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第十話 「 期待の新人達 」 昭和十七年 七月

熱帯の湿った空気が、機体から立ち昇る陽炎と混じり合う。

ラバウル基地の滑走路には、無事帰還を果たした285隊の機体が並んでいた。


グリム「ふぅ、今日も無事に生還、っと。」

   「やっぱり飛燕のエンジン調整、もう少し詰められそうだなー。」


グリム中尉が操縦席から飛び降り、愛機の翼を叩きながら快活に笑う。

その横では、FV少尉が水筒の水?を一気に煽っていた。


さと「部隊長、お疲れ様です。・・・相変わらず豪快な飲みっぷりですね。」

FV「これくらい飲まねぇと、喉に詰まった硝煙が取れへんからなぁ。

  「にしても、大尉の戦いぶり、今日も凄まじかったなぁ。」

  「後ろにおったら、こっちの出番なくなるぞ・・・」


その岩井はというと、司令部の前で、補充要員たちとの挨拶をしていた。


鏑木「鏑木勇也です。索敵および対地に関する支援、万全を期して参ります。」

  「海軍出身ではありますが、百式司偵も気になっております。」


鏑木中尉が軍人らしい硬い敬礼を返す。

その隣では、どこか対照的な二人が並んでいた。


エリンギ「第二部隊に配属されました、木乃・・・あー、エリンギです。」

    「よろしくお願いします。」


エリンギこと、木乃啓一少尉は欠伸を噛み殺しながら、雑な丁寧語で挨拶した。


こんかわ「こんかわと申します!少尉です!」

    「大尉殿、予科練時代から尊敬しておりました!」


彼女の名は、紺川碧。岩井を探してここまでやって来たほどの、岩井信奉者だ。

教育隊でも何かと慕われていたこともあり、岩井の名は、教育隊でも有名だ。

岩井は表情を崩さぬまま、静かに頷く。


岩井「いい返事だ。だが、ここは戦場だ。」

  「憧れだけでは生き残れない。しっかりついてきな。」

こんかわ「はい!大尉殿!」


最後に挨拶したのは、陸軍出身が多い、第三部隊だった。


井上「第三部隊、井上大輔です。今日から貴殿の指揮下で働かせていただきます。」


第三部隊長の井上中尉は、女性の岩井に対しても礼を失せず、凛とした姿勢で挨拶した。

その後ろには、誠実そうな面持ちの島田中尉が控えている。


島田「同じく第三部隊の島田直哉です。井上中尉の補佐を務めます。

  「損害を最小限に抑えつつ、着実に任務を遂行して参ります。」


岩井は並んだ隊員たちをゆっくりと見渡し、最後に空を仰いだ。


岩井「・・・賑やかになりそうだな。これより各部隊、機体の整備と休息に入れ。」

  「明日の作戦会議は1900時。以上だ」

一同「「「了解!!」」」


新たな翼を加え、ラバウルの夜が静かに更けていく。


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