藤浪 花音編 墓地でぼっち、でも空腹で その2
<異世界(藤浪 花音)サイド>
クンカ! クンカ! やばい! 美味しそうな人間の匂いがする。ぎゅるるるる!!とお腹が鳴る。
最悪…。絶対に嫌よ! 人間なんて食べないからっ! ぎゅるるるる!!
そもそもゾンビって、人間食べるの? 噛み付いてゾンビ化する映画なら、よくあったけど、人間食べるゾンビって…聞いたことないよね? ぎゅるるるる!!
何で、土の中にいるのに、こんなに匂うの?
犬亜人、からくり人形、くノ一、ゾンビ。犬だから? ゾンビだから? まったくなんなのよ!
ドバっと土をかき分け、地上に出る。そこは墓地だった。
クンカ! クンカ! する必要もなく、その少年は、花音の目の前にいた。
「ひっ!!」驚き尻もちをつく少年。足はガタガタ震え、まるで子犬みたい、可愛い。
四つん這いで近づく。クンカ! クンカ! あぁ…いい香り〜。
ブルンブルンと頭を振る。何を言っているのだ。これは人間、食べ物違う。
「ここで何してるの?」
ガタガタと震え、カチカチと歯が音を立てていたが、少年はお供え物を指差した。
「お腹が減っているのね。花…(ピーッツ!!)…」名前が言えない? ぐっ!! 頭が痛い…。
「ど、どうしたの? 大丈夫??」
「えぇ…。私はAC10dP。いえ、エーサよ。あなたは?」
「お、俺は、ギームス。お姉ちゃんは、ゾ、ゾンビなの?」
「ねぇ、どうして、ゾンビだと思った?」
「つ、土から出てきたから…」
「そう…。ちょっと土だらけだけど、土とか付いてなかったら、ゾンビに見える?」
「う〜ん。綺麗なお姉さんにしか見えない。でも、異国の人って感じかな? 顔立ちとか、ここの人とは違うみたいだし」
やばい…。この子…食べたい。だって…あなたなら、一ヶ月断食して、あっ死んじゃうか…。いえ、出来たとして、目の前にカレーとかラーメンあったら、我慢できるの?
花音ことエーサは、ギームスと名乗った少年を抱きかかえ、土の中に潜った。
恐る恐る…。指を舐める。指を甘噛みする。そして…。
パク。指を食べる。モグモグ。美味い+やばい=ウバイ!!
骨ごと噛み砕く。泣き叫ぶギームスの声は、次第に小さくなっていった。
そして全てを食べ尽くして、エーサのお腹は満たされた。おやすみ…。




