夏草 優編 ショタっ子、草花を詰む その5
<異世界(夏草 優)サイド>
一週間、衛兵も俺も探したが、結局ギームスは見つからないまま、捜索が打ち切られた。
孤児院にいる誰もがギームスを心配しているが、それだけでは生きてはいけない。「しっかりと前を向いてやるべきこと、楽しむべきこと、考えるべきことを確実に実行するのです」とシスター・ベルティーアは全員に言い聞かせたのだ。
お師匠様も動けるようになった。俺はお師匠様に孤児院の警備を任せて、薬草を採取しに出かける。王都で蔓延している流行病の特効薬を作るためだ。
パメラとベルティーアは、じっくりと結婚について話ができると大喜びだ。
王都ベスベスタの周辺に生息する草花の分布図を購入するために冒険者ギルドに寄った。長年の知識から地形・気候・季節などから、大体の想像できるけど、やはりしっかりとした情報が欲しい。
恐らく8日病の正体は、数年前に霧の都ベスタラで流行ったものと同一系統だろうと予測している。ならば、採取するべき薬草は、全部で4種類だ。
ギルドで購入した分布図と欲しい薬草を照らし合わせる。
ささくれ草は北の湿地帯。苦草は街道沿い。フリーデルは今の季節にない。代替として金花だと…うっ。遠いな…東の森か。最後にポルの実は、輸入品かぁ。これは雑貨屋を見てみるか。
雑貨屋を見てみる。ふむふむ。ポルの実がある。それを全部買い占め、食料も4日分買った。一度、孤児院に戻り、大量に買ったポルの実を置く。今度こそ薬草取りに出かけるぞ!
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<北条 彩乃サイド>
ピンポーン。オートロックマンションなのでエントランスに誰かがいるのだろうけど、来客などあるわけないので、スルー。インターホンの画像すら見に行かない。
これで三度目だ。はいはい。わたしの負けですね。誰ですか? 弟は夏風邪で寝込んでいます。
一応、弟もいるから、男性二人を家に上げても大丈夫かな? 刑事だけどさ。
一応、コーヒーを淹れて出したのだが、一切手を付ける気はないらしい。
「本当に訪問するとは思ってもみませんでした。わたしが怪しいと?」
「いや…そうじゃないんだけどね。ほら、ご自宅の安全とかも確認しておかないとね」
「そうですか…。ですが、刑事さんが頻繁に来るようになると、益々、わたしが犯人だ! という風潮が助長されるので、とても困ります」
「なぜ、そう困るのかな?」
「知ってて聞いてくるのもお仕事のためなんでしょうけど。刑事さんなら、このマンションの出入りのログも入手済みだと思います。わたし、夏休みで外出したのは、登校日の一度だけです。それに電話の通話記録を知れべてもらえば、食事の出前とロック解除の辻褄も合うと思います。弟のカードキーを使ったんだろ?とか言われると…証明できませんが…」
「そうなんだがね。この事件は、常識が通じないんだよ。なにせ、突然消えるのだから」
「突然? どういった場所で消えたのですか?」
「詳しくは言えないが、自宅や買い物の途中。友達と一緒の場合でもだ」
「なるほど…。確かに、安全確認は必要ですね…」




