目覚め
目が覚めた。
目が覚めたと言うことは生きてるんだ、私。
なんか…
かび臭い布団に寝てる。
ん?この電気の傘…天井の染み…
あーここ休憩所に使っている二階の部屋だ。
はて、どうやってここまで来たの?私。
布団まで敷いちゃって…
天井を見ていた頭を少し動かしたらズキズキと頭痛。
「痛い…」と声を出したら「起きたか?」と男の声がする。
ぬっと四角い顔が寝ている私の顔のを覗き込んできた。
わっ!
なぜっここにお弁当箱が!
ああ、相変わらず四角い。
そして不細工ながらもどこか色っぽい。
「来い来い言うから来たらアンタが倒れていた。
…熱中症かもしれないな?
気分は?
どうする?病院に行くか?」
「ううん、大丈夫…だと思います。
あ、でも水飲みたい。頭痛薬も」
そう言って体を起こしかけたら、寝てろと肩を押された。
「水と薬を持ってくる」と言ってくれたので、頭痛薬は私のバックのポーチに入ってると伝える。
下で水をくんできたお弁当箱は折りたたんであったテーブルの脚を広げ、その上に水と薬を置いてから布団に寝ていた私の上半身を起こし、頭痛薬の袋を破いて私に手渡してくれた。
ありがとうございますと言ってそれを受け取り飲む。
あ、この水少し塩と砂糖が入ってる。
手作りの経口補水液だ…
ゴクゴクと水を飲み干す間お弁当箱は私を見守ってくれていた。
お弁当箱…
なんてタイミングできてくれたの?
私、死なずにすんだよ。
よし、この絶好のチャンスに愛の告白をしておこう。
と、思ったらお弁当箱のほうが水を飲み終わった私を押し倒してきた。
そしてそれが当たり前のように唇を重ねすうっとシャツの下の方から上に向かって手を入れてきた。
私はそのお弁当箱の腕をむんずと掴んだ。
私の好意を確信してるからって調子に乗るんじゃないよ!
「ねえ!私、前にも言ったよね?
こういうことは一緒にご飯食べたり、デデニーランドに行った後にって!」
そう一喝したらお弁当箱ははっと息を飲み一旦体を離し私の顔を見た。
なんとも言えない顔をしている。
困っているのか嬉しいのか判断がつかない複雑な表情。
次の瞬間お弁当箱はガッと私の手を振りほどいて少々乱暴に抱きしめてきた。
あ、優男の抱擁も良かったけれど、労働者のたくましい腕に抱きしめられるのも、これはこれで…悪くない。
魂の匂いに変わりはないし。
そうだ、千円…千円返さなきゃ。
ふふ、借りたお金を返してなかったのは私の方だったね?
お弁当箱の腕の中でそんなことを考える。
あのね、私、気を失ってる間に夢を見てたの。
あなたの。




