冒険者達の午後 破×3『解』
冒険者達の午後 破×3(Ⅲ)
0:ーーー「箱庭のメロス-解-」ーーー
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0:登場キャラ
ガロ:男。ガロンドール・ウォンバット。冒険家。準ギルド「アホレンジャー」リーダー。
ジャイロ:男。ジャイロ・バニングス。賞金稼ぎ。準ギルド「アホレンジャー」
ノエル:女。ノエル・ベルメット。A級ギルド所属。元探偵。準ギルド「アホレンジャー」兼「グランシャリノ」
カラス:男。カラス。姓なし。侍。準ギルド「アホレンジャー」
マシュー:女。マシュー・ワンプソン。
ヘルマン:女。ヘルマン・ゼップバーン
ヴァン:男。ヴァン・ハンドレット
カルビス:男。カルビス・ラングナー
アインズ:男。アインズ・ブローカー
RS00:女。人工知能自立駆動型システムRSシリーズ
エドワード:女。エドワード・シャルル。
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0:ーーー「箱庭のメロス」ーーー
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0:地下
0:思考裁判所
エドワード:(M)目を開けると。牢獄の様な薄暗さを灯した円卓上の裁判所に通された。扉は無く、鳥籠の様な形状で覆い被さる鉄格子がお互いを隔てる。鳥籠は時間が経つにつれ、ひとつ。またひとつと降車し、円卓上に10個の鳥籠を作った。無機質な証言台に立たされ、また、各々が容疑者である。円卓の中心モニターからテレビが点灯し、それと同時に。薄暗い裁判所にも暖色の明かりが仄かに差し込んだ。
RS00:『はーーーーいどうもっ。おはようございます!こんにちは!こんばんは!!大変長らくお待たせしましたっ。時刻は21時、夜もフケフケ!「ユークリッド思考裁判所」へようこそっっ!今回裁判長を務めるのは私!RS00です!どーーーぞよろしくっっ!』
0:全員が重い眼差しでモニターを見つめる。
エドワード:(M)エンターテインメント番組の司会のような物明るさに苛立ちを覚えるが、声の主は構い無しに話を進行し、また。私達の鳥籠が僅かに揺れ出す。
RS00:『まずは、思考裁判の簡単な説明を始めますっ。今回の被害者、Aさんを殺害した真犯人を見つけ出してください!犯人は投票制での指定になり、指定された人はその場で即刻処刑となります!』
エドワード:「……。」
ヘルマン:「まぁた。命をなんだと思ってやがる」
マシュー:「人殺しは死んで当然って事ですか…!?ひょえええっ。」
RS00:『ちなみに!処刑は真犯人であろうが、冤罪であろうが執行されます!ご安心ヲ!』
マシュー:「ひょえええええっ。」
RS00:『処刑された容疑者が真犯人であった場合は、晴れてゲームクリアとなりますっ。しかし、推理を外してしまえば……。ゲームは続行!また明日の朝になれば人が死に、再び記憶は無くなったり無くならなかったりして、イタチごっこの無限ループを体験していただくことになりますっ。長ったらしい説明は以上!』
エドワード:(M)手の平が汗で滲んでいくのを感じる。もし、容疑者を間違って指定したら、人が一人、確実に死ぬ。だから、ここで必ず正解を導き出さなきゃ行けない。さっきまで一緒にご飯を食べた人を、疑わなければならない。間違いは、許されない。頑張れ。頑張れ、エドワード・シャルル。
RS00:『それではーーーー。思考裁判っ!開始ぃいっ!』
0:RS00はギャベルを叩いた
ノエル:「…。始まりましたね。」
ヘルマン:「いざ来たら、随分な仕掛けじゃないか。鉄格子に。鳥籠の中に入れられた気分だ。」
ジャイロ:「こりゃあやっぱり、とんでもない物に巻き込まれちまったなあ」
アインズ:「なんかの異常性かぁ?こんなの大掛かり且つ強力なものは聞いた事もねえが。」
カラス:「刀でも斬れねえ。こりゃ中々の強度」
ノエル:「試したのか」
マシュー:「しょ、処刑は嫌です!まだ死にたくありません!せめて貯金を全て使って!有給を使ってから!」
ガロ:「そうならねえ為に頑張ろうって話したんだろ!」
マシュー:「はぃいい、すみませんんん」
エドワード:「よし…!腹括ったっ。頑張るっ。皆、必ずこの中に黒幕が潜んでいるっ。被害者を殺したのも、黒幕と犯人が繋がっている可能性だって充分あるんだっ。」
ガロ:「つまり。黒幕を暴けばいいってことか?」
ノエル:「まあ、それが一番早いだろうけどね。なー?RS00」
RS00:『ぎ、ぎくー!なんでそんな目線を向けるのッ。酷いでショッ。』
ジャイロ:「確かになあ。お前さえぶっ飛ばせば全部分かるんだ。お前をぶっ飛ばすための思考裁判として使わせてもらうぜ」
RS00:『そりゃもう、好きなようにしてくれていいんだけども。私が黒幕ってもう決めつけてる感じ?』
ヘルマン:「だってこのモーテルの管理者はお前なんだろう?お前、言ってたよな?」
エドワード:「確かに、バッチリ言ってたね。管理人だって。」
RS00:『か、管理人だからって黒幕とは限らないでしょっ。ンモー!これは私の正体を暴く裁判ではありません!しっかりしてー!』
ジャイロ:「まあ。犯人を暴いてる最中でお前にぶち当たるかもしれねえからな」
カラス:「結局、真面目にやるしかねえって事だな」
RS00:『そうだそうだーっ。真面目にやれーっ。』
ヴァン:「まずは、遺体状態から再確認しよう。ヘルマン」
ヘルマン:「ああ。遺体の死亡推定時刻は今日の朝7時から8時にかけてだ。頭部に傷、打撲痕の様な跡が確認されている。その他、刺し傷、切り傷が数箇所。爪が剥がされていたり、頭部に水をかけられている様な拷問の跡も見える。しかしそれは不慣れな手つきで行われた犯行と思われる。」
アインズ:「確かァ。結局モーテルのどこを探しても被害者の身元を特定出来そうなものは見当たらなかったんだったな。」
マシュー:「拷問までしたのに不慣れってなんなんですかぁ〜っ。やるなら一思いにやってくださいよぉっ。」
ガロ:「そもそもなんで犯人は拷問なんかしたんだ?」
ジャイロ:「そりゃあ私怨による嫌がらせか、何か聞き出したい事でもあったか、はたまた快楽殺人か、いくらでも線は追えるだろうよ」
エドワード:「でも、犯人が黒幕。つまりRS00と繋がりのある人物だとすれば、口封じの為だったりはしない?」
ノエル:「口封じに拷問はしないんじゃないか」
アインズ:「喋っちまって、っていう線もあるだろう」
カルビス:「あいたたたー。まあ、拷問の目的は今探ってもしゃあねえだろう」
カラス:「次は、朝起きてからの全員の行動を履修したいな。」
ノエル:「メモがある。ちょっと待ってね。」
0:ノエルはメモを取り出した
ノエル:「まず、いちばん最初に起きたのがマシューさんで、起床時刻は7時30分。次がヴァンさんとヘルマンさん、8時起床。そのすぐ後にカルビスさんとアインズさんが起床。」
ヘルマン:「その後、8時半の時報アナウンスでノエル、ジャイロ、カラスが起床。最後にガロとエドワードが9時前後。」
エドワード:「うん。私のメモとも違い無し。次は…部屋の状況も再確認したいかも。」
ノエル:「えーっと、1階にはバリケードが張り巡らされた玄関。カフェテリア。最後に、死体発見現場でもあるエントランスルームの3箇所。部屋はなし」
ヴァン:「2階は宿泊室とキッチンフロアだ。泊まってたのは俺とカラス。両方部屋で特に異変は無く、シーツが多少乱れている程度。キッチンには包丁、ナイフ等の、犯行に使われた凶器を入集可能だ。」
ヘルマン:「3階は宿泊室とシャワールーム。朝方、誰かがシャワーを浴びた痕跡が残っているが、ここにいる全員、体臭等から考えても風呂をすっぽかした訳では無いだろうから、今のところ何の確証も無し。泊まっていたのはノエルと異能狩り。異能狩りの部屋からはグラビア誌が確認されたが、それ以外とくに異変無し」
ジャイロ:「!?」
アインズ:「4階。宿泊室と倉庫。倉庫では犯行に使われた麻縄を回収したが、それ以外の証拠品無し。しかし、犯行に使われたナイフ等の凶器は入手可能。宿泊者は俺、カルビス、ヘルマンの三人。以下同上」
エドワード:「5階。宿泊室のみ。私とマシューさんが宿泊者です。私の部屋からは、ガロの冒険譚が見つかりました。」
ガロ:「おうっ。見つかってよかった。あんがとな!」
エドワード:「うん。マシューさんの部屋は相当荒れていて、ソファが傾いていたり、洗面台がびしょ濡れだったりしたそうですが、今朝の話からわかる通り、朝方は特に慌てていた様で、とくに異変はなし。」
マシュー:「す、すみません」
カルビス:「最後ぉ。6階。宿泊室と喫煙所ぉ。喫煙所には特に異常なし。止まってたのはガロンドールと被害者ぁ。被害者の部屋では枕とシーツに血痕、洗面台が濡れてた。ガロンドールの部屋には通気口から2階のキッチンフロアに直通ジェットコースターが出来るようになってる。」
ガロ:「え。そうなの?」
カルビス:「そうなの」
マシュー:「じゃ、じゃあそもそも、被害者はどこで殺されたんですか……!?」
ジャイロ:「死んでたのはエントランスルームなんだ、それ以上はねえだろう。」
ヴァン:「じゃあ、6階。605号室での血痕はどう説明する?」
カルビス:「そりゃお前。生理よ」
ヘルマン:「死ね」
ノエル:「死んでください」
カラス:「殺害場所は、6階の自室。605号室じゃねえのか。血痕も付いてる。枕カバーにも血痕が付いてるなら、血痕の位置的に、死体の「頭部への打撲痕」ってのが、そのシーツについてた血痕の正体なんじゃねえのか」
ガロ:「なるほどな!じゃあ殺した後に死体を運んだってことか!ん?でもそこで死んじまってたら「拷問の跡」ってのはどうなるんだ?」
カラス:「ああ……。確かに。」
マシュー:「あ、あのあのあのっ。拷問を605号室で行ったのでは!?」
エドワード:「朝7時ですし。そんな事したら流石に誰か起きるんじゃないかな」
ヘルマン:「ああ、拷問されてる側ってかなりうるさいからな。」
マシュー:「なんでそんなこと知ってるんですか…」
アインズ:「605号室での血痕が頭部への打撲痕のものと一致するってのは賛同するが、少なくともそこではまだ死んでねえと思うがね、俺は」
エドワード:「そうじゃないかな。そこで気絶させたんだと思う。」
ヘルマン:「その後エントランスルームまで運んだのか?7時から8時の間に?」
ヴァン:「確かにな、マシューが起きたのが32分だったから、7時から32分までの間に6階から1階まで移動させて、わざわざ拷問にかけて殺したのか。」
カルビス:「いやぁ〜そうなりゃ一番最初に起きてるマシューが怪しいんじゃねえかなあ。流石に。」
マシュー:「え、え、ええええ!?」
カルビス:「8時台に起きた俺、アインズ、ヘルマン、ヴァンはそれぞれアリバイがある。ってなりゃあ、死亡推定時刻に犯行をフリーで行えたのはお前だけだよ、マシュー。」
マシュー:「ちょちょちょ!ちょっと待ってくださいよぉ!私はただの早起きなんですって!」
エドワード:「いくら何でも決めつけるのは早いですよ」
カルビス:「じゃあ他に誰が可能なんだ?お前らさっきから何が何で何だからどうの〜とか、仲良しかきめぇな。アリバイから候補を削っていくのが先決だぁろうが。で、アリバイの無い、死亡推定時刻のダダ被りのお前が一番クロォ〜」
マシュー:「うっ。うわあんっ。ちが、違うんですっ。ずびっ。ずびびっ。」
カルビス:「泣いてんじゃねえよ人殺しが!!」
マシュー:「ひぃぃっ。ずびばぜんっっ。」
エドワード:「でも、マシューさんより早く起きた人が居ない以上、マシューさんの潔白も、黒であることも証明できないよ」
カルビス:「する必要がねえんだって。アリバイ、大事だぜ〜?逆に、マシューっていう存在そのものが、俺達のアリバイの証明そのものなんだなぁ〜」
エドワード:「え……?」
ヴァン:「どういう意味だ」
カルビス:「マシューが起きたのが7時32分だろぉ。つまり、7時32分から8時までの間、俺達の誰もエントランスルームに近寄ってなかったっていう証拠そのものが、マシューなんだよ。そりゃそうだ。こいつより早起きさんは居なかったし、こいつが第一発見者だって言ってんだからよ」
エドワード:「それは分かるけど、これはあくまで黒幕を暴く思考裁判でもあるって冒頭話したじゃないですか。それとも、マシューさんが黒幕だとでも言うんですか?」
カルビス:「はぁぁ??そもそもよぉ、黒幕と犯人が繋がってるとかなんで分かるんだよ。なんの確信があんの?怖いわ、逆に」
エドワード:「でも、私たちの中には犯人なんか居ないかもしれないんだ。この殺人自体が仕組まれたものの可能性だってある。」
カルビス:「それこそタラレバの話だァ。それとも何か?完全外部の仕組まれた殺人だって言いたいのかあ?」
エドワード:「それは……」
カルビス:「ほぉら!居るだろ!こん中にィ。さっきのふざけたRS00が仕向けた水平思考Q&Aで、そこんとこ質問したやつ。なあ?」
RS00:『おぉーー!暴れている!暴れているぞカルビス・ラングナー!完全にヘイト役を買って出ている!』
ノエル:「…。ごめん、マシューさん。」
マシュー:「へ……」
ノエル:「RS00。私の質問を表示してくれ。」
RS00:『はいはいさーっ!ノエルの質問は。どぅるるるるんっ!こちら!』
0:モニターに文字が表示される
ノエル:「…。見ての通り、私が質問したのは。「この10人の中に犯人がいるか」だ。」
エドワード:「それってつまり…」
マシュー:「け、結果は!結果はどうだったんですか!NOの可能性も!あ、そうだっ。カードが配られるんですよねっ。」
RS00:『そうだよ〜んっ。YESカード、もしくはNOカード、もしくは回答不可カードで真相が現れる!さあ、どうぞ!』
0:ノエルはカードを見せた
ノエル:「……。YESカードだったよ。」
マシュー:「そ、そんな…っ。」
ヘルマン:「おっと。被っちまったな、ノエル。まあ、お互いの職業じゃあまず外部犯を疑うだろう。無駄打ちはしょうがねえが、私も同じ質問をした。結果はおなじ」
0:ヘルマンもカードを見せた
ヘルマン:「YESカードを貰ったよ。」
カラス:「つまり、この中の誰かは、いよいよ殺人を犯しちまった馬鹿野郎って事だな。」
ガロ:「まじかよ…!」
カルビス:「そぉら見たことか。この中に。確実に犯人が居る。殺しちまってんだよ。で、現環境じゃあ一番怪しまれて然るべしなのがお前なんだよ、マシュー・ワンプソン」
マシュー:「ち、ちちち、違います……っ。」
カルビス:「はぁああ?何が違うんですかぁああ?」
マシュー:「違い、マス…」
カルビス:「証拠は?アリバイは?俺らにはあるけど?」
エドワード:「ちょっと、カルビスさんっ。」
マシュー:「チガイマス」
カルビス:「いいや違わない!お前以外には不可能だって話をしてるんだよなァ!」
アインズ:「まあ、確かに。この状況下なら誰だってあんたを疑うわな」
ヴァン:「是非もねえ、か。」
エドワード:(M)駄目だ…!流れを、持っていかれている…!この人を止めるには、しっかりロジックを組み立てて説得しないとダメだ…!
カルビス:「だから犯人はお前ーーーー」
マシュー:「違うっつってんだろうがあああッ!」
0:全員目を丸くする
カルビス:「ひょ。」
マシュー:「黙って聞いてりゃあペラペラペラペラ喋り倒しやがってッ!モラハラだぞてめえッ!」
カルビス:「あ、ごめん。」
アインズ:「地雷踏んどるやん」
エドワード:「でも、確かにマシューさんはやっていない…!やってないんだ!」
カルビス:「はぁい?」
RS00:『お…?これは!これはこれは!意見対立、ですかぁ!?』
ヘルマン:「だな。」
RS00:『あっはー!それでは、「対立ディベート」を開始します!』
エドワード:「た、対立ディベート…?」
RS00:『誰かを擁護したい気持ち。誰かを守りたい気持ち、分かります。非常に分かりますっ。ですので!そんな時は持論で相手を言い負かす他なぁい!』
エドワード:(M)私の鳥籠が、証言台へ向かい上昇する。カルビスさんと、他マシューさんを犯人と疑う人たちも、私と同じように証言台へ向かい鳥籠が動いている。
ヴァン:「こりゃまた、大掛かりだな。おい」
RS00:『意見は対立しました!証言台にお立ち下さい!』
マシュー:「くそ!なんだこりゃあ!当然私は犯人じゃねえ!」
カルビス:「性格変わりすぎだろお前」
RS00:『それでは、対立ディベートを開始します!3.2.1……初めえっ。』
0:鳥籠は動きを停めた
エドワード:(M)くそっ。考えろ、マシューさんは犯人じゃないんだ…!どうにか、みんなを説得できるだけの証拠を…!
カルビス:「犯人はマシューだ。容疑者の中じゃあ、一番最初に目を覚ましたわけだからな。」
ヴァン:「死亡推定時刻も7時から8時だ。俺達の中で犯行が可能なのはまず、マシューだっていう話は筋が通ってる。」
エドワード:(M)いいや。現場の状態から、それは不可能に近いんだ。やるにしても、もっと効率的な方法があったはずだ…!
マシュー:「私はやってねえっつってんだよぉッ!」
ヘルマン:「求めてるのは論理的な弁明だ。言い返すことがないなら、容疑者は絞りにかかるが」
カルビス:「つまりお前はァ!「7時32分」に起きてすぐ6階被害者の605号室まで行って頭を「ゴン!」その後1階エントランスルームで拷問を行った上、のうのうと第一発見者のフリしてたんだよ!」
エドワード:(M)ここだ…!
RS00:『エドワードさんが異議を提唱しました!』
カルビス:「はぁい?なんですかぁ?」
エドワード:「…。ヴァン、ヘルマンさん」
ヴァン:「んあ?」
ヘルマン:「なんだ。」
エドワード:「マシューさんは、被害者の遺体を見た時、気絶していたんですよね。」
ヴァン:「ああ、泡吹いてたな」
エドワード:「その時、マシューさんに返り血等の血痕は、付着していましたか?」
ヘルマン:「……いいや。一切無かったな。それどころか、遺体から5m離れた場所で泡吹いて倒れてたよ」
カルビス:「そんなもんシャワー浴びりゃあいいだろ。朝方まで使用されてた痕跡があったってさっき説明があったろうが」
エドワード:「そこが問題なんです。なぜなら、被害者は「拷問」にかけられているんですから。」
カラス:「…凶器は現場には残っていなかった。つまり、証拠隠滅含めて、わざわざ拷問を行う時間もねえって話か」
エドワード:「うん。そうだよ。」
マシュー:「いいぞっ!言ってやれエドワードこらカス!」
エドワード:「つまり、マシューさんの犯行は、勿論不可能ではありませんが。余りにも非効率的だ。殺すこと自体が最終的な目標なら、別にエントランスルームにわざわざ運ぶ必要も無いんですから」
カルビス:「ほお。筋が通ってやがる。悪かったな、じゃあ引くよ。」
エドワード:「え…?」
カルビス:「おん?いや、だから引くって。」
エドワード:(M)なんだ。なんでこんなあっさり引くんだ。この人は、まともに真相を解く気が無いのか…?
RS00:『対立終了っ!マシューさんの容疑は一時晴れたものとし、証言台を下げます!』
エドワード:(M)鳥籠が元の位置に下降し、また再び場がフラットな状態である事を指し示す。
マシュー:「ったく。ごめんで済んだら警察要らねえんだよッッ!」
ジャイロ:「それで、結局振り出しに戻った訳だが。」
アインズ:「そもそも、アリバイの話で言えば、確定で無いのがマシューとカラスになる訳だが」
カラス:「あ?俺?」
ノエル:「一応、合流したのは私とジャイロが1階に降りた後だっただろ。つまり、カラスは本当に8時半の時報アナウンスで起きたのかが不明瞭だって話だよ」
カラス:「あー。なるほどな。」
ヴァン:「まあ、それに。その刀、だな」
マシュー:「そうだぞタコっ。あ、こほん。そうですよっ。それだけ物騒なものぶら下げといて!」
ヘルマン:「奇しくも、被害者には刺し傷と切り傷の両方がある。お前なら、一先ず凶器を確保しなくてもいい」
カラス:「だが結局麻縄は凶器として使われてたんだろ?倉庫に行くならそこでナイフは調達できる。どの道、拷問に掛けるなら倉庫には入るだろうからな。この刀はなんの根拠にもならないだろ。」
ガロ:「そーだそーだっ。そもそもこいつは手加減出来ない!真っ二つになる!」
カラス:「ならねえよ!舐めんな!」
ジャイロ:「まあ、ナマクラの件は置いといて、アリバイが無くてフリーだったのは間違いないんだろう。それをどう証明する。もしかしたら、お前がマシューより早起きだった可能性もあるだろ」
カラス:「そんなこと言い出したらお前ら全員そうだ。」
ジャイロ:「そりゃそうだが。」
RS00:『おやおやー。ちょっと話が停滞気味になってきましたかぁー?』
ノエル:「黙ってろ」
ヴァン:「駄目だ、一度最初から考えよう。犯人がどう言う手順で犯行を行ったかだ。時間とかは一度度外視にしよう。」
ガロ:「えーっと、まず被害者が605号室で頭を殴られて気を失って……」
ジャイロ:「その後、4エントランスルームまで連れてきた。ってのが、まあ大体の検討か」
マシュー:「で、でも、なぜわざわざ1階のエントランスルームまで運ぶ必要があったのかが分からないんですよね…」
カラス:「一見意味は無さそうだが」
エドワード:「…605号室で拷問を行わなかったのは、声が漏れるから、だったっけ。ガロ」
ガロ:「え、あ。うん。俺も6階で寝てたし、流石に悲鳴とか聞こえたら起きちまうな」
ノエル:「……!なるほど!そういう事か!」
ヴァン:「ほぉ〜。なんか分かったか、探偵」
ノエル:「エントランスルームは、扉を閉めると防音になるんだよ!」
ジャイロ:「あーー」
カラス:「はいはいはい」
ガロ:「あ〜!あ〜!!なるほど!!」
マシュー:「え、どゆことですか?」
カラス:「エントランスルームは扉を閉めると、防音になるって話があったろ。俺達がバリケード壊してる時の。」
マシュー:「あ、あ〜!ありましたありました!あれですか!」
エドワード:「だから、犯人は拷問を行う時、防音性を考慮してエントランスルームで犯行に及んだんだ…!」
ノエル:「なるほど。つまり、犯行の初動は605号室で。気絶させた後、エントランスルームで拷問を行ったわけか。」
ジャイロ:「簀巻きにして運んだって事か?えげつねえな、おい」
カラス:「ただ、605号室には頭部から出たらしい血痕が残ってただろう。気絶した後に運んでいたとなりゃあ、引きづったりした血痕が廊下だのエレベーターだのに残ってそうなものだが」
アインズ:「605号室は洗面所が濡れてたんだったろ」
マシュー:「え…?」
アインズ:「え?って。お前さんが証言したんだろうが」
0:回想
マシュー:「あ、あの…。化粧台、なんですけど」
カラス:「あ?化粧台がなんだ」
マシュー:「ひぃ、すみません、化粧台が、濡れてるんですっ。いやほんと、それだけです、すみません」
0:回想終了
マシュー:「あ……!」
アインズ:「思い出したか?」
ガロ:「濡れてたのは分かったけどよ、だからなんだって話だぞ」
ノエル:「犯人は被害者の頭を殴ったあと、そのまま自室で傷口を洗い落としたんじゃないのか?」
ヘルマン:「そうすりゃあエントランスルームに運んだ時に移動させた血痕が残ってないのも納得が行くな。」
ガロ:「あー!なるほど!」
ヴァン:「つまり、犯行初動の血痕が部屋の外に残ってなかったのは、605号室の洗面所で傷口を洗い流したから、か。」
ヘルマン:「で、1階のエントランスルームで行われた拷問は、その防音性によって誰にも被害者の声を聞かれずに、犯行を終えることが出来た、と。」
ノエル:「よし、大体のトリックが見えてきた…!」
エドワード:「流石に皆頭良いなぁ…」
カルビス:「でぇ?トリックはわかったが、結局拷問をする意味も、時間もソースがねえままだ。」
ヴァン:「そうだな。この犯行を7時32分から8時の間に行うは不可能に近いだろう。」
マシュー:「あ、じゃあ、私のQ&Aが役に立つかもしれません」
ノエル:「マシューさんの?」
アインズ:「今のところ、まだノエルとヘルマンしか何を聞いたか話してないからな。しかも無駄うち。」
RS00:『おー?Q&Aの回答を提示しますか?』
マシュー:「あ、はい。お願いします」
RS00:『はい了解!マシューさんが質問したのは、こちら!』
0:モニターに文章が浮かぶ
ヴァン:「…!こりゃあ…」
マシュー:「私の質問は、「犯行は7時から8時までの間に行われたのか」という質問です」
ノエル:「……はぁ!?めちゃくちゃ有益な質問してんじゃん!」
マシュー:「え…?」
ノエル:「それで、答えは!?」
マシュー:「あ、えっと…」
0:マシューはカードを見せた
マシュー:「NO、でした。」
0:全員の顔が強ばる
ヘルマン:「……。こりゃあ、前提から考え直しかもしれねえな。」
ガロ:「ちょちょちょっと待て!犯行時刻が7時から8時だったら、そもそも死体の状況と全く違うくないか!?」
ノエル:「はぁぁ、そういうこと。死亡推定は7時から8時だ。でも、犯行時刻は自体もっと前からの計画だった。って話じゃないか」
カラス:「とくりゃあ、最早この中の誰でも可能じゃねえか。」
カルビス:「これで誰かが嘘をついたのが確実になりやがったなあ。」
ジャイロ:「はい。来ると思ってましたァ〜!」
アインズ:「あ?」
ジャイロ:「こういう流れになると思って踏んでいたっ。さすが俺、大天才だ!」
ノエル:「なんだよ。お前もQ&Aか?」
ジャイロ:「ああそうだっ。さぁ〜!カモン!ドラムロール!」
RS00:『どぅるるるるるるるる』
ジャイロ:「俺がQ&Aで質問したのはーーー」
RS00:『じゃじゃん!』
ジャイロ:「全員、本当に記憶が無いのか。だ」
エドワード:「……!」
ガロ:「そんなの聞いて何になるんだ?」
マシュー:「あ、あー!なるほど!」
ガロ:「え?」
ノエル:「つまり、この中で「記憶が無い」と嘘をついた人間がいるかいないか、この質問の結果でわかるってことだよ」
ガロ:「ん。んーーー。んーーー!なるほど!ジャイロ!ナイス!」
ジャイロ:「はははーははーはは!さあ見晒せ!ドローッ!運命に綴られたカードが示すのは……!」
0:ジャイロはカードを見せた
ジャイロ:「YES。だ。」
カルビス:「ほお…」
ヴァン:「つまり。全員記憶が無いってのはマジなんだな。」
ヘルマン:「少なくとも、犯人は殺した事すら覚えてないって事になったのか?」
ジャイロ:「ああ、こりゃあ、今まで話したアリバイは完全消滅って話か?」
マシュー:「え、ええ…?じゃあ今までの話はなんだったんですか」
カラス:「全部無駄、って事だな。とんだ質問してくれたもんだ、アロハ」
ジャイロ:「最悪を潰すつもりが、最悪を呼ぶ事になるとは思わなかったよ。」
ヘルマン:「犯行は7時から8時より前に行われて、その記憶はこの場の全員が持っていない。こりゃお手上げか」
ノエル:「ありえない、そんなの、誰も憶測のつけようが無いじゃないか…!」
ヴァン:「…」
エドワード:(M)まずい、皆の考えが止まった…!そりゃあそうだ、全員が記憶が無い、全員が昨日の夜に犯行を開始した可能性を考え出す。検証を超常が阻み、思考が鈍足化する。真相が、遠ざかる。
RS00:『あらあら、皆元気なくなっちゃったー?』
ヘルマン:「……」
ノエル:「…っ。」
0:エドワードは覚悟を決め、声を振り絞り発言した
エドワード:「そもそも、だよっ。全員記憶が無いなら、記憶がどうやって消されるか。それを考えないと始まらないんじゃないかな」
ノエル:「……そんなの、どうやって解き明かせってんだ。」
エドワード:「分からないけど、そもそもやっぱり、このモーテルの真相を時明かさないことには、本当の正解には近づけないよ…!黒幕の正体にだって、近付けるかもしれない」
ガロ:「…っ。そうだ!まずはあの黒幕がどうやって俺らの記憶を奪ったかを考える!」
エドワード:「ガロ…」
ガロ:「ここから全員、生きて帰るんだろ!しっかりしろお前ら!」
ノエル:「……はいはい。わかったよ。気合い、入れ直しますかねっ。」
ジャイロ:「だなぁ。っし。」
カラス:「はっ。柄にも無くへこたれやがって」
ジャイロ:「うるせえよ。」
ヴァン:「とは、言ったものの。特に手がかりもねえわけだが。」
カルビス:「記憶のリセットか。今回が最初の殺人じゃないかもしれないって線もまだ残ってるんだしな。今の話を聞いたらより、その線が濃くなっちまったぁ」
カラス:「そこは俺がQ&Aで聞いた」
ガロ:「おお!まじか!」
RS00:『Q&Aの質問を提示しますか?』
カラス:「ああ。」
RS00:『それでは、カラスさんの質問はこちらですっ。』
0:モニターに文章が表示される
カラス:「俺の質問は、「今回の殺人は一番最初の殺人か」だ。」
RS00:『それでは!答えのカードをご提示ください!』
カラス:「ーーーYES、だ。」
ジャイロ:「ほほお。つまり、俺達は記憶が無いまま連続殺人を犯してるわけじゃあねえ。初犯か。」
アインズ:「だからと言ってどうって話でもねえがな。」
ヘルマン:「何も無い状態から、極僅かな証拠を手繰り寄せて真実にたどり着く。捜査の基本だ。」
ヴァン:「ないよりマシ、だな。」
ガロ:「いーや!一歩前進だ!よくやったーっ。カラス!」
ヘルマン:「…。私達は「連続殺人事件」を追ってこのモーテルに「自ら」足を運んだ。そう言ってたよな」
RS00:『はーい!確かに!この口が言いました!この口が!』
ヘルマン:「だとすれば、辻褄が合わないな。今回の殺人が一番最初なのに、私達は連続殺人事件を追ってこのモーテルに来てる、と。」
カラス:「確かに、そりゃあそうだ。無意識下で連続殺人犯が、今回の殺人事件の犯人と同一人物だと思っちまってたが、その確証はなくなった訳か。」
ヘルマン:「その質問は、「このモーテルで起こった最初の殺人」っていうニュアンスで解答されてるのか?」
RS00:『水平思考Q&Aについては、それ以上の回答はしないよ〜ん!』
ヘルマン:「ボケが。」
マシュー:「そ、それじゃあ、そもそもなんで私達はこのモーテルに来たんですか」
エドワード:「そう、そこなんだよ。これだけのバリケードが用意されたモーテルに、私達が泊まっている。この状況にこそ、意味があるんだ。」
ジャイロ:「そもさん、ここは現実世界なのか?」
ヴァン:「現実世界…?どういう事だ、それは」
ジャイロ:「だってそうだろ。俺とこのナマクラがどれだけバリケードを破壊しようとしても、傷一つ付かなかった。傷一つすらだぞ。そんなことは有り得ねえ。ともすれば、やっぱ異常性の関与があるだろう。」
ノエル:「この空間が異常性による何かしらの擬似空間だ、っていう考察か。いいね、異常体だからこその超越考察だ」
ジャイロ:「お前に言われたかねえよ。」
ガロ:「じゃあつまり、俺らの記憶が無くなったのも、異常性の効果だって言う事か?」
カルビス:「ははっ。いい線行くじゃねえか、異能狩りっ。じゃあ、この空間が異常性による副産物だった場合だが。居るよなぁ。1番その手に詳しそうなやつが」
アインズ:「あー。俺か。」
ノエル:「どうですか、アインズさん。」
アインズ:「ふむ。全ての異常性にはとある共通点がある。それが、「結果」を引き起こす為には「条件」があるって事だ。そして、そこには必ず。「人間」が引き起こす「条件」であるのが大前提ってのが定説だ。トリガーワードが最も代表的な例だな」
ヴァン:「特定の条件下でしか発動しない異常性もあるが。それはどうなんだ?」
アインズ:「流石アーヘン生。ちゃんと勉強してるな。偉い偉い。だが、前提が違う。まず何よりも最初に、人の「意思」が必要なんだ。」
カルビス:「つまり、このモーテルにも、人の手による「記憶をリセットする条件」が必ずあるはずだ。って事だな」
アインズ:「ああそういう事だ。理解がはえぇな、クソ野郎。」
エドワード:「…なるほど。面白い定義だ、ありえるだろうね、十分に」
ノエル:「流石、中央政府情報局。異常性学もそりゃかじってるか。」
ガロ:「じゃあその条件ってのを探さなきゃいけねえのか。」
マシュー:「ここにいる全員が記憶がないって言うなら、寝て起きることが条件とか、どうでしょうか?」
カラス:「テレビ女がQ&Aを持ちかける前に俺ァ昼寝してたが、記憶は消えてねえぞ」
マシュー:「あ、ああ、確かに…」
ジャイロ:「時間でのリセットなら、どうだ?例えば、0時になれば全員記憶がリセットされるって言うのは…」
ノエル:「人の手によるトリガーとは少し違う気がする。誰か、他にQ&Aで有効な情報を持ってるやつ居ないか?」
ガロ:「おっ。じゃあ俺行ってみようかな」
エドワード:「えっ。ガロ何か知ってるの?」
ガロ:「いや、分からんが!おいテレビ女!」
RS00:『はいはーい!RS00です!Q&Aの質問を提示しますか?』
ガロ:「ああ。」
RS00:『了解しました!では、ガロンドールさんが聞いた質問とは……!どぅるるるるるるん!でん!』
0:モニターに文章が表示される
ガロ:「お前はウンコするのか、だ。」
0:ガロはカードを見せた
ガロ:「因みにNOだった」
カルビス:「ああ、そうなんだ」
アインズ:「ぷっ。」
ノエル:「もういいよ。お前に期待した私が馬鹿だった」
エドワード:「ガロ……」
ガロ:「いや!え!気になるだろ!テレビってうんこすんのかなって!」
ジャイロ:「もう喋んな」
ガロ:「はあぁあ!?納得いかねえ!」
ノエル:「貴重な質問を無駄にしやがって……」
ヴァン:「じゃあ次、俺いいか。丁度ひとつ気になってたことがあったんだ。俺のQ&Aで聞いた質問だったんだが。いいか?」
エドワード:「ぜひ聞かせてくださいっ。なんですか?」
ヴァン:「RS00」
RS00:『はいはいさー!では、ヴァンくんのQ&Aを提示します!どーぞ!』
0:モニターに文章が表示される
RS00:『ヴァンくんの質問はーーー』
ヴァン:「時報アナウンスは二回しか鳴ってなかったのか。だ。」
エドワード:「え…?」
ノエル:「どういう事ですか?」
ヴァン:「時報アナウンス、覚えてるだろう。ノエル、ジャイロ、カラスが聞いて飛び起きたって言う時報アナウンスだ。」
エドワード:「はい、9時半と、8時半に鳴ったっていうやつですよね。」
ヴァン:「もし、9時半、8時半と時報アナウンスが鳴っていたとしたら、別にもう1回くらい鳴ってても不自然じゃないだろ。特に聞くこともなかったから聞いてみたが」
ジャイロ:「いいや、こりゃ思いの外重要だ。」
ガロ:「え?なんで?」
ジャイロ:「俺らが飛び起きる音量の時報アナウンスだぞ?もし8時半より前に時報アナウンスが鳴ってたら、嫌でも全員飛び起きるだろうよ。」
カラス:「で?答えはどうだったんだよ「時報アナウンスは二回しかなっていなかったのか」については」
ヴァン:「ーーーNO、だ。」
ノエル:「つまり、時報アナウンスは二回以上鳴っていた。恐らくは、3回か4回か。私達の知らないところでなっていたんだな」
ガロ:「えーっと?9時半と、8時半だから、その前は……7時半とかになっていくのか?」
ノエル:「ああ。1時間おきって考えるのが定石だろう。どうなんだ?」
RS00:『えーーー。うん。これは、いっか、別に。はい!鳴ってましたよ!7時半にも時報アナウンスが!しっかりお届けしました!このお寝坊さんどもめ!』
エドワード:「でも、マシューさんが起きたのは7時32分ですよ。仮に7時半の時報アナウンスがなっていたとしても、聞こえていません」
カラス:「8時半、9時半の時報アナウンスを聞いたが。どれも1分にも満たないアナウンスだった。仮に時報アナウンスで目が覚めて、すぐに時計を見たのなら、7時32分っていうのは少し辻褄が合わない。不自然に感じるな」
ヘルマン:「まあ、仮に7時半に時報アナウンスが鳴っていたなら、私もヴァンも目を覚ましているはずだ。」
ヴァン:「ああ。あの音量ならな」
アインズ:「俺らだってそうだ。流石にあの音量を聞き流すほどお寝坊さんじゃあねえよ。」
ガロ:「えー。全然分からなかった」
エドワード:「私達は寝てたからね…」
カルビス:「しかもマシュー、お前は起きた時。「ソファの上にいた」って言ってたな」
マシュー:「あ、はい。それはもう汗だくで」
ノエル:「…。うーん、だめだ、どうしても記憶リセットに繋がらない」
ヘルマン:「こう考えるのはどうだ、記憶のリセット条件は…。一回目の時報アナウンスがなったら。っていうのは」
カラス:「確かに、しっくり来るっちゃくるが」
ジャイロ:「…俺が気がかりなのは、眼鏡の部屋の状態だ。」
マシュー:「わ、私のですか…!?ななな、なにか悪いことしましたか!?してませんけど!」
ジャイロ:「お前は言ってたな。起きた時、「汗だく」だったって。」
マシュー:「え、あ。はい。言いましたけど」
カラス:「別に変な事じゃねえと思うが。」
エドワード:「……。なるほど。マシューさんが、7時半の時報アナウンスで目が覚めないはずがないんだ。」
マシュー:「え…?」
エドワード:「マシューさん、本来は「7時には目が覚める」って言ってましたね。」
マシュー:「あ、はい。大体携帯でアラームをかけているので…」
ガロ:「アラームかあ。なんで今日は起きれなかったんだ?」
マシュー:「切れてたんですよ、アラームが。なので、本当にびっくりしました。」
ジャイロ:「この際七時に起きたか七時半に起きたかは重要じゃない。重要なのは、「アラームが鳴れば」マシューは起きる人間って所なんだよ。」
エドワード:「それで…?」
ジャイロ:「そうだ。そして俺が思うに、それがマシューの「一度目の起床」なんじゃねえか。」
マシュー:「え!?」
ヘルマン:「なるほど。まあ、悪くはねえが。それが汗だくだったって言うのにどう繋がる?」
ノエル:「マシューさんは、起きたら先ず、顔を水で洗うんでしたよね」
マシュー:「はい、必ず。目が覚めるので」
ヴァン:「ってことは、マシューが汗だと思ってたのは、自分が顔を洗った時の水だったって事か?」
ジャイロ:「ははぁ〜ん。読めてきた。マシュー。お前、汗ってのは体全身にかいてたのか?」
マシュー:「あ、いえ。主に顔が、ですね。」
アインズ:「纏めると。マシューは七時半の時報アナウンスで起きて、その後すぐに顔を洗った。」
ノエル:「けど、そのすぐ後。「記憶リセット」の条件が達成されて、マシューさんは自分の顔を洗った事を忘れて、それを汗だと思ったんじゃないかな」
ガロ:「えええええ!」
マシュー:「ええええ!?」
ヘルマン:「そうか。それで言えば、マシューが「ソファの上で目が覚めた」っていう所も納得が行きやがる。」
マシュー:「あ〜なるほどっ。なんか分かんないですけど、ちょっとスッキリしましたっ。」
エドワード:「じゃあ記憶リセットされた人は、意識を失うような形でまた眠ってしまうのかな」
ヴァン:「そうだろうな。今の仮説が正しければ、七時半の時報アナウンスで俺達は一度起きてる。だが、そのすぐ後に記憶のリセットが入り、また寝ちまったって事か。」
カラス:「そういや、俺らが泊まってた部屋のほとんどがシーツが乱れてたな。俺は動かざるごと山の如しの寝相だって言うのに」
エドワード:「だからなにそれ」
ジャイロ:「だとすりゃあ、犯人はエントランスルームで記憶を失ったまま突っ立ってるって事になるしな。」
ガロ:「あ〜…確かに…!くそっ、わっかんねえ…!あと一歩なのに……!」
アインズ:「ただ、死亡推定時刻に間違いがねえなら、7時半の時報アナウンスがなるちょっと前まで、犯人は現場で拷問を行ってたってことだ。つまり、犯人は、「記憶リセットの条件を知っていた」っていう事になるだろう」
ノエル:「確かに、随分計画的な犯行だな…。」
ジャイロ:「時報アナウンスが記憶リセットの条件なのは、イマイチしっくりは来ないが、「テレビ女が行った条件トリガー」だ、と考えれば、納得はできるな」
RS00:『なぬ!私が記憶リセットの鍵を担っている!?その時、気付いちまったんだ、俺の力にーーー』
カラス:「ちょっと待てよ。「人の手による条件リセット」って言ったな。」
アインズ:「ああ。言ったぞ」
カラス:「そもそもあのテレビ女、中身は「人間」か?」
エドワード:「え?!」
マシュー:「ええええ!?」
ガロ:「お前人じゃ無かったのか!?」
ジャイロ:「なーにぃ言ってやがるナマクラ。見切り発車ならやめとけ。ちゃんと現実見えてんのか」
カラス:「お前こそ現実見えてんのか。さっきガロが聞いたQ&Aがそれを証明してる」
ガロ:「え…?俺?」
カラス:「…。ガロお前、Q&Aでなんて聞いたと言った?」
ガロ:「いや、だから。「うんこするのか」って」
ヘルマン:「ははっ。なるほどな。ガロンドール、その質問。なんて返ってきた」
ガロ:「だからNOだって!何回言わせるんだよっ。…。あれ?なんでうんこしねえんだ?」
ジャイロ:「おいおい、まさか。人じゃないから、か…?」
エドワード:「そんな……!」
アインズ:「ハハァ、こりゃ面白い。いや、ギャグ的な意味で」
RS00:『ちょっと!私のうんち事情に突っ込みすぎじゃないカナ!?セクハラだよー!』
カラス:「何とも棚から牡丹餅だが。これで、あのテレビ女が引き起こす行動は記憶リセットの条件から外れるんじゃないか」
エドワード:「…」
ノエル:「ーーー誰かが「殺人を成立させた」事で、記憶のリセットが入るって言うのはどうだろう。」
0:全員が目を丸くする
カルビス:「はは、流石の名探偵だ。時に突飛に。時に着実に。この場合、前者の肌の方が強そうだが」
ノエル:「家系柄、そういう思考なんだよ。」
エドワード:「ほんと。流石だよ、ノエル」
マシュー:「でも、殺してから記憶のリセットが入るなら、さっきジャイロくんが言った通り、犯人はエントランスルームで意識を失うことになりませんか?」
ガロ:「あー確かに!確かに確かに!」
ノエル:「犯人は、その場から自分が離れても、被害者が息を引き取るような「殺し方」をした。っていう場合なら、その限りじゃないだろう」
ヘルマン:「それが拷問か…!刺し傷も切り傷も、どれも致命傷になりうる深さと出血量だった。」
マシュー:「その為の拷問ってことですか!?徐々に体力を奪って、放置したあと勝手に死ぬように拷問したってことですか!?おえっ…!ひど、酷すぎます……っ!」
ジャイロ:「拷問をした理由についてはいざ知れず、それなら計画性を伴う犯行は確定だな。」
ノエル:「モーテルの真相が時明かされてきた…!あと少し、だな」
ガロ:「おう」
エドワード:「この辺りで、一度休憩にしませんか?」
ヴァン:「ああ。それがいい。考えも纏めたい。テレビ女。いいよな?」
RS00:『え?あ、うん。いいけど。じゃあここいらでセーブしとく?』
ガロ:「だいぶ固まってきたな。後は、誰がやったか、だ。」
エドワード:「うん。そうだね、ガロ」
RS00:『それでは!思考裁判!中断ッッ!』
0:場面転換
0:エントランスルーム
エドワード:(M)RS00がそう言うと、次に目を覚ました時には1階のエントランスルームに居た。それぞれ、各々が自分の考えをまとめに、カフェテリアなどで頭を休めている。
ガロ:「うーーーん。」
ジャイロ:「難しい顔してんな、ガロ」
ガロ:「ああ、こんなに頭使ったことねえから、頭いてえよ」
ノエル:「ただ、犯人特定まであと少しだ。」
カラス:「よくやったよ。名探偵」
ノエル:「はっ。どーも。皆のお陰だけどね。随分と頭が回るメンツが揃えられたものだよ。」
エドワード:(M)この中に。黒幕なんて居ない。薄々、そう思い始めてきた。
カラス:「そういやお前、今回の件はまだ書いてないな。」
ガロ:「ん?何が?」
エドワード:(M)私達は、犯人を見つけ出すことが出来るかもしれない。
カラス:「冒険譚だよ。」
ジャイロ:「ああ、ポエム書な。」
ガロ:「あー、確かに。今日はバタバタで全然書けてなかったしなあ。」
ノエル:「携帯は無くすのに冒険譚だけはちゃっかり持ってんだからムカつくよなあ。」
ガロ:「悪かったって…。よし、そうだな。今のうちに書いとくか。」
0:ガロは冒険譚を広げた
ガロ:(M)ガロンドール・冒険譚!……12、章……。
0:ガロのペンを書く手が止まった
ガロ:「……」
エドワード:(M)手元に残るのは、一先ずの安堵と。一抹の希望だ。
0:モーテル地下
0:思考裁判所
RS00:『さあーさ!おはようございまーーーす!起きてください!休憩終わりですよ!』
エドワード:(M)瞬きをするように。目を閉じて、また開けると。景色は再び鳥籠へと移り代わっていた。
ヴァン:「帰ってきちまったな。」
ヘルマン:「ったく。煙草も吸えやしねえ。」
カルビス:「まったくだァ。」
RS00:『それでは!皆さん準備はよろしいですかーっ。よろしいですねぇ。思考裁判を再開します!』
ノエル:「さて。いよいよ後半戦と来たけど…。」
エドワード:「記憶のリセットが起こるのが、「誰かが殺人を犯した時」。だっていう考察までだね。」
ジャイロ:「それで、被害者が死亡したのは7時半程度だとすれば、ここにいる全員が、記憶が無いまま、今この場に居る、という状況ができ上がると。」
アインズ:「現場に犯人が居なかったのは、被害者が死亡するまでに、犯人がどこぞに移動。つまり、自室に帰ってから。って事だな。」
カルビス:「そうなりゃあ、「殺人を犯す」って言うより、「殺人が成立した時」に記憶のリセットが入るってのが一番しっくり来るナァ。だばぁん。殺人を犯した後、平気な顔で自分の部屋まで戻れるだなんて、オゥオ。怖気がするねえ」
マシュー:「つ、つまり犯人は、自分が殺人を犯した事を忘れるのも、計算の上だったって事ですか…?」
カラス:「犯人は起きた後、つまり殺人を犯した後の記憶しか今はねえんだ。後は俺達と完全に同条件。話してボロが出るはずもねえ。マシュー以降のアリバイはほぼ無意味になった、か。」
ジャイロ:「問題はここからどうやって犯人を特定するか、だ。記憶もねえ、証拠もねえ、じゃあどうしたって憶測の域を出ねえぞ」
ノエル:「……。今、Q&Aで何を聞いたかまだ言ってないのは?」
エドワード:「私と、アインズさんと、カルビスさんですね」
ヘルマン:「どうだ、大穴。そろそろまた暴れるか?」
アインズ:「なんだよ、そんなに急ぐのか。もう少し楽しんで行こうや」
カルビス:「はは、まあ。そろそろいいじゃなァい。大体の大枠も見えてきた。ここまで見れりゃあ、概ね十分だろう。多分、俺達じゃあねえ。」
エドワード:「…?」
アインズ:「ああ。お前がいいならいいよ。本題が少しズレるが、ターンを暫く譲ってもらう。無知の振りも疲れてきた頃だし。そろそろ一石、投じさせて貰うわ。」
0:アインズは煙草に火をつけた
RS00:『はいはーい!アインズくんのQ&Aを開示するよっ。いざ、ご注目ッッ。その質問はーっ!』
0:モニターに文章が表示される
アインズ:「ーーー私物は、必ず自分の部屋に配置されるものか。だ」
エドワード:「……は?」
ヴァン:「私物?どういう事だ」
アインズ:「お前ら見渡して見ろ、そして思い返してみろ。今までの流れで、明らかにお前らが、当然にスルーしてた物がある。どうだ?」
カラス:「何の話だ。」
アインズ:「はいそこのお前。お前さんのが一番目立つな」
カラス:「はあ??濁した言い方してんじゃねえぞ」
マシュー:「……。もしかして「刀」ですか?」
アインズ:「ハァイぴんぽーん!大正解だ。そしてもう1つ、お前らが不自然に持ち合わせてないものがあるはずだ。」
ガロ:「ねえよ。そんなもん。」
アインズ:「いいや、あるだろうが。ヴァン。お前、携帯は?アーヘン生徒なら分かるはずだ。入学時に必ず持たされる中央お手製の通信機を持ってこねえはずがねえだろう」
ノエル:「そんな支給品があるのか。」
ジャイロ:「なんの話しをしてやがる、お前は」
アインズ:「いいから。応えろよ。あるのか?無いのか?」
ヴァン:「…。ああ。無いな」
アインズ:「はい、無い。じゃあ次。ヘルマン。お前、携帯は?まさかとは思うが、警察の人間が通信を途絶えるような馬鹿な真似はしねえだろう。なんせ会社員のマシューですら持ってるんだ」
ヘルマン:「いいや。持ってないな。警察手帳だけだ。」
アインズ:「はい、無い。それじゃあ次。ジャイロ」
ジャイロ:「ああ?俺かよ」
アインズ:「お前の寝泊まりしてた302号室で、グラビア誌があった、って証言があったの。覚えてるか?」
ジャイロ:「ああ、覚えてるよっ。なんで今そんなこと言うんだよっ。お前は男の気持ちがわからねえのかっ。」
アインズ:「いいや。分かるさ。よォく分かる。俺だって性欲が喫煙欲に勝ってたらそうしてたさ。」
ジャイロ:「だーーかーーら!なんの話しをしてんだよ!」
アインズ:「Ah。話を要約しよう。他に居るはずだ。普段あるはずのものが無く、一番大切な物を持っている人間が。どうだ?見渡してみろ。思い返してみろ。」
ガロ:「だから、そんなのねぇって。」
ノエル:「……ガロ。お前、携帯無くしたって言ってたよな」
ガロ:「…。ああ。無くした。」
ノエル:「ジャイロ、お前は」
ジャイロ:「ああ、俺も持ってねえ」
エドワード:「何が言いたいですか、アインズさん」
アインズ:「あー。別に。なんの推理でもねえが。こう考えてみよう。お前ら、「無人島に何か一つ持っていくなら」と聞かれたら、どうする?今手元にある物を持っていくんじゃあねえか?」
0:全員が固まる
ノエル:「冒険譚。刀。警察手帳。携帯……。そういう事か…!」
ヘルマン:「つまり、お前の話だと。私たちはこのモーテルに来る前に、私達は任意の私物を一つ持って来た、という事になるのか」
ヴァン:「どういう事だ?何かのゲームか?」
アインズ:「こりゃあくまで仮説に過ぎ無かったが。この質問をなげかけたら。こいつは「YES」と答えやがった。」
ヴァン:「その回答そのものが、仮説を立証させる証拠だと。」
アインズ:「あァ。そういう事だ。」
エドワード:「ちょっと待ってください。」
アインズ:「ああ?」
エドワード:「どうしてアインズさんはその事に気付いたんですか。私物を一つだけ持ってきている、だなんて事。有り得る筈が無いでしょう。」
カラス:「確かに、そりゃそうだ。そもそもその発想になるのが変な話だな」
エドワード:「……。疑いたいわけじゃないんです。でも、そんな発破のかけられ方をしたら。黒幕との繋がりがあるように、感じてしまいます。」
アインズ:「あァ〜…」
ガロ:「やっぱりそうか。この中に黒幕と繋がってるやつがいるんだな。そいつをぶっ飛ばせばいいんだな。」
ノエル:「ガロ…?」
ガロ:「お前が黒幕と繋がってる犯人だろ」
マシュー:「そ、そうなんですか…!?」
アインズ:「んン〜…」
エドワード:(M)思わず、拳を握った。もう沈みかけた希望が、顔を出した。真相が近い…!ボロが出たか…!
RS00:『ぴびーーっ!はい!今!意見が対立していますねぇ!これ!という事で恒例!対立ディベートを開始します!各々、証言台にお立ち下さい!』
0:鳥籠が揺れ、証言台に向かい上昇し始める。
エドワード:(M)皆、ちゃんと私が。黒幕の正体を暴いてみせる。ちゃんと、皆。生きて帰るんだ…っ。
RS00:『今回の議題は、「なぜアインズは私物について知ることが出来たのか」ですっ。いやあ、皆のためを思って得たヒントで疑われるのは心苦しい、しかし真相は神と私のみぞ知りマス!異議のある方は、御手元の発言スイッチを押してください!それではそれでは、対立ディベート…。開始ッッ!』
0:鳥籠は横一列に立ち並ぶ
エドワード:「アインズさん、貴方はどうして私物を持ってくる事自体に気づけたんですか。」
ヴァン:「まあ、確かにな。そりゃあ普通気づけねえよ。勘づかねえ。いくら中央政府職員とは言え、そんな所にまで着眼できるわけも無い」
RS00:『アインズさんが異議を提唱しました!』
アインズ:「あァ〜ほら。よく言うだろ。常識を疑えって。」
RS00:『ノエルさんが異議を提唱しました!』
ノエル:「それは苦しいですよ。現に、私も普段使いのメモ帳等、普段の所有物が見当たらない。普通は、犯人や黒幕が盗んだ、と仮定するのが先のはずです。」
RS00:『ヘルマンさんが異議を提唱しました!』
ヘルマン:「盗んだとしても、1個だけ残して盗むような親切な犯人だとは思えないが」
アインズ:「携帯だって安かねえ。アーヘンの通信機を無くすだなんてもっと有り得ねえ。無くしたの一言で済まねえのは確かだろう?」
RS00:『エドワードさんが異議を提唱しました!』
エドワード:「でも、それはアインズさんの所有物では無いですよね。その物の価値を測れるのが自分でないと、その不自然さに気づけるはずがないんです。私が聞いてるのは、なぜそこに着眼できたか、です。」
アインズ:「あァ〜んン〜…」
エドワード:(M)流石にこの言い訳は用意してないんだ、必ず裏があるんだ…!あと一押しだ…っ。あと一押しで、黒幕のしっぽが掴める…!
アインズ:「…」
マシュー:「あわあわあわ」
エドワード:「アインズさん、貴方は黒幕と繋がりがあるんですよね。だから、この事実に目を向けることが出来た、違いますか。」
アインズ:「…」
エドワード:「正直に言ってください。私は、皆を信じてる。だから、黒幕を見つけ出して、皆でここから出ましょう。」
アインズ:「…。はぁ。」
RS00:『カルビスさんが異議を提唱しました!』
カルビス:「異議あり!」
マシュー:「え?」
ガロ:「……」
エドワード:「…カルビスさん……?」
ヘルマン:「ほぉ。意気揚々と出てきやがったな。腐れペテン師」
カルビス:「……。もういいだろぉ。ここいらが潮時だ。さぁ!こっからはまたターンを譲ってもらうぜ」
アインズ:「ったく。遅せぇよ。」
エドワード:「カルビスさん…!貴方が、黒幕なんですか…!?」
カルビス:「いいや。違う。お前らには謝らなきゃあならねえ事がある。それはまず、俺が嘘をついていた事だ。」
マシュー:「嘘、ですか…?嘘ついてたんかオドレぁ!!」
カルビス:「コワイ!」
ヴァン:「まァた、ややこしい事をしてやがったか」
エドワード:「なんですか!その嘘っていうのは…!随分と堂々としていますが、もうバレてもいいってことなんですかね」
カルビス:「ああ。構わねえ。俺はカルビス・ラングナー。中央政府情報局員だ。」
ヘルマン:「はぁ…!?」
マシュー:「えええええええ!?」
ノエル:「まじかよ…!?」
ヴァン:「なるほどな。通りで」
カラス:「担がれたか、軍人どころじゃあ無かったか。」
エドワード:「な、何を言ってるんですかっ。それをどうやって証明するんですかっ。」
カルビス:「あァ?バァカ言ってんじゃあないよ。俺はアインズ・ブローカーの同僚だ。」
アインズ:「まあ、そういう事だ。だからこいつの身元は俺が保証する。」
エドワード:「…っ。」
カルビス:「こいつが、いいや。この場合俺達が。私物うんぬんに着眼したのは、俺がタバコだぁ〜〜い好きだからだ。」
エドワード:「はぁ…!?」
カルビス:「俺が持ってたのは煙草だ。で、アインズが持ってきたのがライター。俺とこいつ、二つで一セットだからこそ初めて喫煙者として成立できるわけだが。こんな都合のいいことがあるか?いいや、ねえよ。俺とこいつが「無人島に何か一つずつ持っていくなら」と聞かれりゃあ、その限りではねぇが。」
アインズ:「うんっ。ぼく、煙草だぁ〜いすき!」
エドワード:「それじゃあ、貴方たちは黒幕では無く、ただの中央政府の人間だってことですか…?」
カルビス:「はぁい正解」
ヴァン:「なんでそんな臭い嘘をついた?お前は最初、ただのリーマンだと自己紹介したな。それになんの意味がある」
エドワード:「そ。そうだ…っ。捜査の撹乱ですかっ。」
カルビス:「いいや。俺とアインズは赤の他人の方が都合がいいんだよ」
ジャイロ:「なぜだ。まったく意味がわからん」
ヘルマン:「もしカルビスかアインズが犯人だって疑われちまったら、二人のアリバイが成立しにくくなるから、だろう。」
カルビス:「そーそー!グルだって言うんだ、お前らは。嫌な奴らだから。」
アインズ:「つまり、俺が黒幕と繋がりがあるっていうのは、有り得ないんだよ。ざ〜んねん」
RS00:『エドワードさんが異議を提唱しました!』
カルビス:「……ほお?」
エドワード:「…っ。じゃあ、なんで今になって二人の関係値を暴露したんですか。それはもう、黒幕がヤケになったって事じゃないんですか。」
カルビス:「ヤケになってんのはお前だろ。」
エドワード:「……っっ。」
カラス:「でも、それは確かに疑問に思う。なんで今になってアンタらは正体を明らかにしたんだ。」
カルビス:「そりゃあ単純な話だよ、探偵」
アインズ:「ーーー俺かカルビスが犯人である可能性が、100%無くなったからだ。」
ノエル:「100%…?」
カルビス:「ああ。100%だ。」
ノエル:「なんでそう言い切れるんだ。」
アインズ:「そりゃあまあ。俺たちの前に」
カルビス:「もしかしたらはねぇからだ。」
エドワード:(M)ーーー最後の希望が、目の前で崩れ落ちたのを感じる。黒幕は。この中には。居ない。
RS00:『対立ディベートを終了しますっ。皆さん、お疲れ様でした〜!』
0:鳥籠が下降し、元々の配置へと戻っていく。
ヴァン:「……。お前ら二人のうち、どちらかが犯人じゃなくなったってのは。どういう意味だ。」
アインズ:「ああ、少し脱線しちまったが。俺がQ&Aで聞いた質問の続きだ」
ジャイロ:「…。「私物は自分の部屋に配置されるものか」だったか。」
アインズ:「ああ。答えはYES。つまり、モーテルに来る前、許された持ち物は、「自分の部屋」に配置されるんだと。少なくとも、そういうシステムがこのモーテルにあるってのは、こいつが「YES」と答えた時点である。質問自体が的外れなら「回答不可」と答えられる筈だからな。」
マシュー:「でも、私物が自分の部屋にあるっていう質問をしたしても、何かそれに意味があったとは思えませんが…」
カルビス:「このモーテルの1階から6階までで。あっただろう。私物が、自室にあった証拠が。」
マシュー:「しょ、証拠…?」
カルビス:「ほら。グラビアとか。」
マシュー:「あーーー!確かに!ありました!確かに確かに!」
ガロ:「……」
カルビス:「つまり、そのグラビアと、俺の煙草と、あと一つから。自分私物は自分の部屋に配置されるんじゃねえか、と。一か八か賭けに出てみたが。見事ビンゴ。リスクとの付き合い方が上手いねえ、惚れちまう」
アインズ:「聞いたのは俺だけどな。」
ジャイロ:「それで。その自室に私物がある事と、犯人とに、何がどう繋がるんだ。」
アインズ:「アー?もう一つあっただろ。あとから部屋で発見された、「私物」が」
ノエル:「…」
0:回想
エドワード:「まあ、そりゃそうだよ。あっ!そうだそうだっ。忘れる前にっ。」
0:エドワードは本棚から本を手に取った
ジャイロ:「お?なんの本だ?それ」
エドワード:「ああ、これね。ガロに返そうと思って。ガロ、冒険家なんだってね」
0:回想終了
ジャイロ:「ガロの冒険譚か……!」
ノエル:「でも、その部屋で泊まってたのって」
エドワード:「…。うん。私だね」
カラス:「じゃあ、ガロが泊まってたのは、どこだ……?」
ガロ:「……」
カルビス:「つまり、だ。ここまで来たら、もう大体検討は着いてくるんじゃなァい?」
アインズ:「自分の部屋じゃない場所で宿泊してたのが「確定」してるのは、ガロンドール。エドワード。お前らだけだな。」
ガロ:「……」
エドワード:「そう、だね。さっきの質問がYESだったなら。」
ヘルマン:「……。」
ノエル:「……」
ヴァン:「被害者は6階で被害にあっていて、ガロは自分の部屋じゃない場所で、しかも6階で宿泊していたんだったな」
エドワード:「……え?」
ヘルマン:「で。マシュー。お前、起きてエレベーターに乗った時、最初は何階を指してたって言った。」
マシュー:「私が乗る前は…。6階を、指してました。」
ヘルマン:「思えば、8時半の時報アナウンスで起きなかったのもおかしい。あれだけの爆音、起きないはずがない」
ノエル:「でも確か、6階にはテレビが無かったんですよ。時報アナウンスが聞こえなかった可能性もあるでしょう。」
アインズ:「何より、ガロンドールの泊まっていた602号室にゃあ、「通気口」があったんだろう。」
エドワード:「通気口…?」
アインズ:「ああ、そうだ。602号室には、2階のキッチンフロアと繋がってる通気口がある。これは重要だぜ。なんせ、誰にも見つからず、凶器の「ナイフ」が手に入るんだからな」
エドワード:「ちょ、ちょっと待ってください。それって…」
ヴァン:「こりゃダメだ。冒険家。お前が怪し過ぎる。」
ガロ:「……。」
アインズ:「ハハァ。」
カルビス:「お前、たまに趣味悪いぜ。俺は好きだけど」
エドワード:「ちょっと待ってよっ。ねえ、ガロっ。違うだろっ。違うなら違うって言わないとっ。」
ガロ:「…。」
エドワード:(M)なんで何も言わないんだ…っ。それじゃあ、そのままガロが疑われちゃうよ…っ。
ノエル:「その私物の情報だけでガロを疑うのは些か無理があるとは思いますけどね」
ジャイロ:「そりゃあそうだ。」
カラス:「早計な判断は身を滅ぼすぜ。お前ら」
エドワード:「…っ。皆…!」
ヴァン:「まあ、お仲間さんたちはそりゃあ擁護しに来るだろうな。そうなると思ったよ。」
ノエル:「憶測の域しか出ないのに、断定はできないだろう」
ヘルマン:「憶測でしか語れないからこうなってるんだ。少なくとも、現在揃っている証言、証拠じゃあ。お前のとこのリーダーが一番黒いって話をしてるんだよ」
ヴァン:「お前らにゃあ悪いが、もはや議論は停滞状態。後はもう、犯人の「ボロ」を探す以外にゃ宛が無いんだ。」
カラス:「そのボロが、部屋の入れ違いってことか。随分とこじつけに入ったもんだな。」
エドワード:(M)やばい、だめだ。意見が別れた。完全に、真っ二つだ…っ。
RS00:『おやおや。おやおやおやっ。真っ二つ…?真っ二つと何処からか声が聞こえた気がするっ。これは、ついぞ。意見、対立っ。ですね!!今回はなんと!完全二分された意見対立!言わばそう!紅白ディベート合戦!』
カルビス:「ほほぉ〜お。次はどんな粋なシステム用意してくれんだよ。なあ、首謀者ァ」
RS00:『はぁい今回は〜!紅チーム、白チームに別れて、総ディベート合戦を行って頂きます!そぉ〜れっ。ポチっとな!』
エドワード:(M)鳥籠が再び証言台へ上がっていく。心臓がうるさい。どうして、どうしてガロが疑われるんだ……!ガロはそんな事しないんだ。ガロは、やってないっ。それは私が一番よく分かってる。
0:鳥籠は鎖に繋がれ上昇と配列組を繰り返している
RS00:『紅白ディベート合戦では、3ラウンドに別れてディベートを行って頂きます!そして今回はただのディベートでは無く、「結論を決める」ディベート合戦ですっ!』
ノエル:「結論を、決める」
ジャイロ:「まぁた自分ルール押し付けやがって」
RS00:『なぜなら!今回のディベートの議題は!「どちらかが真実」だからです!』
エドワード:「……!?」
ヘルマン:「……はあ?どういう事だ」
RS00:『物分りの悪い君たちの為に言うとですね!今から行うディベートは、「ガロンドールは犯人か」はたまた「ガロンドールは犯人ではないか」を決めて頂くものになります!何故ならば……この結論のどちらかが、この事件の「真相」なのですっっ。なので、ガロくんが犯人である、という結論が出れば、そのまま投票を待たずガロくんを処刑します!』
エドワード:「はあ!?そんなめちゃくちゃな!」
アインズ:「ヒュー。真実の匂いがする。香るねえ」
RS00:『逆に、ガロくんが犯人でない、という結論が出れば、ガロくんの処刑は禁止ですっ!仮にガロくんが真犯人であれば、その場で思考裁判は白の負けで終了!また記憶がリセットされるのを怯えてお待ちください!』
マシュー:「えええ!?」
ガロ:「……」
ジャイロ:「つまりなんだ?犯人はガロか、それ以外かがこのディベートで確定するんだな?」
RS00:『そういう事ですワ!ここまでたどり着いた君たちへのご褒美だと思ってくれヨなっ!因みにっ。3ラウンドのディベート合戦の末、紅チームか白チームで、どちらが人数が多かったかで競って頂きマス!1ラウンド終了の度、チーム変更の権利が与えられます!どちらに着くかはお好きにどぞ!』
0:鳥籠は動きを停めた
RS00:『それでは皆様お待ちかね!ジャッジ!紅「ガロンドールが犯人」か!はたまた白「ガロンドールは犯人ではない」か!御手元のスイッチでどちらかお好きな方を決めやがれ!』
エドワード:(M)絶対に。ガロだけは死なせない。そんな真実を、私は認めない……!
0:エドワードはスイッチを押した
エドワード:「ガロは犯人じゃない。私は白チームに入る」
ノエル:「勿論。私もだ。白に入る」
0:ノエルはスイッチを押した
ジャイロ:「ああ、異論ねえ。そもさん、あの馬鹿がこんな計画的な犯行できるわけもねえんだ。」
0:ジャイロはスイッチを押した
カラス:「白はあまり好きな色じゃねえが。一つ貸しだぞ、ガロ」
0:カラスはスイッチを押した
ガロ:「……」
RS00:『白「ガロンドールは犯人ではない」チーム!エドワード、ノエル、ジャイロ、カラスの4名がエントリー!さてさて次は……』
ヴァン:「悪いな。お前らのことが嫌いな訳じゃないが。いつまでもこんなしみったれたモーテルには居てられない。」
0:ヴァンはスイッチを押した
ヘルマン:「概ね同意見だが、これが警察の仕事だ。許せよ、ノエル。」
0:ヘルマンはスイッチを押した
マシュー:「わ、私も。早くここから出たいんです…っ。それに、ここに居たら、次は自分が殺されるかもしれないですし…」
0:マシューはスイッチを押した
アインズ:「ああ。別に俺もお前さんらが嫌いってわけじゃねえよ。ただただ。本数気にせず煙草が吸いたいだけだ。」
0:アインズはスイッチを押した
RS00:『紅「ガロンドールは犯人」チーム!ヴァン、ヘルマン、マシュー、アインズの4名がエントリー!残る最後は……』
カルビス:「あ゛ぁ。俺か」
エドワード:「早く決めたらいいじゃないですか。相棒と同じところを」
カルビス:「はっはぁ。ちぃとばかり嫌われてるゥ。だが、別に俺は、犯人が冒険家とは一言も言ってないわけで……」
0:カルビスはスイッチを押した
RS00:『カルビス・ラングナー!白「ガロンドールは犯人ではない」チームにエントリー!』
エドワード:「え…?」
カルビス:「お前らのもしかしたらに、賭けてみることにした。」
ノエル:「何がしたいんですか、貴方は」
カルビス:「お前らと同じだよ。さっさとここから出たい。まあ、同じチームなんだ。宜しくなぁ」
エドワード:「……。」
RS00:『今回、議題の対象であるガロンドールはエントリーから除外!寂しいね、ごめんネ。それではこれにて!エントリーを締め切ります!どちらかの真実を賭けた大舞台!』
0:鳥籠が揺れ出す
RS00:『ほな行くで〜!ポチッとな!』
エドワード:(M)血の気が引く思いだ。怖い。真相に近づけば近づくほど。無意味を実感する。怖い。
RS00:『それでは!容疑者の皆様っ。証言台にお経ちください!』
エドワード:(M)「烏滸がましいかもれない。それでも…。」
0:鳥籠は動きを留め、証言台にて2チームが対立する。
RS00:『紅白ディベート合戦!開始ッッ!』
エドワード:(M)ガロだけは死なせない…!
0:ブザーがなり、鳥籠が少し揺れる
RS00:『第一議論、ジャッジ!』
ヴァン:「そもそも8時半の時報アナウンスで起きてこないってのがどうかしてるんだ。あの爆音だぞ?」
カラス:「6階にはテレビが無い。時報アナウンスが聞こえなかっただけだと思うが?」
RS00:『第二議論、ジャッジ!』
マシュー:「や、やっぱり最後にエレベーターを使った場所が怪しいと思いますけどっ。」
ジャイロ:「犯人が帰りにエレベーターを使った確証はどこにも無いぞ」
RS00:『第三議論、ジャッジ!』
ヘルマン:「犯行は被害者の自室で行われた。その為にエドワードと部屋を交換したんじゃないのか。」
ノエル:「まだ交換と決まった訳ではありません。記憶が無いなら尚更でしょう。」
RS00:『第四議論、ジャッジ!』
アインズ:「602号室の通気口からキッチンの凶器が入手だったんだ。あとは数歩歩けば被害者の部屋だぜ。」
カルビス:「通気口は「人一人」が入れる程度の大きさで、そもそも行き来は出来ねえよ。」
RS00:『最終議論、ジャッジ!』
ヴァン:「Q&Aでの馬鹿みてえな質問もそうだが、まるで捜査に協力的じゃあねえよな。さっきから当の本人がだんまりだしよ」
エドワード:「それは人によるじゃないですか。私だって捜査にはあまり貢献出来てません。ガロが黙ってるのは、きっと何か事情があるんです」
RS00:『ジャッジ終了!第一ラウンドが終了しました、チームの変更権が与えられます。今から10秒以内に決るんだゾ!』
マシュー:「じゅ、10秒!?」
RS00:『10』
ヘルマン:「……」
RS00:「9」
ヴァン:「あ〜…。」
RS00:『8』
ノエル:「…」
RS00:『7』
アインズ:「…」
RS00:『6』
カルビス:「…」
RS00:『5』
マシュー:「あわわわ」
RS00:『4』
カラス:「…」
RS00:『3』
ジャイロ:「…」
RS00:『2』
ガロ:「…」
RS00:『1』
エドワード:「……」
RS00:『エントリーを受付ましたよ〜ん!ヴァンくんが白チームへと移動しました!おめでとう!』
エドワード:「ヴァンさん…!」
ヴァン:「まあ。概ね俺の疑問は解消されたしな。」
ノエル:「厄介なのが残ったな」
ヘルマン:「私の疑心はまだ払拭してないからな。」
RS00:『それでは、第2ラウンド!開始!』
0:鳥籠が揺れる
RS00:『第一議論、ジャッジ!』
ヘルマン:「ガロンドールが部屋を移動していた事が故意かはさておき、少なくとも私達は自分の部屋に居たんだ。偶然じゃあ見過ごせないだろう。」
ヴァン:「全員が全員、自分の部屋で目を覚ましたわけじゃないだろう。わりぃが俺の部屋には、自分の私物は愚か、何も発見してないぞ」
RS00:『第二議論、ジャッジ!』
マシュー:「7時32分に「殺人が成立」したなら、今朝私が見た階数が怪しいのは当然じゃないですかっ。そこが犯人の自室なんですっ。」
ジャイロ:「非常階段があるだろう。真犯人の工作の可能性もある。更には誰でも犯行可能だろうが。」
RS00:『第三議論、ジャッジ!』
アインズ:「その冒険家ぁ。休憩明けから随分と大人しいが、お前ら口裏合わせてそいつを庇ってるんじゃあねえの?」
ノエル:「休憩の前じゃあ、アインズさんのQ&Aの内容を知らなかったんですから、口裏の合わせようもないじゃないですか。」
RS00:『第四議論、ジャッジ!』
ヘルマン:「4階倉庫で見つかってる麻縄をロープ替わりに使えば、通気口から2階キッチンフロアのナイフに括りつけて後々回収が可能だ。」
カルビス:「長さが足りねえだろ。六階から二階だぞ?どれだけ少なく見積もっても10mは必要だ。発見されてる麻縄はそれほど長いようには見えねえな。」
RS00:『第五議論、ジャッジ!』
マシュー:「は、8時半の時報アナウンスが鳴ってから合流した私達には、ぜ、全員アリバイがあるんですよっ。」
カラス:「起きてからのアリバイは意味がないって話しただろうが。そんな事を言い出したら、アンタも同じだ」
RS00:『最終議論、ジャッジ!』
アインズ:「俺たちは各階に二人以上、一緒にいる。ゴソゴソしてる間に誰かに見つかっちまう可能性がある。凶器の入手場所、殺害方法、全ての条件が揃った環境に居るのはガロンドールだけだ。」
エドワード:「犯人はシャワールームで返り血と凶器を洗い流したんです。それで言えば、この場の誰でもそのリスクを追うことになりませんか?」
RS00:『ジャッジ終了!第2ラウンドが終了しました、チームの変更権をくれてやるっ。今から10秒以内に決めたまへ!』
マシュー:「…。」
0:マシューはボタンを押した
RS00:『おぉっとこれは早い!マシューちゃんが白チームへ移動!』
エドワード:「マシューさん…っ。」
マシュー:「納得の行く説明はして貰えたし、やっぱり、ガロくんが殺人をするような子には見えないよ」
RS00:『さぁーて、さて、それでは、カウントダウンを開始しますっ。』
ノエル:「…。ヘルマンさん」
RS00:『10』
ヘルマン:「…」
RS00:『9』
ヘルマン:「…」
RS00:『8』
ヘルマン:「…」
RS00:『7』
0:ヘルマンはボタンを押した
ヘルマン:「……はぁ。分かったよ。ノエル、お前の目を信じる」
ノエル:「ヘルマンさん…!」
RS00:『ヘルマンちゃん!白チームへ移動!!おぉーっと、これで残すは一人になってしまいましたね……』
アインズ:「ったく。寂しいことしてくれやがる」
エドワード:「アインズさん、お願いします。私達を、信じてください」
アインズ:「ん〜…それをお前さんが言うかね」
RS00:『それでは、カウントダウンを続行します!』
ノエル:「アインズさん…!」
RS00:『6』
ジャイロ:「いい加減場をかき乱すのもそこまでにしとけや…!」
RS00:『5』
カラス:「ここまでの話でわかったろ。もうお前がそこに居る意味はねえ」
RS00:『4』
アインズ:「んあ〜。」
RS00:『3』
ヴァン:「…。」
マシュー:「ごくり…っ。」
ヘルマン:「…」
RS00:『2』
エドワード:「…っ。」
RS00:『1』
0:ボタンを押した
RS00:『おぉ〜っと!ここでエントリー!』
エドワード:「…っ。アインズさん…!」
カルビス:「いやあ、すまんね。」
エドワード:「…え?」
カルビス:「相棒!そろそろゲームクリアの時間だ!」
アインズ:「ハハァ、逆張りも楽しいもんだ」
RS00:『カルビスくんが!紅チームへエントリーしました!』
ヴァン:「はぁー。まじか」
マシュー:「えええ!?なんで!?何やっとるんじゃおどりゃあ!」
ヘルマン:「あの野郎。またそうやって場をかき乱す」
ジャイロ:「ったく。一番信用ならねえな、おい。」
カラス:「まったくだな。もとより信用なんかしてねえが。」
エドワード:「カルビスさん…っ。なんでですか…!」
カルビス:「なんでぇ?俺ァ言ったはずだぜ。」
0:カルビスはカードを見せた
カルビス:「俺はお前らの「もしかしたら」に賭けるって。」
エドワード:(M)NOカード…?Q&Aのカードか…!?
カルビス:「さあて、待たせたなァ。相棒。弱いものイジメは楽しかったか」
アインズ:「いやあ、性癖歪むねえ。こりゃあ」
RS00:『それでは!泣いても笑っても最後!第3ラウンドに突入します!』
0:アインズは煙草に火をつけ、タバコとライターをカルビスに投げ渡した
アインズ:「Are you ready?」
0:カルビスも煙草に火をつける
カルビス:「OK。墓暴きだ」
RS00:『紅白ディベート合戦!最終ラウンド……。開始ッッ!』
0:鳥籠が揺れた
RS00:『第一議論、ジャッジ!』
アインズ:「とうのご本人、さっきからダンマリだが、もう諦めちまって黙りこくってんじゃあねえのか?えぇ?」
マシュー:「そ、それは分かりませんけど…っ。きっと訳があるんですよ、何かが!」
RS00:『第二議論、ジャッジ!』
カルビス:「何か、ねえ。そりゃあ結構だが、俺らには「真実」に気付いて黙っちまってるようにしか見えねえんだが」
ヘルマン:「それは本人の口から聞いてみない事には揚げ足取りと変わらない。概ねの疑問点はさっきの議論で粗方消化された筈だ」
RS00:『第三議論、ジャッジ!』
アインズ:「まだ残ってるだろう。犯人が「記憶リセットの条件」を知っていた理由が。あいつが持ってる冒険譚、ちぃと怪しいとは思わねえか?」
ヴァン:「知っていたなら記憶リセットの条件の推理の時、邪魔するはずだ。論点がそこに向かないよう場を乱すのが普通じゃないか?」
RS00:『第四議論、ジャッジ!』
カルビス:「そりゃ変な話じゃなァい。ここに居る全員が「記憶が無い」んだろう?つまり、こいつぁ思い出したんだよ。冒険譚に書き記されたこのモーテルの「ルール」を」
カラス:「ガロが冒険譚に目を通したのがさっきの休憩が初めてだ。それは俺達が証言できる」
RS00:『第五議論、ジャッジ!』
アインズ:「だーーから、さっき思い出したんだろぉ?昨日の時点じゃあ、ガロンドールの手元にその冒険譚はあったはずだ。犯行に及ぶまでにゃあ十分事足りるなァ?」
ジャイロ:「だからって、黙るようなタチじゃねえよ。そもさん、それは冒険譚の中身を見ねぇと分からねえじゃねえか」
RS00:『第六議論、ジャッジ!』
カルビス:「じゃあ聞くが、お前らは冒険譚の中身を見たのか?休憩中に覗いたのが初めてだとか言ってたが、その時ガロンドールに異変はなかったって言えんのかァ?」
ノエル:「確かに冒険譚を書く手を止めはしたけど、特段おかしい事じゃないはずです。こんな状況ですし」
カルビス:「おおっとぉ!そりゃあ苦しいなぁ〜!」
アインズ:「その不自然を見逃したのか?名探偵がよ」
エドワード:「…。」
RS00:「ガロンドールくんが異議を提唱しましたァ!?」
エドワード:「…!」
ノエル:「ガロ…!?」
ガロ:「違う…っ。」
カルビス:「今際の際で出た言葉がそれかよ」
アインズ:「終わりだな、仕上げだ。」
カルビス:「ああ。行くぜ相棒ォ!」
アインズ:「行くぞ相棒ォ!」
RS00:『最終議論、ジャッジ!』
アインズ:「今のお前らの中で足りないのは信頼じゃあない」
カルビス:「唯一絶対の、共有された秘密が足りてない」
ガロ:「違う…!」
アインズ:「ガロンドールの人となりは知ってても、それだけだ。そもそもぉ!」
カルビス:「ここに来るまでの記憶がねえのに、それ迄を書き記したかもしれない冒険譚を共有しないってWhy?」
ガロ:「違う!!!」
アインズ:「信用できるのか、今そこにいるガロンドールを」
カルビス:「そこにいるのは、もう「お前らの信用したガロンドール」じゃあ無いかもしれない」
ガロ:「違うって言ってんだろうが!!」
アインズ:「じゃあこの場でその冒険譚を見せる事が出来んのか?」
カルビス:「生憎、今吸ってる煙草が最後だ。ここいらで決着としようや、エドワード・シャルル」
ガロ:「それ以上喋んじゃねえ…ッッ!」
アインズ:「ーーーDo you Know?」
エドワード:「ガロ。ありがとう。もういいよ。」
ノエル:「エド…?」
ガロ:「…っ。嫌だ…!」
エドワード:「ごめんね。渡さなきゃよかったね。」
ガロ:「違うって…」
エドワード:「…。ありがとう。でも、本当に。もういいんだ。これ以上は、ガロが疑われちゃうもん。」
ガロ:「それでどうにかなんならそれでいいよ!!」
ジャイロ:「ガロ…。お前…」
エドワード:「……。皆。お願いします。チームの変更をしないでください。ガロは犯人ではありません。」
ノエル:「おい、エド、どうしたんださっきから。」
エドワード:「本当に。ガロは犯人ではありません。絶対です。」
ヘルマン:「……なんで分かる?」
エドワード:「…。」
0:エドワードは手を挙げた
エドワード:「私が。真実を全て知っています。」
カラス:「…。」
ジャイロ:「……は?」
RS00:『ジャッジ終了!第三ラウンドが終了しましたっ!それでは、チーム変更後の人数を集計します……結果は〜〜〜〜〜ででん!白チーム!導き出された結論は「ガロンドールは犯人ではない」となりました!結果は……正解です!ガロンドールくんは犯人ではありません!』
エドワード:(M)鳥籠が揺れて、繋がれた鎖が深層へ降りていく。何も。何も出来なかった。無意味だった。
0:ーーーーーーー
ノエル:「エド、さっきのは。どういう意味だ」
ヴァン:「知ってるって言ったな。真実を」
ヘルマン:「……。とりあえず話してくれ。知っていると言うなら」
エドワード:「…。はい。犯人はガロと6階の602号室に宿泊していました。犯行時刻は、4時。犯人は全員が寝静まったのを確認すると、事前に4階の倉庫から調達したハンマー、麻縄、ペンチ、ナイフを持って被害者の部屋。605号室へ行き、そのまま被害者の頭部を殴打。被害者が気絶すると、まず頭部の傷口を洗い流しました。その足で防音性のあるエントランスルームへ連れていき、目を覚ました被害者を拷問にかけました。拷問は3時間に渡り行われ、被害者が放置しても数分の間に死亡することを確認した後、3階のシャワールームへ行き、返り血の着いた身体と凶器を洗い流しました。そして4階の倉庫へ凶器を戻し、6階へ行き、他の証拠を隠滅しました。最後に、非常階段を使って5階の501号室へ戻り、床につきました。被害者が死亡したのは、7時32分です。しっかり。全部、覚えています。」
0:全員が言葉を失っている
ノエル:「……。どういう事だ。何も、意味がわからない。理解できないぞ」
ジャイロ:「501号室って、そりゃあ。お前が泊まってた部屋じゃねえか…!」
エドワード:「うん。そうだよ。」
ヘルマン:「つまり。お前は今、こう言ったんだな?「犯人は私です」と。」
エドワード:「ーーーはい。そうです。」
カラス:「……。」
マシュー:「は…?え……?」
ジャイロ:「ふざけんじゃねぇ。どんな冗談だ。笑えねえって」
エドワード:「冗談じゃないからね。私も。笑ってないだろ」
ジャイロ:「〜〜っ。てめえ!!何考えてやがる!!じゃあなんだ!?お前は自分が殺した事を知った上で、わかった上で俺らに平然と絡んでたってのか!?ああ!?」
エドワード:「…。そうだよ。」
ジャイロ:「有り得ねえ、有り得ねえぞお前…っ。馬鹿にすんのも大概しろや…っ!」
カラス:「アロハ。」
ジャイロ:「ああ!?」
カラス:「……。落ち着け。」
ジャイロ:「……。」
ヴァン:「ったく。煙が足りねえなおい。とんだどんでん返しじゃねえか。まじでり自分の犯行を、自分で捜査してたのか。お前」
エドワード:「はい。そうです。」
ヴァン:「バレない自信があったのかどうかは知らねえが。正気の沙汰じゃねえな。なんで今更になって自白した。」
エドワード:「…。もう。この裁判を進める意味が、私に無くなったからです。」
ヴァン:「…。」
ノエル:「……エドの、思考裁判を進める意味ってのは。なんなんだ?」
エドワード:「…。黒幕を探し出すこと。」
ノエル:「黒幕…?」
ヴァン:「ちょっと待て。そもそも、あんたら二人。今の議論中、確実にエドワードに目星を付けてたな」
カルビス:「お前がそう思ったならそうだよ」
ヴァン:「なんで気づけた。何時から勘づいてた」
アインズ:「Q&Aのすぐ後だ。」
カルビス:「ちょうどいい。俺のQ&Aも回答しておこうか。」
0:モニターに文章が表示される
カルビス:「俺の質問は。「お前が観測できる『カルビス・ラングナー』は、ここに居る俺、ただ一人か?」だ。」
ノエル:「…え?なに?どういう事?」
マシュー:「あ、頭がこんがらがってきました…!」
アインズ:「今のエドワードの自白。何かに引っかからねえか?」
ヘルマン:「…。異能狩りのQ&Aだな。「本当に全員記憶が無いのか」に対して、回答がYES。なんでエドワードは犯行時の記憶がある」
RS00:『因みに言っとくけど、Q&Aの回答に嘘はないよ〜!魂を賭ける!あ、魂無いけど!』
アインズ:「そりゃあ、ちぃとした言葉のニュアンスミスだ。この中の全員、確かに記憶がねえが。自己紹介の微笑ましい空間の中、一人だけ居ただろう。「何の記憶も無い」奴が」
ノエル:「……!」
0:回想
エドワード:「ーーーじゃあ、最後に。エドワード・シャルルです。何をやっていたかは……。分かりません。」
0:回想終了
アインズ:「つまり、エドワードには確かに「記憶は無い」が、「犯行時の記憶が無い」わけじゃあねえ。」
ノエル:「…っ。それで、その話が。貴方のQ&Aにどう繋がるんですか」
アインズ:「まあ聞けよ。テレビ女の話だと俺たちは連続殺人事件の調査でここに来てる、と。」
カルビス:「しかし私物を持ち込めるのは一つだけらしい。」
アインズ:「まるで、『ゲームみたい』だって思わねえか。だとすれば、ここに居る俺達は「アバター」で、本体が現実に残ってる可能性がある。」
カルビス:「だから、お前が観測できる「カルビス・ラングナー」は、ここに居る俺、ただ一人か?って思うのはおかしい事じゃない。そうだろう?」
ヴァン:「あんたら…とんでもねえな。」
ヘルマン:「で。答えはどうだったんだ」
0:カルビスはカードを見せた
カルビス:「NOだ。」
ノエル:「……!」
アインズ:「この質問に、YESかNOで答えた時点で、ここが現実世界じゃないのは確かで、意識だけの転送だと分かった。」
カルビス:「俺達は全員記憶が無い。しかもその中でも、エドワードだけ、記憶が無い、のニュアンスが他とは異なった。」
アインズ:「休憩があけりゃ不自然にガロンドールの元気がなくなりやがった。」
カルビス:「つまり。ガロンドールが犯人か、庇いたい誰かが居るんじゃねえか、そのどちらかだと思った。」
アインズ:「だからさっきの議論は漁夫の利だったよ。ガロンドールを追い詰めりゃあ、ボロを出してくると思った。」
カルビス:「まさか自白するとはァ思わなかったがな」
エドワード:「…。凄いですね。流石、中央政府情報局員だ。はーあ。まさかここまでバレるとは思わなかったなあ」
マシュー:「ほ、本当なんですか…?本当に、それが真実なんですか……?」
エドワード:「はい。そうです。私が全部やりました。……ねえ?ガロ」
ガロ:「……。」
ノエル:「…っ。ガロ!しっかりしろお前!」
ガロ:「……。」
ノエル:「その冒険譚にっ。書いてあったんだろ!全部!私たちは仲間だって言っただろお前っ。だったら、私達を見殺しにするような真似してんじゃねえよっ。」
ガロ:「エドだって、仲間だ…っ。」
ノエル:「…っ。」
エドワード:「ガロ……」
ガロ:「だからっ。エド。俺は、お前を疑わない…っ!」
エドワード:「……」
RS00:『あー。それじゃあ。もう投票でいいかな?』
カルビス:「空気読めねえな、あいつ」
アインズ:「お前にゃあ言われてくねえだろうな」
RS00:『必ず、誰かに投票してください。選ばれた容疑者が処刑されます。また、処刑された容疑者が真犯人であれば、皆さんの勝利です。間違いであれば、ユークリッド思考実験は続行。翌日、犯人役がまた殺人を犯し、記憶のリセットが入ります。』
エドワード:「…。ありがとね、ガロ。ちゃんと。私に入れるんだよ。」
ガロ:「……」
エドワード:「…。ごめんね。私、やっぱり仲間にはなれないや」
ガロ:「……っ。」
RS00:『投票の結果が出ました。エドワード・シャルル。6票。』
エドワード:「……え?」
マシュー:「え?あれ?」
ヴァン:「は。イキな奴らだな。」
ヘルマン:「ナマ、だろう。」
RS00:『ガロンドール・ウォンバット、一票。ジャイロ・バニングス、一票。ノエル・ベルメット、一票。カラス、一票』
エドワード:「な、なにやってんの、皆……?」
ノエル:「…。仲間は。疑わないっていう。ウチの方針なんで。」
ジャイロ:「俺ァ別にな。お前が誰かを殺したことにムカついてるんじゃねえ。それを、俺らに黙ってたことがムカついてるんだ。」
カラス:「まあ。言いたいことは前二人が言った。特になし。概ね同意見だ、馬鹿野郎」
エドワード:「……。」
RS00:『投票の結果!容疑者、エドワード・シャルルが処刑されることになりました!めで、でたし、したし。めで。でで。し。りまし。した。容疑。さし。』
マシュー:「え?ええ??なになに!?なんですか!?壊れちゃった!?」
ヘルマン:「…。エドワード。これも。何か知ってるか?」
エドワード:「いいえ。ただ、なんというか。終わるんだなあって。思いました」
ヴァン:「終わる?」
エドワード:「はい。ああ、喋れる。ああ。なんか。凄く。スッキリした気持ちだ。」
マシュー:「ひ、一人で納得しないでくださいぃっ。」
エドワード:「…。皆。本当にごめん。謝ったって、許されることじゃないんだろうけど。でも。本当にごめん」
カラス:「じゃあ、聞かせろよ。お前が殺人を犯した理由はなんだ?」
エドワード:「…。私が。この世界の「犯人役」だからだよ。」
カラス:「犯人役…?」
ジャイロ:「あいつらの言う通り、ここは現実世界じゃなかったって事か。」
エドワード:「どうだろ。そこは私じゃなくて、ガロの冒険譚を見た方が話が早いかもしれないね」
ノエル:「…。」
ジャイロ:「ガロ」
ガロ:「……。」
ジャイロ:「あいつを。ただの人殺しで終わらせない為に。見せてくれ。」
ガロ:「…。分かった」
0:ガロンドールは冒険譚を開いた
0:ーーーーーーーーー
RS00:『やあ皆!人生、楽しんでる〜?』
RS00:『平凡な貴方も、全てに飽きた貴方も、貴方も、貴方も貴方も貴方も貴方も、完全新感覚を味わえるチャ〜ンスっ。』
RS00:『そこの君も、どこの君もっ。ユークリッド幾何学のコネクトを経験して、実際の仮想空間で繰り広げられるミステリーが体験出来るぞっ。』
RS00:『ーー君たちは!連続殺人事件の調査に乗り込んだ!』
RS00:『超リアル、対戦型ミステリー謎解きサスペンス!「メロスモーテル」、絶賛配信中!』
RS00:『皆も、ユークリッドを体験しよう!』
RS00:『それじゃあ!まったね〜〜〜!』
RS00:『グランシャリノ商会!』
0:ーーーーーーーーー
ガロ:(M)ガロンドール冒険譚っ。12章っ。
ガロ:(M)近年、「メロスモーテル」という体験型ゲームが大流行している、らしい!なんでも意識と何かと何かを繋げて、実際にゲームの世界にいるみたいに、自分のアバターを仮想空間に作れるんだとか!
ガロ:(M)今回は、「メロスモーテル」で起こった、不可解な事件の調査の依頼が立て込んできたっ。依頼主はなんと警察!「メロスモーテル」を利用した人間が、立て続けに意識の喪失が起こっているとのこと!
ガロ:(M)しかし、メロスモーテル等を配信している、「RS00」という人工知能の開発者は既に死んでしまっており、そのプログラムデータは莫大な量で、なぜこの様な不具合が起こっているのか、誰も調査出来ずに分からず終いときた。
ガロ:(M)本来、メロスモーテルは対戦型の所謂「人狼ゲーム」のようなものらしく、必ず有人でのプレイが必要となるのだが、最近、「エドワード」という名前のノンプレイアブルキャラクター。つまりNPCが、「犯人役」としてプログラム上に登録されていることに気付いたらしい!
ガロ:(M)この「エドワード」というプログラムは運営チームでも削除が出来ないようで、なんでもシステムの根幹になる部分と繋がっているそうだ。そこで、メロスモーテルを配信しているグランシャリノ商会から二人、会社員の依頼人が。そして、ネット経由での犯罪行為による被害では無いか、という事で警察からも一緒に、このメロスモーテルでの異変の解決を目的に協力を要請してきた!更に今回は大所帯!中央政府から二人、中央政府職員の卵も意気投合して一緒にメロスモーテルに乗り込むことになった!
ガロ:(M)依頼内容は、メロスモーテルの中に入って「エドワード」を削除する事!難しい事を考えるのは得意じゃないが、仮想空間へのダイブは、かなりワクワクする!
ガロ:(M)意識をメロスモーテルへ転送する時、自分の脳内情報を再作成?するとかで、昔の記憶が蘇ったりするよ〜とか、メロスモーテルのゲームの仕様上、ゲームに入る前の記憶は一部消去された状態で転送されるよ〜とか言うような注意書きに名前を書き、準備万端!
ガロ:(M)最後に、自分の持っていきたいものの情報を一つだけメロスモーテル内にコピーできる。つまり、持って行けるらしい。俺は当然!この冒険譚を持っていくことにしたっ。
ガロ:(M)それでは!メロスモーテルに、いざ、出陣!
0:ーーーーーー
マシュー:「げ、ゲーム…!?これが……!?じょじょ、冗談じゃないっ。誰がやりたがるんだ、こんなゲーム!」
ヘルマン:「まじで、言ってんのか…?」
ノエル:「グランシャリノ…。」
ヴァン:「…」
カルビス:「NPCねえ。その自覚はあんのか」
エドワード:「うーん。NPCの自覚というか、あー。殺さなきゃなー。っていうのが、漠然とあったんだよ。24時間以内に、私は誰かを殺す。そういう自覚が。殺したいとかじゃ無くて、そういうものなんだっていう感じ」
ヘルマン:「NPCが故、か。なんとも締まらんオチだが…。」
アインズ:「そもそも、お前にはこのゲーム以外に参加した記憶があるのか?」
エドワード:「ううん。ないよ。だから、私は。私の意思で、今日の朝、人を殺したんだ。この手で」
ガロ:「…。なんでだ」
エドワード:「はは、やっぱり覚えてないよね、そうだよねえ。一日目の朝8時。今日と同じように、記憶を失った皆がいた。」
0:エドワードはその場に腰かけた
エドワード:「ガロはね。昨日も。今日と同じように、私を仲間に誘ってくれたんだ。モーテルから出るだなんて、考えもしなかったから。なんというか。すごく。嬉しかった。それで、外に出たいって思っちゃったんだ。」
ガロ:「……」
エドワード:「その時、たまたまガロの冒険譚を見て。私がNPCである事を知ったんだ。」
ノエル:「…じゃあ、昨日。私達はエドの正体に気付いてたのか」
ジャイロ:「なんで相談しなかった。ここから出るって、言ったんだろう。お前が殺人を犯す前に、俺達になんで相談しなかった」
エドワード:「…言えると思う?仲間に誘ってもらった私は、どれだけ信じられても、人を殺します。しかも存在すらしてないですって。…言えないよ。言いたくない。必死に外に出る方法を探した。でも。何も見つからなかった。その時、今日みたいにノエルが考察したんだ。「殺人が成立すれば記憶が消える」って。」
ノエル:「…っ。」
エドワード:「…この10人の中に黒幕がいるんだって。そう思った。黒幕の正体を私が掴めば。皆でここから出られるのかなって。だって、どうせ誰か殺しちゃうんだもん。」
カラス:「だったらせめて。ってか。」
エドワード:「…その日の夜は、ガロと一緒に、今まで見てきた冒険の話を聞かせてもらったんだ。夜遅くまで。」
ヘルマン:「部屋が入れ替わったのはそれか。」
ジャイロ:「じゃあなんで犯行後に5階に行った。わざわざ非常階段を使って。」
エドワード:「602号室に戻ろうとしたら、トイレに行こうとしたガロを見たんだ。なんでか分からないけど。逃げ出したくなった。だから、咄嗟に。」
ジャイロ:「……そうかよ。」
アインズ:「それで?被害者はなにか吐いたのかよ。」
エドワード:「ううん。どれだけ痛めつけても、私が殺人役として動ける24時間のギリギリまで、拷問しても。黒幕の事は吐いてくれなかった。」
カルビス:「あぁはん。犯行時刻がやけに朝ギリギリだったのはそれか。ようやく憑き物が落ちたワ」
0:エドワードの手は震えている
エドワード:「例えゲームでも。私だけは、ここが現実なんだと、思い知った。その夜、その人を殺しても……。何も、何も無かった。次の日の朝も、玄関にはバリケードがしてあった。外には、出れなかった。その時に、事の重大さに気付いたんだ。私、ただの人殺しなんだって。」
ジャイロ:「……」
エドワード:「これが、顛末の全部。私が知っている、全ての真実だよ」
マシュー:「うっ。ううっ…。そんな、そんなの…っ。うう…っ。うお」
ヘルマン:「…。まあ、何はどうあれ、罪は罪だ。」
ヴァン:「殺された被害者も、元は原因究明の為にここに来た奴だったのか。これがゲームなら、向こうで気ぃ失ってるだけなんだろうが」
エドワード:「そうであることを、願うばかりです」
0:鳥籠は解け、1階のエントランスルームに移動した
RS00:『めでと。でとう。おめでとうございます。クリア。さ。ゲームがクリアされました。参加者9名様。10分後。メロスモーテルから帰投します。お疲れ様でした。』
ノエル:「……。終わった、っぽいね。」
カラス:「ああ。エドワードが犯人だって当てられたから、バグっちまったのか?」
ジャイロ:「さぁな。」
カルビス:「なんとも、虚しい終わり方じゃねえの。」
アインズ:「一番虚しいのは、あいつだろう。同じ人間として、外の世界を渇望したものの。得たのものは、無意味の証明だけだ」
カルビス:「…。」
マシュー:「エドワードさんはっ。一緒に帰れないんですかっ」
エドワード:「無理ですよ。私は、このゲームのプログラム。というか、エラーなんです。外には帰る場所すら無いようですし。」
ヘルマン:「エドワード・シャルル」
エドワード:「…?はい」
0:ヘルマンは手錠をかける手振りをした
ヘルマン:「お前を。殺人罪で現行犯逮捕する。」
エドワード:「……」
アインズ:「うわ。あのオバサンまじかよ。」
カルビス:「うひょ〜デリカシィ〜」
ヘルマン:「エドワード。お前だけがここで現実を過ごしたわけじゃない。確かに、お前が犯した罪で、私達は恐怖したし、お前が築いた関係で、確かに、あいつらはお前を仲間だと言いやがったんだろう。ここでの時間は、ちゃんと私達にとっても現実だった。」
エドワード:「ヘルマンさん…」
ヘルマン:「だから。あくまでここでは、現実として。私も、警察官として。逮捕だ」
ヴァン:「はっ。古臭さが良いね。」
マシュー:「うぐっ。ぐすっ。」
エドワード:「…。はい。ありがとう、ございます」
ヘルマン:「逮捕されて礼なんて、どんな犯罪者だよ」
エドワード:「そう、ですね。」
マシュー:「エドワードさん…!」
エドワード:「は、はい」
マシュー:「やっぱりその、殺人は行けない事だとは思いますけど。向こうに行ったら、もう。こんなゲームさせないよう、配信停止を要請します。必ず。」
エドワード:「……」
マシュー:「だ、誰も悪かったなんて話じゃないと思うんです。きっと、皆、悪いんですよ。だから、その。なんというか。えっと……」
エドワード:「マシューさん。ありがとうございます」
マシュー:「あ、えっと。ごめんね、気の利いた言葉かけてあげられなくて…」
エドワード:「皆も、本当にごめんなさい。っていいのか分からないし、ありがとうって言えばいいのかも分からない。けど、終わらせてくれて、ありがとうございます」
0:エドワードは深深と頭を下げた
ガロ:「……。」
エドワード:「……ガロ。最後に、ちょっとだけ。散歩しない?」
ガロ:「…」
ノエル:「ガロ。行っといで」
ジャイロ:「まあ、誘ったのはお前だしな。」
カラス:「ああ。男立てろよ。」
ガロ:「……。おう。」
エドワード:「ありがとう。皆。」
ノエル:「…。言っとくけど!怒ってるから!」
エドワード:「…!」
カラス:「前持って言っとくが、お前が人を殺したことにじゃねえぞ」
ジャイロ:「俺らになんの相談もしなかったことを怒ってんだ。」
エドワード:「…うん。ごめん」
ノエル:「〜〜〜っ。ばか!」
カラス:「あほ」
ジャイロ:「間抜け!バレんな!」
カラス:「隠すなら最後まで隠し通せ」
ノエル:「そーだそーだっ。一緒に出るんじゃなかったのかよ、この間抜け!」
エドワード:「…うん…っ。ごめん…っ。」
ジャイロ:「…っ。」
ガロ:「…」
ノエル:「以上。仲間からの激怒の声でしたっ。しっかりと心に刻むようにっっ。」
エドワード:「…分かった…っ。」
ヘルマン:(M)……不思議な連中だ。ガキの癖に。いや、ガキだからこそ、前ばっか見やがる。どっかの馬鹿共とそっくりだよ。なあ。オーウェン。ニーア。
0:ヘルマンはポケットに手を入れ煙草がないことに気付く
ヘルマン:(M)…畜生。ヤニが足りねえよ。
0:場面転換
0:2階 キッチンフロア
ガロ:「……」
エドワード:「…。ねえ。ガロ」
ガロ:「なんだ」
エドワード:「怒られちゃった」
ガロ:「…。ああ。」
エドワード:「…私を信じてくれたのに、ごめんね。」
ガロ:「いいや。ダメだ。誰が許しても。怒ってるぞ、俺達は」
エドワード:「そうだよね。ごめん」
ガロ:「俺。お前と冒険したかった。美味い飯屋、知ってんだ。面白い奴も、作家とか、お嬢様とか、ギャングの息子とか、合わせたいやつ、いっぱい居るんだ。」
エドワード:「…」
ガロ:「まじで。〜〜っ。まーーーじで!!あーーー!くそ!!悔しい!!」
エドワード:「…」
ガロ:「…。でもっ。信じてよかった…っ。ちゃんと、俺が仲間にしたエドだった…!」
エドワード:「……」
ガロ:「…。ここで、お別れなんだろ。」
エドワード:「うん。」
ガロ:「…っ。お前は俺の仲間だっ。誰がなんと言おうと、俺達の仲間だっ。だから、後はもう全部任せろ…!お前が見たかった景色も、全部見に行く。食べたいものも、好きなだけ食べるっ。俺が足をとめない限り、ずっと一緒だ…!だから、お前が背負ったもんも、望んだもんも、何もかも…!俺達に任せろ…っ。」
エドワード:「……はは。仲間だから?」
ガロ:「ああっ。仲間だからだ…!」
0:エドワードは言葉を作るのを辞めた
エドワード:「にひひ、任せた…っ!」
0:二人は拳を合わせた
ガロ:「……」
エドワード:「なんか。言いたいこと、逆に全部言ってもらっちゃったなあ」
0:エドワードは窓を眺める
エドワード:(M)徐々に、モーテルを覆っていたバリケードが崩れ落ちていく。モーテルそのものが、崩れていく。この空間が。終わるんだなあと。そう思った。意識も遠のいて、正常な判断が出来なくなっていく。私もこのモーテルと一緒に終わるんだなあ、と。思った。人を殺したんだ。自分が死ぬくらいの報いはあって当然だ。死ぬという表現が正しいかは別として。あっけなさと、無力さと。ほんの少しだけ、嬉しい。
ガロ:「……またな。エド」
エドワード:「…。またね。ガロ」
0:モーテルが崩壊する。
エドワード:(M)初めから何もなかったけど。たった二日だったけど。私にとっては、ちゃんと意味のある二日間だった。
ガロ:(M)ーーー目が覚めた。それは、とある一室。それは、書き起すように。構築するように。記憶が収束していくのを感じた。
:
:
0:Q&Aルーム
RS00:『やあ。エドワード・シャルル。水平思考Q&Aルームへようこそ。』
エドワード:「…。やあ。RS00」
RS00:『さあ。質問を。どうぞ』
エドワード:「私が聞きたいのは」
0:エドワードは拳を握った
エドワード:「ーーー私を忘れてないのか。」
:
:
:
ガロ:(M)ガロンドール冒険譚。13章。
ガロ:(M)メロスモーテルの攻略が完了した。
ガロ:(M)目が覚めると、メロスモーテルの接続機の中だった。中は熱が篭っていて、シェルターが開くと、涼しい外の風が汗を冷やした。
ガロ:(M)全ての出来事を思い出した。ここに来るまでの記憶も。モーテルでの記憶も、全てがひとつになった。喉につっかえてた魚の骨がとれたみたいな、そんな気持ちだった。
ガロ:(M)接続機から出ると、見知った顔が居た。モーテルに居たみんなだ。殺された被害者も気を失っていただけで誰も。死んでなかった。その中に、エドワードの姿はなかった。
ガロ:(M)随分と、長い夢を見ていた気がする。
:
0:時間経過
0:二日後 リベール
カルビス:「ああ〜。美味い。やっぱ外で吸う煙草に限る」
アインズ:「ああ〜。まったくだ。外の空気を汚している感じが最高」
ヘルマン:「ったく。とんだ災難だった。二度とごめんだぞ」
マシュー:「は、はい…っ。すみません…でも、助かりました。うちの商品だったとは露知らず。暫くは、RS00の開発は中止するよう、上に掛け合ってみます」
カラス:「ほお、ヤケにやる気に満ちた目をしてんじゃねえか。眼鏡なのに」
マシュー:「メガネは関係なくないですか!?…で、出来ますよ…っ。やってみせますっ。私も、もういつまでも弱虫では居られません!」
ヴァン:「はっ。ご立派になったもんだ。」
ヘルマン:「これで、メロスモーテルの異変は止まる筈だ。報告書の山が私の寿命を縮めやがる。悪いが、私は先に失礼するよ」
マシュー:「は、はい…!お疲れ様でした!ありがとうございます!」
ヴァン:「またな。刑事さん」
ヘルマン:「ああ。」
ガロ:「…。またな!刑事のおばさん!」
ヘルマン:「お姉さんだ。またな、超新星のガキ」
ノエル:「久しぶりに会えて、良かったです。」
ヘルマン:「ああ。昔を思い出したよ。楽しかった。」
ジャイロ:「…まあ。精々長生きしろや。腐れ刑事」
0:ヘルマンはジャイロに耳打ちした
ヘルマン:「…。お前達の経緯じゃあ。この先庇ってやれないかもしれない。自分の身は自分で守れよ。あと。ノエルの事。よろしく頼むワ」
ジャイロ:「は。老婆心ながら、か。ババア」
ヘルマン:「可愛くないな」
0:蹴った
ジャイロ:「いっっだ!くそ!あのバカゴリラ!」
ヘルマン:「それじゃあ、本当にこれにて。世話になったな。」
ガロ:「またなーーっ。」
マシュー:「…。それでは、私も。ここで失礼します。ご協力、本当にありがとうございました…!」
ヴァン:「あぁ。いい経験したよ。」
カラス:「またなぁ、眼鏡」
ガロ:「…。またな!」
ノエル:「グランシャリノはブラックだろうけど、頑張ってくださいねっ。何かあればすぐ連絡してくださいねっ。ねっ。」
マシュー:「あ、はは、ありがとうございます。それではっ。お先に失礼しますっ。本当に、ありがとうございました…っ!」
0:マシューはその場を去った
カルビス:「さて。そんじゃあ。流れ的に次は俺らか。」
アインズ:「ああ。空気は汚してもせめて読もう。」
カルビス:「ガロンドール」
ガロ:「なんだ?」
0:カルビスは封筒を渡した
カルビス:「お前らの「もしかしたら」は、十分見せてもらった。だから、こりゃあ選別だ」
ガロ:「…?なんだこの封筒?」
ノエル:「お?あ、ギルドの依頼推薦状じゃないですか。」
カルビス:「ああ。「グリム写本」って言う。まあ、詳細は今はいいか。とにかく、今のお前らに必要な依頼だと思った。特に、ベルメット。」
ノエル:「…?」
アインズ:「これから先中央は。とんでもない激動が来るって踏んでる。動力革命、異常体。国家情勢。それを取り巻く問題に、ギルドはその渦中にぶち当たる事だろうよ。だが、お前さんらなら大丈夫だ。タフネスあるからな」
カルビス:「依頼は手の空いてる時にでも顔出してみてくれや。また、縁がある事を祈ってるよ。アホレンジャーの一行」
ジャイロ:「は、流石。準ギルドであろうが全部お見通しってか。情報局」
ガロ:「…。ありがとな。お前ら」
アインズ:「あ?」
カルビス:「お?」
ガロ:「お前らが居なかったら。多分。俺らはあのモーテルから出られてねえ。俺の意地のせいだ。でも!謝る気はねえ。」
カルビス:「はっはぁ。いいじゃねえか。好きだぜえ、お前みたいなのは」
アインズ:「それじゃあ、お暇させて貰う。仕事が溜まってるんだ。こいつの」
カルビス:「そういう訳で。ばぁ〜い。」
ヴァン:「…。カルビス・ラングナー」
カルビス:「んだよ。いい感じにしまってたろ」
アインズ:「空気読めないんだね〜こいつ」
ヴァン:「…。相棒を大切にな」
カルビス:( '.' )
アインズ:('ω')
ヴァン:「以上。行った行った」
アインズ:「ったく、よく分からんが。今度こそバイならだ。行くぞ相棒」
カルビス:「…。だっっはははは!!なるほど!なるほどなるほど!!!そういう事か!!」
アインズ:「あ…?」
ヴァン:「…」
カルビス:「いやあ〜!傑作!こりゃ凄い偶然だ。いや、必然かァ。」
ヴァン:「はは。また何れ、だな。」
カルビス:「ああ。ニコラシカによろしくなァ」
アインズ:「なんだよ、顔見知りだったのか」
カルビス:「ああ、まあ。兄弟みたいなもんだ。」
アインズ:「はあ?まじ?」
カルビス:「嘘」
アインズ:「死ね」
0:二人はその場を去った
ガロ:「…」
カラス:「なんとも。狸に化けられた気分だな」
ノエル:「流石、中央政府のエリート共って具合だったな。ありゃ敵わんわ」
ジャイロ:「ああ、本当に。どこまで知ってんだか」
ヴァン:「今。グリム写本って言ったか。あいつら」
ガロ:「お。ああ、言ってたと思うぞ」
ヴァン:「…。なあ。」
ガロ:「?」
ヴァン:「俺も一緒に行かせてくれよ。」
ジャイロ:「はぁぁ。また男かよ!しっし!」
ノエル:「なんでだ」
ガロ:「おうっ。いいぞ」
ノエル:「早いなぁお前は!まあ、お前のギルドだし好きにすればいいけど…」
カラス:「どういう風の吹き回しだ?お前はアーヘンの生徒なんだろう」
ヴァン:「訳あって、今は留学っつーか。国外修学中なんだワ。それで、そのグリム写本。お前らに縁があるものだって言うなら、俺の目的ともしかしたら、合致するかもしれねえ。だから、それまで一緒に行かせてくれよ」
ガロ:「ああ。何でもいいけど。勿論歓迎だっ。宜しくな、ヴァン」
ジャイロ:「はぁ、女はよ。女は。」
カラス:「もう黙ってろお前」
ガロ:「…。よしっ。それじゃあ!行くか!俺らも!」
ジャイロ:「おお、行きますか」
カラス:「まずは、飯だな。腹が減った」
ヴァン:「それならいい飯屋を知ってる。紹介しよう。好きな物は?」
カラス:「まじか。海鮮」
ヴァン:「わかった。パスタだな」
カラス:「お前話し聞いてんのか?」
ジャイロ:「キャバクラ行こうぜ、キャバクラぁ」
ヴァン:「わかった、ゲイバーだな」
ジャイロ:「話聞けよ!」
0:先に歩く三人の後ろで、ノエルがガロに話しかける
ノエル:「…。良かったよ、ガロ」
ガロ:「あ?何が?」
ノエル:「うーん。なんか。今回のってさ。きっとガロの冒険って言うのとは、解釈違いの物だったと思うんだ。だから、辞めちゃうのかなー、って。ちょっと思ってた」
ガロ:「…。だははっ。辞めねえよ。確かに。めちゃくちゃ悔しいし、悲しいけど。それも、冒険だろ。楽しいだけじゃあ、人生やってられねえって分かったよ。苦しいのも楽しいのも、全部含めて、冒険だっ。」
ノエル:「…。重いね、冒険」
ガロ:「ああ。でも。気遅れするつもりはねぇ。それに、約束したしな」
ノエル:「約束?」
ガロ:「そ。エドの冒険は、俺が引き継ぐって。」
ノエル:「…。そっか。なら、ちゃんと。いつかエドに見せても恥ずかしくない冒険譚、書いてかないとね。」
ガロ:「勿論。そのつもりだっ。」
ジャイロ:「おーいお前ら!早く行くぞ!キャバクラに!」
ガロ:「…。ああ!今行く!」
0:ガロはリュックを背負い直した
ガロ:「よっしゃ!行くか、ノエル!」
ノエル:「はは、そっちの方がガロらしいや。よく似てる」
ガロ:「あー?何か言ったか?」
ノエル:「いいや何も!ほらー!ジャイロ!キャバクラじゃないだろボケ!」
ガロ:「…。」
0:ガロは接続機を眺めている
ガロ:「行ってくるよ。またな、エド。」
:
0:場面転換
0:列車の中
カルビス:「…。はあ。本当に。とんだとんでも現象だったな。」
アインズ:「まったくだ。冷やかしのつもりだったが、グランシャリノ。ありゃあ、近いうちに中央も手を焼く技術を持ち始めるぞ」
カルビス:「どうだかなぁ。既に持ってる、って言うのが。俺の読みだが。ウーラシールと、エルバイエル?だったか。あの辺もドイツが作ってる最中なんだろう。あのRS00は、あくまでその試作品だったって訳だ。変わるぜぇ。ここから。国の在り方も。異常性の驚異も。」
アインズ:「観測室。ベルメット。ノアの方舟。冒険家。…何はともあれ。リベールが終わっちまうのも、時間の問題か。」
カルビス:「ああ。だろうな。」
0:窓の外を眺めている
カルビス:「…。今度はどこまで関わってやがる。アキラ」
アインズ:「さて。俺らは俺らの仕事をしよう。裏切り者として。な。」
0:アインズはタバコを差し出した
カルビス:「…?くれんの?」
アインズ:「ああ。片道切符だ。地獄への」
カルビス:「…はっはぁ。じゃあ要らね。」
0:列車はトンネルの中へと入っていった。
:
0:RS00-f00-xtpll.Python.000001
:
RS00:(M)最初に感じたのは。体温。
0:水槽の中
RS00:(M)指先から身体の中心部にかけて、徐々に熱が与えられる。身に覚えのある、懐かしさを彷彿とさせる感覚。けれど、何処か自分とは程遠い場所にあるような。そんな感覚
0:RS00は徐々に目を開く
RS00:(M)瞼が開き、視界に情報が広がる。光、色、景色。その全てを認識する事が出来た。その場所は知らないが、情報を処理するには十分な既視感だった。
RS00:(M)そして。私の目の前にあるもの。あれが、私の『親』か。それは口を開き、声帯を揺らして意味のある言葉を発声した。
エドワード:「ーーーおはよう。RS00」
RS00:(M)私が、一番最初に聞いた、言葉。その時。私は私の名前を知った。
RS00:(M)言語は、F。「私を忘れないで」
0:ーーー「箱庭のメロス-解-」ーーー




