91話 つながり
自分の家に帰宅した佳代子は、緊張から少し解放された。
朝からとても緊張していたからか、その瞬間から眠気が襲ってきた。
少し自分のベットで横になるとしばらく眠ってしまった。
数時間が経って佳代子は目を覚ました。
「あっ寝てた。」
「今、何時?」
佳代子が時計を見る。
「もう夕方だぁ」
佳代子はベットから起き上がり、スマホを確認した。
しばらくスマホを見ていたが、ふと祐樹の部屋の資料の事を思い出した。
「そうだ、祐樹君の部屋にあった資料・・」
「アイドルを捕まえろ?」
「本当に何だろう?」
「HIKARIさんを応援するのは元彼として当たり前だとしても・・・ゲームの企画書、それに名前がユピネスってどう言う意味だろう?」
「HIKARIさんのためにゲームを作るの?でもそんなことをしても自己満足で、何も変わらないんじゃないの?」
「そんなので応援出来るの?」
佳代子は考えれば考えるほど頭がぐるぐるしてきた。
「考えてもわからないし、今度祐樹君に聞いてみよう!」
そう自分に納得させながら、祐樹の父親から聞いたことをまとめようと思った。
ベットから出ると、デスクに座りパソコンを開いた。
祐樹の父親から聞いたことをパソコンにまとめる。
専門学校に行っているので、この手のまとめは得意分野。
自分に納得のいく感じでまとめた。
「ふーう。終わった。」
ノートパソコンを閉じて、大きく伸びをする。
ふと棚にあったキャラクターのぬいぐるみを見た。
「そう言えば祐樹君のところにも同じのがあったなぁ」
「このぬいぐるみには佳代子にとって思い出がある。」
ぬいぐるみを手に取って、ぬいぐるみに付いている札を見た。
[K・Y]
「あの子、どうしているかな?」そうつぶやいた。
「あっ夕食の準備しないと!」
佳代子は立ち上がり夕食の準備に取り掛かった。
夕食を食べ、シャワーを終えた佳代子はテレビを観ていた。
ちょうどHIKARIがテレビに出ていた。
「HIKARIさん、間近で見ると可愛かったなぁ」
そう思いながらHIKARIが歌い終わるのをじっと観ていた。
10時過ぎ、その日は疲れからか早めに寝ることにした。
時間は深夜頃・・・佳代子はある夢を見ていた。
「お母さん、ゲームセンター行きたい。」
「この前も行ったでしょう?」
「ここのゲームセンターにある私の好きなキャラクターのユーフォーキャッチャーがあるんだもん」
「でも全然取れないでしょう?」
「今日はわからないじゃん」
「仕方ないわねぇ」
佳代子とお母さんがゲームセンターに入ると、いつもと違う光景があった。
「あそこに何か人がいっぱい集まってる。何だろう?お母さん」
「そうだね、なんでしょうね」
「ちょっと見てくる」
「ちょっとだけだよ」
「うん、わかった!」
佳代子が人だかりに近付く。
周りがざわついている。
「凄い、また最高点更新してるよ!」
佳代子が覗き込むと、そこには子供がゲームをしていた。
「何かあったの?」佳代子が近くの子に話しかける。
「あの子、時々来てては、そこらへんのゲームの最高点を更新してるんだぁ」
「今日も来てこのゲームの最高点を超えたんだよ」
「へー、凄い」
佳代子はしばらくその子供を見ていた。
自分より小さい子供。
「佳代子!」母親が呼ぶ。
「はーい」
佳代子が母親のところに戻った。
「ユーフォーキャッチャーやるんでしょう?」
「うん」
「はい、500円」
そう言うと佳代子は自分の好きなキャラクターのユーフォーキャッチャーをし始めた。
500円で5回出来る。
佳代子がレバーを操作して、ぬいぐるみの近くにハサミを落とす。
「あーダメだったぁ」
何度してもぬいぐるみは取れなかった。
最後の1回になった。
佳代子がレバーを操作する。
その時、「あーそこじゃないよ!」と声が聞こえた。
佳代子はびっくりしたが、そのまま続けた。
結局最後もぬいぐるみをとれなかった。
ふと横を見ると、さっきのゲームをしていた男の子とお父さんらしい人が立っていた。
「お母さん、今日も取れなかった。」
「うん、もう諦めなさい」
「えーどうしても欲しい!」そう言うと佳代子が泣き出した。
「祐樹、取ってあげなさい」
「うん」
そう言うと、お父さんは男の子に100円を渡した。
不思議そうに佳代子がその子を見つめる。
その男の子がレバーを操作する。
佳代子の時よりずいぶん手前にハサミを落とした。
すると、ぬいぐるみのタグがハサミに掛かりそれも2つ同時に掛かった。
「えっ!凄い!」
あっと言う間に2つのぬいぐるみが出て来た。
男の子は、「はい、どうぞ!」とぬいぐるみを2つ佳代子に渡した。
「ありがとう」
母親も「すいません。ゲームのお金は払いますので・・・。」
その子の父親が、「いいですよ。100円ですから」
佳代子は不思議そうにその子をずっと見ていた。
「あっ!1個でいいから、1つはあなたのものにして」
そう言うとひとつを男の子に渡した。
「そうだ、折角だからお互いのイニシャルを書かない?」
「イニシャル?」
「そう、名前のアルファベット!」
「私は佳代子だからK,あなたは?」
「僕わからない。父さんイニシャルって」
「祐樹はYだな」
「そうなの?Yだって!」
「じゃあ、KとYね」
佳代子はそれぞれにイニシャルを書いた。
「もしどこかで出会ったら、これでわかるから」
「そうなの?お父さん?」
「そうだな。そのためにはしっかり大事に残しておかないとな。」
「うん、わかった!」
佳代子の母親が、「本当にありがとうございました。」と頭を下げた。
「佳代子帰りましょう!」
「はーい」
「バイバイ、またね」
「バイバイ」
そう言うと佳代子は母親とゲームセンターを出た。
その時、佳代子が目を覚ました。
ふとベットに起き上がった。
何か心臓がどきどきしている。
「えっ!夢の中のその子のお父さんの顔・・・どこかで見た」
そう数時間前にその顔を見ていた。
「祐樹君のお父さんの顔?・・・イニシャル・・Y? 男の子ってもしかして祐樹君?同じぬいぐるみ部屋にあった・・・」
佳代子は一気に心臓が張り裂けそうになった。
「わからない・・・あー胸が苦しい」
佳代子はベットに横になった。
ちょっと落ち着いた佳代子は思っていた。
「祐樹君だったんだぁ。あの子・・」
「ずっと会いたかった男の子」
「IT企業に行かなくても・・・既に出会っていた。」
それから佳代子は驚きで変な汗をかいてしまったため、シャワーを掛かった。
その後は目が覚めてしまって寝られなかった。
その日の朝、佳代子は祐樹にLINEを送った。
内容は、[祐樹君の部屋に行った時に棚にぬいぐるみを見つけたんだけど、そのぬいぐるみのタグに何か書いてる?]
しばらくして返信があった。
「どうしたんですか?K・Yって書いています」
読んで頂き、ありがとうございます。
佳代子と祐樹が小さい頃に会っていたんですね。
佳代子と星と祐樹、今後どうなっていくのでしょう?
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