夏草 優編 ショタっ子、草花を詰む その6
<異世界(夏草 優)サイド>
四日もかけて辿り着いた森から、四日もかけて王都に戻ってきた。俺は倒れ込むように孤児院のドアを開ける。
「おいっ!! メイダスっ!! 何処にってやがったんだ!!」
二級冒険者のヴァグナーであり、俺のお師匠様が血相を変えて、俺の襟首を掴んだ。
えっ!? 俺…何かした!?
「ヴァグナーおじさん! メイダスも驚いています。一旦、落ち着いて下さい!!」
パメラがお師匠様を制してくれたおかげで俺は解放された。席に着くと、シルシーがお茶を淹れてくれた。お師匠様は相変わらずイライラしている。一体どうしたんだ?
「シスター・ベルティーアが、8日病に感染しました」
「いつ? 熱は?」
「昨晩から高熱が続いています」
ドンッ!! と、お師匠様がテーブルを叩く。
「だから、薬、作れって言ってんだよ!! こんなときに、何処に行ってやがったんだ!!」
「8日病に効く薬草を探しに…」
またお師匠様は俺の襟首を掴む。
「そ、それで、作れるのか!?」
「ヴァグナーおじさん! そんなに締めたら、話せませんよ!!」
「あぁ…すまない…」
「ゴホッ! ゴホッ!! だ、駄目です…。最後の薬草がある場所が、ゴブリンたちに…占領されています…」
「あっ!? そんなもん、蹴散らして来いや!! 誰の弟子なんだよ!!」
「む、無茶言わないでください! あの数のゴブリンは…災害級の案件ですよっ!」
「くっ。時間がもったいねぇ、今すぐ、行くぞ!」
俺の首根っこを掴んだまま、お師匠様は、孤児院を出て行く。
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<異世界(根岸 太一)サイド>
苦しい…。夢なのかな…。きっと夢だよな。異世界に来てから、何一つ良いことがない。
日本に帰りたい。俺が何したって言うんだよ…
助けてくれよ…。もう嫌だ。でも…こんな誰も知らないところで死にたくないよ…。
こんなことなら…貯金ばかりじゃなく、もっと、金使って、みんなと遊んでおけば…。




