新宮司 純編 聖女と吸血姫 その8
<異世界(新宮司 純)サイド>
目も見えない。口も聞けない。男の子とコミュニケーションを取るのは難しかった。
「今から、吸血しますよ。Noならば瞬きを二階連続で。Yesならば目を瞑ってください」
男の子はしばらく考えた後、ゆっくりと目を瞑った。
カプッ。男の子に首筋に噛みつき吸血する。どうしても吸血は快楽を伴うのだ。男の子が瀕死の状態のにも関わらず興奮しているのが裸なのでよくわかる。
不思議な味だった。私は大人になりたての少女の血が好物だ。命のエネルギーに満ちあふれていて躍動するような味だからだ。それとは違う重厚な味。まるで神の手で命を握られているような感覚を伴った。
吸血後、私の肉体を再生する。服はボロボロだが肉愛は完全に戻った。恐ろしい血だ。ここまで破壊された肉体を、この年の男の子で治そうとすれば、20人ぐらい殺さなければならないはずだ。それなのにほんの少しの血で、ここまで回復するとは…。
「血術:血管挿入:治癒」指先から細い毛細血管が飛び出し、男の子の体に突き刺さる。男の子には痛みを感じさせないように、吸血時に多めに快楽物質を送り込んでいた。
「動かないでください。あなたのボロボロになった骨を繋ぎ合わせています。それに後遺症が残らないように時間をかける必要がありますので、その間に話の続きをさせて下さい」
どこから話そう? どこまで話そう? まずは自己紹介からかな?
「私の名はハーデェレン。女神教会に捨てられた孤児です。血は繋がっていませんが、姉は…聖女ウェリルメル。最近では竜討伐で有名ね。それで理由は言えないけど、私は吸血鬼になって、今は殺されないように逃げていたの」
ずずっと、少年の手が、横に座っている私の服を掴んだ。目が見えていないのに、私の位置がわかっている? いえ…それよりも…少年は、悲しんでいた。私のことを可愛そうだと思っていた。
「それでね。逃げている最中に、とても深い穴に落ちてしまって、あなたの匂いに誘われて今に至る…。先程も言ったけど。加えて神の啓示らしい言葉で、あなたと主従関係を結び、あなたを守れと言われているわ。その願い叶えてくれる? アーク?」
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<異世界(岩下 さくら)サイド>
(吸血鬼の言う通りにしようと思う。)
(うん…。)
私ではアークを助けることができない。吸血鬼と関係を持っても、悪いことしか起きない。誰が考えても同じだと思うけど、この吸血鬼は…禁止事項だの、命令事項だのと口にした。もしかして、異世界転生者なのでは? だけれども、それを今聞くことによって、どんな災が起こるか、わからないためアークには教えなかった。
吸血が始まると、私にもアークが感じている快感が漏れてきた。これは…気が付かないふりをしてあげなければならない…事案だ。
次にアークの体に吸血鬼から伸びた何かが刺さってきた。確か、後遺症が残らないように治療してくれると言っていたな。ここは待つしか無いか。
待っている間に、なぜか私に使える魔法が追加されたのだった。血書系の魔法がコンプリートされたのだ。
19:血書:事象:吸血(指定):血と体力と魔力を回復する
20:血書:事象:印刷(指定):血書を印刷する(要事前登録)
21:血書:事象:発動(指定):血書を発動する(古い書から)
22:血書:支援:手本(指定):血書を登録する




