表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

その1 マリア、病気になる

遠藤マリアは、健康な女子中学生。

一度も、病院で、悪いところがあると言われたことが無いのが、自慢。

特に、不衛生な暮らしもしてないし。

まだまだ、若い。

何より、元気で、強気なのが、自慢。

外見は、美少女。

赤毛で、セミロングの勝ち気な少女。

「私は、ずっと、永遠に生きられるんじゃないかと思えるほど、元気ガールなのよ」

と、自分で、言える。


こういうのって、絶対、何かある伏線なんでしょうとか、思うでしょう?

もちろん、何かが起こるのですよ。

これからね。


その1 マリア、病気になる


その日、マリアは、葉原に姉の翔子と、買い物に来ていた。

葉原といえば、アニメグッズのお店。

翔子姉さんは、アニメ大好き女子大生である。

にぎやかな、街で、マリアはというと、ガチャガチャに夢中だった。

真っ黒なカワイイ棒人間のマスコットが、良い感じ。

なんか、最近のガチャガチャって、色々あるから、見ているだけでも、楽しいのよね!

「マリア。お姉ちゃん、この棒人間のコ、欲しいな」

「あ、翔子姉さん、私も、同じよ」

マリアは、スカートのポケットから、五百円玉を取り出す。

「最近のガチャガチャは高いわね。」

女子中学生だけど、最近の値上がりは異常だと、マリアは気づいている。

「カワイイ棒人間のコ、どーん!」

ガチャり。

ゴロンゴロン、ポタ。

カワイイ棒人間のコは、果たして来てくれるだろうか。

カプセルを取り出して、ジロジロ。

「うーん。なんか変なポーズとってるわ」

ジロジロ。

「あー、これだわ。クラーク博士。クラーク博士の少年に大志をいだいて欲しいポーズ」

「少年に大志をいだいて欲しいポーズ?」

「そうよ。北海道限定な気がするわね」

学校で、勉強しているマリアは、北海道に伝説の男・クラーク博士の像があることを、知っている。

カプセルを開けて、キチンと、ゴミ箱に捨てるマリア。

棒人間は、新品の輝き。

東京暮らし、東京育ちのマリアと、翔子姉さんは、棒人間のマスコットを、ナデナデ。

これから、おうちの片隅で、一緒である。

「マリア。お姉ちゃん、まだ、アニメ雑誌買い忘れてたから、ちょっと、待っててくれる?」

「わかったわ、お姉ちゃん。私、他のガチャガチャとか見てるから、待ってる」

翔子姉さんと別れたマリアは、再び、ガチャガチャを見て回る。

それは、どれくらいの時間か。数分後か。

もしくは、10数分後?

軽い地震が、起きた。

関東でも、大きい地震発生の噂がある。

「地震?怖いわね」

マリアは、不安になった。

また時間がたつ。

今度は、一瞬だった可能性もある。


「遠藤マリア。これから、天使の宣告を受けて欲しいであります」


どこからともなく綺麗な声がした。

美しい女の娘の声だ。

マリアの、知らない声だ。

「誰よ?」

思わず、聞き返したのだが、返事が無い。

ただ、マリアの心の、頭の、手のひらの、どこかで、何かが起こる予感。

違和感が、強くあった。

(何かしら。もやもやするわ)

そう、たとえてしまえば、もやもやだった。

マリアは、心の中で不安になり、辺りを見回した。

ガチャガチャばかりある。

マリア以外の人は、近くにいない。

しかし、遠くでは、アニメのお店の話し声。音楽。

人や車の気配がある。


「敵であります。遠藤マリア!」


2度目の女の娘の声。

「はあ?」

マリアは、次の瞬間に、驚く。

「何かしら。黒い…」

黒いオーラを放った。黒い物体。

それは、マリアのヒザ辺りくらいの大きさだった。

「な、何よ…」

ダッ

ドドッ

黒い物体は、突然、突撃してきた。

黒い物体は、ガチャガチャの一つにぶつかり、昏倒した。

「何よ。イノシシなの?」

倒れた黒い物体をのぞき込んだ、マリアは、それが、イノシシらしき存在だと、見た。

イノシシなんて、見たことの無い都会育ちのマリアだが、夕方のニュースとかで、存在を認識している。

人の住む街に、出るとか。

森で食料が無くなってるとか。

ケガ人が、出るとか。

ケガ人…。

マリア、絶対絶命のピンチである。


「遠藤マリア。アルテミスの弓を授けます。それで、戦うのであります」


3度目の女の娘の声。

マリアの目の前が、まぶしく輝き、天上から、真白な弓と1本の矢が、降りてきた。

「えーーーーー!」

マリアは、思わず、大声を上げる。

「ちょ、ちょっと待って。これ、ゲーム的なやつじゃない。おかしいわよ、何これ」

「…では、時間がたつと敵が何をしてくるかわからないので、そちらの棒人間くんで戦うのであります」

女の娘の声が、結構、近くから聞こえた。

「あんた、誰よ」

「…棒人間くん、ショータイムであります!」

「は?」

キラキラキラキラ

マリアの手のひらの中の棒人間のマスコットが、聖なる光りにつつまれて、大きくなった。

「…びっくり!」

マリアの前に、30センチメートルくらいになった棒人間くんが、舞いでた。

両手で、アルテミスの弓と1本の矢を持つ。

動いている。

「あ、私、無理よ。もう、ついていけない」

マリアは、我が目を疑った。

ダッ

ヒュン

棒人間くんは、目にも止まらぬ早業で、弓矢を放つ。

ドスッ

矢は、倒れたままの黒い物体に、見事命中した。

黒い物体は、黒いオーラを弱めながら、シュルシュルと、消えていった。

「遠藤マリア。初勝利であります!」

パチパチパチパチ

緑色のショートカットの美少女天使が、舞い降りた。

そして、マリアに向かって、拍手した。

「私、無理よ…」

マリアは、天使を見る前にその場にくずれおちた。

「遠藤マリア」


「遠藤マリア。聞くであります」

この声は、マリアにとって夢のような、静かな世界で聞こえた。

マリアは、夢の中にいた。

マリアは、ずっと、このままでいたい。

ずっと、夢の中が良いと思えていた。

しかし、そこへ、緑色のショートカットの白い翼の天使が、入って来ていた。

「遠藤マリア」

「…うるさいわね。全部、夢よ。あんた、誰?」

「自分は、見習い天使アリエルであります」

天使アリエルは、敬礼のようなポーズを決めた。

アリエル…。

その次は、真面目な瞳で、マリアを見つめた。

「遠藤マリアに、宣告があります。遠藤マリアは、実は不治の病にかかっているのであります!」

「あ、そう。何?」

マリアは、よく聞いてなかった。

「遠藤マリアは」

「私?」

「不治の病に」

「私が、不治の病?私、まだ女子中学生なんだけど。病気なんて、私、言われたことが無いわよ!」

「天使を信じるであります」

「…病気?無いわ」

「信じてほしいのであります!そもそも、今この瞬間に、遠藤マリアに、天使が見えることが病気なのであります」

「…え?」

確かに、マリアは何故、天使が見えるのだろうか。

(私、何で、いきなり天使なんか見えるのよ…)

マリアは、だんだん不安になってきた。

…でも、天使が見える病気とは?

そんなもの、現代に無い。

思いがけない不安でいっぱいのマリアに、天使は宣告した。

「遠藤マリアは、精神病なのであります」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ