6話 女王蜘蛛の怒り
「キシャァァァァァァァアアアアアアア!!」
バリバリという音を立てて真っ白な丈夫な糸を編んでできた床を爪と牙で引き裂きながら雄叫びを上げ女王蜘蛛が現れた。
女王蜘蛛の身体は血のような真紅に染まり、顔についたルビーのように透き通った8つの複眼はギョロギョロとあたりを見渡し、トキを見つけると射殺さんとばかりにトキに凝視した。
「ユネみん、色の違うユネみんで3人1組! 赤、青、紫の順に単発魔法。1人が撃ったら次のユネみんと交代順番が来るまで魔力を練って回復! これを繰り返しながら後方に移動!」
「「「にゃにゃ!!」」」
トキは2丁あるうちの片方をホルスターにしまい、弾の切れた銃のシリンダーを開けて弾丸を装填する。
『弾丸は紫鱗鋼を信管にした魔力との親和性の高いミスリル弾。それを最も硬いとされるダイア鋼で弾丸をコーティングした特殊弾丸…。それを時間が有る時に魔力を込めた一級品! それを…』
トキはシリンダーを戻し、引き金を起こし、引き金を引く。撃鉄は降りるが派手な破裂音は全く無い。
『無駄打ち…この発想は今まで無かった、でもこれが一番効率がいい。』
トキは再び撃鉄を起こし、引き金を引く。しかし何も起こらない。
『今の女王蜘蛛には2発で充分だろう…』
トキは数歩歩いてはユネみん達の魔法で少し押し返されて地団駄を踏む女王蜘蛛に照準を合わせる。
「2発分の弾頭の魔力は《収束》によって1つの純粋な紫鱗鋼製の弾丸に集約されている。これが何を意味するか分かっているかい?」
トキは怒りに狂う蜘蛛に聞こえていないのにも関わらずそう語りかけ、残忍な笑顔を浮かべながら3度めの引き金を引いた。
トキの手が反動で大きく跳ねる。しかしそれすらも計算していたかのように弾丸は暴れる女王蜘蛛の右列と左列の中間、人間でいうと眉間にあたる場所に吸い込まれた。着弾して一瞬…。女王蜘蛛の身体が弾けた。青紫色の液体と蜘蛛を覆っていた皮、内臓が辺りに飛び散り、近くに居たユネみんの身体に降り注ぐ。
「に゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛…」
蜘蛛の体液を浴びてヌトヌトになったユネみんは恨めしそうにトキを見る。
「ご、ごめん…一言声をかければよかったね…私自身もあそこまで威力が出るとは思ってなかった…」
ゾンビのように両手を前に力なくぶら下げ、歩み寄る体液をかぶったユネみんに対し、トキはヒクヒクと口元を引きつらせながら後退りする。
その後、トキもユネみんの手によってヌメヌメにされたのち、青ユネみんの魔法によって丸洗いされ、綺麗に洗うことになったのは言うまでもないだろう。
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