第二部 第56話 核
無言聖域
第二部 門戸温泉郷編
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回の第56話では、“核”について少し踏み込んだ話になります。
腐敗神の核。
竜の核。
そして、それらを境界の外へ持ち出した場合、何が起こるのか。
ハク達竜族側の過去も少し語られます。
また今回、おうりの
「ガンザ、泣いてた」
という言葉も重要です。
危険な存在であるはずの腐敗神。
ですが、その内側には別の感情もあるのかもしれません。
そして最後に、玲桜が気づく“母の行動”。
よろしくお願いいたします。
作品の設定や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理しています。
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「腐敗神と」
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玲桜が静かに言う。
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「破壊神が外にいる」
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沈黙。
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山城と吉見。
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完全停止。
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数秒後。
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「なんだその」
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山城が頭を抱える。
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「世界滅亡一歩手前みたいなのは!!」
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吉見も真顔だった。
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「もう終わってるだろそれ」
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玲桜は冷静だった。
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「ガンザはいいが」
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「核は取り戻さないと」
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山城が即座に食いつく。
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「よ、よくないだろ!!」
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「腐敗神外にいるんだぞ!!?」
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玲桜。
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少し考える。
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「……ガンザには」
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「大したことはできない」
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沈黙。
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「え?」
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「核は」
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「おうりが」
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「その力のほとんどは」
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「みすずの中だ」
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吉見が止まる。
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「……は?」
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説明が足りない。
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だが。
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聖域側は普通に聞いていた。
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玲桜は続ける。
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「だが」
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「赤竜のコウの核が」
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その瞬間。
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ハクが静かに口を開く。
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白い美女。
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だが。
その目は竜だった。
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「それだけでは」
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「使えまい」
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静かな声。
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「竜族の核は」
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「加工すれば色々使える」
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空気が少し冷える。
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「故に」
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「狩られたこともある」
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吉見と山城の顔色が変わる。
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ハクは続けた。
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「じゃが」
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「それだけでは」
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「何もできはすまい」
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少し間。
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「……やり方によっては」
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沈黙。
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吉見が嫌な顔をする。
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「“よっては”?」
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山城も顔をしかめた。
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「嫌な予感しかしねぇぞ」
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ハクが静かに目を伏せる。
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「核は」
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「力そのもの」
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「腐敗神の核」
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「竜の核」
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「境界の外」
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空気が変わる。
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玲桜が小さくつぶやく。
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「……最悪」
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「通路を壊せる」
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「「「はぁっ!?」」」
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吉見と山城が同時に叫ぶ。
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銀次が眠そうに補足する。
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「んー……」
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「壊すっていうか」
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「無理やり穴あける感じ」
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「軽く言うな!!」
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山城が叫ぶ。
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玲桜は静かだった。
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「だから」
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「取り返す必要がある」
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空気が張り詰める。
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その瞬間。
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おうりがぽつりと言った。
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「……でも」
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全員が見る。
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おうりは静かだった。
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「ガンザ」
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「泣いてた」
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沈黙。
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「……は?」
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おうりは続ける。
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「ひとりで」
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「こわいって」
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空気が止まる。
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玲桜が静かに目を閉じた。
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そして。
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小さくため息をつく。
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「……だから」
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「母さんが外へ出たのか」
第二部第56話を読んでいただきありがとうございました。
今回は、“核”というものがかなり危険な存在として描かれる回になりました。
特に竜族にとって核は、
「力そのもの」
です。
だからこそ、過去には狩られたこともある。
ハクの言葉は、その歴史を少し感じさせるものでもありました。
また今回、
「通路を壊す」
という話も出ています。
正確には、銀次の言う通り“穴を開ける”に近いのですが、どちらにせよかなり危険です。
普通なら絶対に許されない行為です。
ですが、そんな緊張感の中で、おうりは
「ガンザ、泣いてた」
と言いました。
ここが今回かなり大きなポイントです。
周囲が“危険存在”として見ている中、おうりだけは別のものを見ています。
だからこそ、玲桜は
「母さんが外へ出た理由」
に気づきました。
スピネルは、危険だから動いたのではなく――
“泣いているもの”を放っておけなかったのかもしれません。
世界観や登場人物については、作者ブログ「DEGUだよ。」でも少しずつ整理していますので、よろしければご覧ください。
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