第十一話 入内
第十一話 入内
「あの時、貴方様も私も、我々は皆大罪を犯した。そしてその精算をする時は、すぐそこに迫っている」
――――精算。
「……私はこれで」
本来なら話したかったことも言わず、烏竜はその場から去ることにした。
「――――〝母君″は、今も悼みの品を贈ってくださっていますよ」
背を向ける彼に構わず、張副宰相の言葉がかけられる。
「娘が死んだあの日から、毎年」
烏竜は何も返さず、その場を後にした。
これ以上、この老官と話していたくなかった。
…………あの日は、月が綺麗な日だった。
*
風が気持ちの良い、秋晴れの吉日。
大影帝国第一皇子・鶯俊に四人の妃が入内した。
妃たちはそれぞれの身分にあった四夫人の位と宮を、皇帝より賜った。
四夫人の中にも当然序列がある。
上から貴妃、淑妃、徳妃、賢妃である。
序列は、以下の通りであった。
序列第一位、貴妃・張 翠媛。
元々皇帝の徳妃であり、里下がりをして皇子に入内し直した姫君。
皇家の縁戚・名門張家の娘で、皇后候補筆頭だと言われている。
張家は歴代皇后を多く輩出しており、彼女は皇子皇女の又従姉妹にあたる。
どことなく雰囲気が碧麗と似ており、翠媛もまた相当な美姫だった。
しかし、気位の高さがその眼差し、仕草、口調から透けて見えていた。
美しい華に、毒は付き物なのかもしれない。
序列第二位、淑妃・雀 紅蕣。
雀左将軍の孫娘で、四大貴族の出身だ。
彼女もまた、皇后候補として期待されている。
長年第一皇女の従者として宮仕えをしてきた、確かな実績と洗練された振る舞いを持つ姫君。
男装姿で隠されていた美しさが、花開いていた。
芙蓉のように可憐で、小柄で愛らしい、「南姫」を称するに相応しい姫である。
序列第三位、徳妃・清 麗辰。
右将軍・清 辰淵の娘である。
生家である清家は、雀家ほど中央で絶大な力を持っているわけではないが、鶯俊皇子の後ろ盾であった。
愛嬌を前面に出した、純真無垢で裏表のなさそうな。
所謂深窓の姫君と言うのか、大切に育てられてきたのだろう。
最後は序列第四位、賢妃・玄 思黎。
今は亡き、先の玄家当主の娘である。
元々妃候補にすら上がっていなかった彼女の入内は、皇宮の官吏たちをざわつかせた。
話題性はともかく、ぽっと出のためか、他の三人に比べ随分と地味な妃となった。
妃たちはそれぞれ、以下の宮を居所として与えられた。
張貴妃には、翠月宮が。
雀淑妃には、雀緋宮が。
清徳妃には、龍青宮が。
そして玄賢妃には、亀黒宮が与えられた。
後宮には他に、虎白宮という宮もあるが、入るべき妃がいないため今回は使用されていない。
ある者は、扇の下に憎しみを湛えた顔を隠し。
ある者は、感情の読めぬ笑みを浮かべ。
ある者は、期待に胸を膨らませ、何の憂いもない顔で。
ある者は、誰かとの再会を待ちわびていて。
妃たちは、後宮への門を潜った。
6月から訓練学校に通うことになったので、今後更新頻度が著しく落ちると思います。
でも絶対完結はさせるので、忘れずに憶えていていただけると嬉しいです!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
「面白そう」「続きが気になる」と感じてくださいましたら、
「いいね」『ブックマーク』、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!
是非ご協力よろしくお願いします!




