31、五月祭二日目②
俺はシード・カシエルをからかい終えたので、他の場所に向かう。本当にネタの塊で困る。人は長時間笑い過ぎると死ぬって聞いたことあるし気を付けなくては…
そろそろ昼になって小腹がすいてきたし買い食いでもするために色々な露店が出てる道に移動することにした。
………
……
…
たどり着いたのは王城へ続く一本道だ。道端も広く、露店などが多く並んでいる。その露店の一つで見つけた肉串を片手にしばらく歩くと、人だかりが出来ている場所を見つけた。
「なんかあったんですか?」
俺は近くの人に尋ねる。
「ん?あぁ喧嘩だよ、彼女がどうとかなんかよくわからない事を言ってるんだ」
喧嘩と言っているが周りの人はそんな焦っている雰囲気はなく、逆に「ヒュー!カッコイイよ!」などと言っているところを見ると普通の喧嘩ではないようだ…
俺は何だか興味が湧いたので、見ることにした。
「お父様!やめて!」
「サリア!これは私とこの少年の話なのだ、引っ込んでいなさい」
ん?今サリアって言った?
ヤバイ…近付きたくない…でもなぁ、ここを通らないと進めないんだよな…
「お義父さん!僕は彼女を誰よりも愛しています!」
「うるさい!私の方がサリアを愛している!」
そこにはサリア先輩の瞳を同じ色の瞳の中年男性とレイン・カシエルが張り合うように「愛している!」と、サリア先輩について語っている。どうやらレイン・カシエルと張り合っているのはサリア先輩の父親の様だ。
これ喧嘩か?ってかレイン・カシエルなにしてんだよ…
「僕は彼女をこの世界で一番可愛いと思っています!」
「わしは宇宙一じゃ!負けるものか!」
「ならば僕は並行世界の全てで彼女を愛していると言えます!!」
なんの喧嘩だこれ…
「口が減らない奴だ・・・」
「僕はそれほど彼女を愛しているのです!」
「命を懸けて守れるか?」
「当たり前です!!」
何の躊躇もなく言ったな…周りの人もおぉ~とか言ってるし…
しかしそこに、どこから現れたのか分からないが魔物が現れた!何故現れたかは知らないがレイン・カシエルの対応を見てみるか。
「うわああああ!!魔物だー!」
逃げる人々の誰かが言ったが、レイン・カシエルは突然の出来事にサリア先輩を守るように抱きしめている。シード・カシエルだったら即逃げるだろうな…
とりあえず倒すか…と、思い俺は魔物を素手で殴って瞬殺した。
でも何で魔物がいるんだ?警備はどうなっているのだろう…
「レイン君よ…」
レイン・カシエルはサリア先輩の父親に見られているのを気付き咄嗟にサリア先輩を離す。まぁ、彼女の父親の目の前で抱きしめるなんてどうなるか分かったもんじゃないしな…
「お義父さん、すいませんそんなつもりじゃ」
「今、君は咄嗟にサリアを守ろうとしたんだな…どうやら本物らしいな君の愛は…」
「へ?」
「君はサリアを大切に思っているみたいだ…今まで二週間と十三時間のあいだよく私に認めてもらおうと努力した…」
なんで数得てるんだよ…
「そ、それじゃあ、お義父さん!」
「あぁ、認めよう…君はサリアの彼氏だ」
パチパチパチパチ
周りからサリア先輩の父親に認めてもらったレイン・カシエルへ拍手が送られる。
レインは涙を流している。感動からだろうか?
「うぅ、お義父さんありがとうございます!」
「レイン君、何を泣いている…君は、サリアを守りたいんだろ?だったら強くなりなさい」
「は、はい!」
「けれど一番サリアを愛してるにはやはり私だ」
「僕です!」
ナニコレ
俺は何でこんな事に足を止めたかわからなくなったので通り過ぎて次の場所向かった。
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