表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/76

イヌの思考

短いです。

「なんなんだ、あれは」

 

 眉をしかめたウサギに、ネコが返す。


「外国産っぽいですね。…妖精、的な」


 なぜか紙パックのイチゴ・オレを飲んでいるが、変身前に飲んでいたのだろうか。

 何にせよ、緊張感がまるでない。


「的なって…」


 二人の会話を聞きながら、イヌは空を盛大な羽音を立てて旋回している一群を見上げる。

 トンボのような透明な翅。風に揺れる衣装。

 それはまさに、一般に想像され、描かれる妖精の姿である。

 が、しかし。

 土色の肌。眼の下の隈。鷲鼻に、鋭い爪と牙。

 妖精的なその大群は、お世辞にも美しいものではなく、強暴そうだ。

 集団で襲いかかる姿は、蜂を思い起こさせる。

 とにかく、怖い。


「……はぁ」


 思わずため息を吐いた。


「ティンカーベルには程遠いな…」

 

 妖精と言えば、もっと可憐な女の子だと思ていた分、目の前の現実に巣押し落ち込んでしまう。


「ぶっ!げはっ、ごほっ」

「ティっ…ティンカ…っ」


 イヌの言葉に、ネコとウサギが盛大にむせこんだ。

 

「なんすか、二人とも」 


 なぜか二人とも、イヌから顔を逸らす。


「いや、何でもない何でもない」

「あぁ。別に何でも…」


――その強面で案外、乙女思考だなんて、考えていませんよ。

イヌは割と思考がかわいい時があります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ