side C 06
何時ぞやの山口君を殺す……もとい、拉致って殺す仕事の達成の為に歩いていたら普通に電話が掛ってきた。
「はいもっしーブリーダー。……あ、え、マジかよ。何で…………はぁ。え、そもそも何でアイツ関わってんの? いやまあいいや。じゃあ予定変更か。オッケー、手筈通りにやるよ。……殺さない殺さない。ちゃんと拉致るって。じゃねー」
多分吉沢にバレないように、ぼそぼそ喋ってた相方に心の中でちらっとエールを送る。でもアレだな、一匹で大丈夫かな。大丈夫じゃないだろうな。俺がさっさと済ませないと。
「……落ち付け、欲求不満はまだ我慢が効くレベルだ」
山口君を保留、多分スルーするのは幾らか苦しいモノがあるが、まあ何とかなる。そして今からの殺害作戦はそこまで乗り気じゃない。だから問題は拉致る場面じゃなくて、数メートル先に居る無防備な人間をちゃんとスルー出来るか、だ。後始末の手間は減らした方がいいのは俺だって分かっているし、何より国家権力サマにバレたらまずいどころの話じゃない。多分首がこう、きゅってなるヤツを経験する羽目になる。運が良ければ病院送りかもだけど、それでもなぁ……治療ってどうやるんだろう。治ったら治ったで怖いんだが。
……よし、通り過ぎた。何とか、欲求との闘いに勝利したぜ、やっほーい。振り向いたらまた可能性が復活しそうだから、近々行う仕事の方に意識を向けよう。どうせ殺しは出来るんだ。もしかしたら二人も。二人以上を殺すのはいつぞやのイタリアンな方々以来だ。楽しみにしておこう。いやまあ一人でもいいんだけど。
「……と、居た居た」
ブリーダーから逃げ出した標的。うん、息も少し上がっている。予想より少し早い到着だけど、まあ俺の予想より足が速かったんだろう。
という訳で、拉致計画からスタート。




