっちが好き?」という質問には答えられないだろう?ああ、因みに!答えがYESの場合は、YESのカードをお渡しします!NOの場合はNOカードを!回答不可の場合は、回答不可のカードをお渡しします!』


ヘルマン:「それが思考裁判での証拠になる、と。質問内容の相談はアリか?」


RS00:『え。あー。うーーん。無しで!無しということにしました!貴方たちは質問内容について相談する事が出来ません!』


カラス:「今決めたな」


RS00:『あ〜因みに、Q&Aは個別のブースで行うから、そこん所よろしく〜!開始は……20:15からにしようかな!うん!そんくらい!じゃあそれまでに何を質問するか考えといてね〜!またの〜!』


0:テレビが消えた


エドワード:(M)「また、テレビが消えた。いい加減あいつの鬱陶しさにも、私が一番慣れてきたと言ってもいい程、ムカつき倒した。その場に残ったのは、今から誰が何を質問するのか、というまた猜疑心にも近い何かだった。」


0:全員が立ち尽くしている


ヴァン:「…。マシュー、今何時だ」


マシュー:「あ、えっと。20時3分です。」


ヘルマン:「考える暇もなし、か。」


ノエル:「舐めプだろうがなんだろうが、貰った限りは私は有効に使いますよ。」


アインズ:「15分って言ってたしな。一本くらい吸えるか」


エドワード:「Q&Aが終わったらすぐ思考裁判に突入、ですかね。」


ヘルマン:「だろうな。時間的にも、ここで話すのが日常会話としては最後になるかもしれない。」


カルビス:「縁起でもねえ〜」


ガロ:「う〜〜〜ん。分からん。何を質問すりゃいいんだ」


ジャイロ:「だから相談できねえんだって。いいか、無駄打ちすんなよ、ガロ」


ガロ:「ああ、わかった」


ジャイロ:「本当にわかってんのか。」


カラス:「最後に晩飯食っときたかったな」


マシュー:「あ、確かにそうですね、思えば捜査に夢中でしたし…。で、でも流石に思考裁判まであも数分じゃあ喉は通りませんけど。」


エドワード:「……。皆」


ガロ:「お?」


エドワード:「私。皆と、外に出たい。」


カルビス:「なんだなんだぁ〜?死亡フラグかぁ〜?」


エドワード:「ううん。ただ、言っておきたくて。必ず。ここにいる誰一人も欠け無いように。頑張ろう」


ノエル:「は、当然。エドはウチに来る予定なんだから」


カラス:「ギルドの道は険しいぞ〜。とくに迷子犬の捜索」


ガロ:「だっはは!よっしゃあお前ら!頑張るぞーー!」


エドワード:(M)こうして、各々が自分の疑問を解消するべく。真実に到達するべく、その質問の内容を熟考しに向かった。次会う時は、思考裁判。どういう流れになるのかは全く分からないが、犯人を決める場所だ。恐らく、激しい疑いあいになる。


0:場面転換

0:6階 喫煙所

0:タバコを吸う4人


ヴァン:「あ゛ぁ゛、うまい。」


ヘルマン:「悪いな、貰っちまって」


アインズ:「ああ、いいってことよ。喫煙者の情だ。」


カルビス:「いやあ、モーテルに宿泊で煙草切らすだなんて。風上にも置けねえな。」


ヴァン:「かたじけない」


ヘルマン:「私も常に常備してるんだがなあ。何故か無い。だが助かったよ、脳が回転していくのを感じる。」


ヴァン:「分かるなあ。」


0:ヘルマンとヴァンは最後のひと吸いを吸い終えた


ヴァン:「美味かったあ、生き返った。ごちそうさん」


ヘルマン:「ご馳走様。私達はこのまま6階フロアの探索へ移るが」


アインズ:「もう一本吸っていくよ。先に戻っててくれ。流石にもう一本、だなんて図々しいことは言わねえよな?」


ヴァン:「弁えている、ごゆっくり」


0:二人は喫煙所を去った


アインズ:「…」


カルビス:「さて。どうする?もう一本くれだなんて図々しい事は言わねえんだったよな?」


アインズ:「だが、俺のライターが無けりゃお前さんも詰んでるわけだ。俺達は運命共同体なんだよ。カルビス」


カルビス:「はっ。冗談だよ。ほれ。」


0:カルビスはアインズにタバコを差し出した


アインズ:「よし。それでいいんだよ。」


0:二人は煙草に火をつけ、煙を肺に入れた


カルビス:「…。ああ、美味い」


アインズ:「こんな美味いものを、常備しないはずがねえんだよ。喫煙者が。」


カルビス:「ましてや、お前が持ってこない筈もねえんだよ。それは俺がいちばん良く知ってる。」


アインズ:「俺はライターで、お前さんが煙草。さっきの携帯のくだりも妙だったな。お前、持ってる?」


カルビス:「いいや、持ってねえ」


アインズ:「ってことは。必要じゃないものだったって事だな。まるで、「無人島に何か一つ持っていくなら?」みたいな現象だ。」


カルビス:「ああ。そりゃまあ、煙草だろうな。俺らは。」


アインズ:「で。どこまで気づいた?相棒」


カルビス:「いやあ、吸った覚えのねえタバコが8本。吸ってあるなあって。」


アインズ:「つまりなんだ。これは、「昨日」を……。いいや、「嘘をついたやつがいる」証拠だって事か?」


カルビス:「どうだかなぁ。煙草が残り6本。今日吸ったのはあいつらにあげた分含めて6本。おかしいなぁ。帳尻合わねえよ。無人島に何か一つだけ持って行けるなら、俺なら「20本入りさらぴんの煙草」って言うに決まってるんだからよ。」


アインズ:「間違いねえよ。お前なら。」


カルビス:「自分に信頼があるってのはぁ美学だねえ〜。」


0:二人は煙を吐いた


アインズ:「こんな異常性、あり得ると思うか?」


カルビス:「いいや。異常性関連の何かしらなのは間違いねえんだろうが。こりゃあ、その範疇から大きく逸脱してやがるよ。」


アインズ:「ったく。こちとら仕事が溜まってるってのに。お前の」


カルビス:「まったくだ。グラビアでも読んで気晴らしたい気分だな」


アインズ:「ああ。もしくは、冒険譚、とかな。」


カルビス:「やっぱりお前とは気が合うよ。最高だ。」


アインズ:「ああ。最悪の気分だ。」


0:2人はタバコを吸った


カルビス:「まぁ、タイミングは適当な所で決めよう。ただ、こりゃお前にやるよ。」


0:カルビスはアインズに煙草を渡した


アインズ:「決着は?」


カルビス:「煙草が尽きるまでだ。」


アインズ:「そりゃつまり、今日だな」


カルビス:「ヘビースモーカーは苦労するねえ。」


0:ーーーーーー


エドワード:(M)考えた。目一杯、考えた。私が今、本当に知りたい事を。私が知りたい真相を。この先、後悔のないよう。暫く深呼吸をして、1階に突如現れた10個の懺悔室の中に。足を踏み入れる。


0:Q&Aルーム


RS00:『やあ。エドワード・シャルル。水平思考Q&Aルームへようこそ。』


エドワード:「…。やあ。RS00」


RS00:『さあ。質問を。どうぞ』


エドワード:「……。」


0:エドワードは拳を握った


エドワード:「私が聞きたいのはーーーー」

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