第一話 ご飯は楽しく食べようね♡
『ハロー!私はキラリ!いずれ世界を救う魔法少女だよ♡ 今日もみんなの笑顔を守るために、街をパトロールしま〜す!』
しかし、昼下がりの商店街は穏やかだった。
八百屋のおじさんは昼寝をしているし、公園では子供達が元気に走り回ってる。実に平和。実に素晴らしい。
『うんうん、今日もいい世界だね〜。』
満足げに頷いた瞬間、ぐぅ、とお腹が鳴った。世界平和には栄養補給も必要である。彼女は近くのファミレスへ入店した。
『ん〜おいしい♡』
ふわふわの卵をスプーンですくい、彼女は満面の笑みを浮かべる。やっぱりオムライスは正義。世界を救う魔法少女には、こういう幸せが必要なのだ。
「おい!!!店長呼べ店長!!!」
突然、店内に怒鳴り声が響いた。向かいの席では、中年の男が店員に詰め寄っている。
「大変申し訳ございません…。」
「うるせぇ!!お前じゃ話になんねぇわ、店長呼べって言ってるだろ!!」
店員はずっと頭を下げているが、男の怒りは収まらない。テーブルをばんばん叩く音に、店内の空気がぴんと張り詰めた。子供も怯え、母親の袖を掴んでいる。
『うるさいな〜、せっかくの昼ごはんが台無しだよ。』
これはよくない。みんなが楽しくご飯を食べられる世界こそ平和なのだ。
彼女はカバンからハート型の魔法ステッキを取り出すと、
『えいっ!』
と一声。
次の瞬間、ステッキから放たれたピンク色の閃光が男の喉元を貫いた。
「――ぁ……!!!」
男は声にならない悲鳴をあげながら床に崩れ落ちた。喉を抑え、床でもがき苦しむ男を見て、店内は静まり返る。
『これで静かになったね!』
彼女は満足そうに頷くと、再びオムライスを口に運んだ。




