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ダンジョン

 こっちの世界に来て3ヶ月が経った。討伐依頼を受けてLvを上げ、暇があれば図書館に行きこの世界の知識を増やしてきた。Lvが上がったことで使えるSPも溜まったのでスキルを増やし、図書館で魔法書を読み漁り魔法をひたすらに習得した。使えるものは多くあった方が、戦い方も多様になる。

 初心者いじめが好きな冒険者達に、本を取り上げられたりリンチされたりもしたが、人に鎌を向けるのもどうかと思ったが、相手がガンガン武器を使ってきたから私も鎌とスキル、魔法をガンガン使って切り抜けた。おかげで無事に図書館で覚えたい魔法は大体習得できた。


 何度かの戦闘で固有スキルの『影遊』を試して見たが、Lv1の時はまだ、自分の影に入れることしか出来ないようだ。あまり使い道がないスキルだ。Lvが上がって実用的になる事を期待するしかない。どうやってLvが上がるのかまだ分からないが、スキルをたくさん使えば上がるかもしれない。ちょこちょこと使っていく事にする。


 今日はギルドの依頼の中でも難易度が少し高い、ダンジョンの中に住み着く主の討伐依頼を受けた。ここ2ヶ月くらい魔物が異常なくらい増えていて凶暴化も進んでいる。ダンジョン主を倒せば少しの間周囲の魔物の凶暴化が抑えられるらしい。

 ジェシカから武器が出来上がったと教えてもらったから、先に鍛冶屋に行って依頼で貯めたお金を使って、新しい武器を買ってからダンジョンに行くことにする。


「それじゃあ、ヒルダさん。行ってきます。」

「あいよ!ちゃんと帰ってくるんだよ。最近向こうの世界でバケツをひっくり返したみたいな大雨が続いてるみたいだから、こっちでも雨には気をつけるんだよ。」

「はい分かりました、ありがとうございます。」


 現実世界と魔世界は双方に影響を与える。現実世界で嵐になれば、魔世界は軽く雨が降るという程度だが。向こうで大雨が降っているようなので、もしかしたらこっちでも雨が降るかもしれない。降ってくる前にダンジョンに入ってしまえば関係ないが。


 宿屋を出て工業エリアに行き、シンの店に向かう。討伐依頼を大量に受けてきたので、お金はそこそこに貯まっている。武器が高くても多分平気だろう。


「こんにちは、リヤです。武器を受け取りに来ました。」


 前にジェシカが大きな声で呼んだら静かにしろと怒鳴っていたことを思い出し、入口でいつも話すよりも少しだけ声を大きめにし、シンを呼ぶ。


「おぉ早かったな。ほら、これだ。鎌を作ったのは初めてだったけど、結構いいもんが出来たと思うぜ。良かったらまた作らせてくれよ。お代は金貨1枚でいい。」


 武器の相場が大体金貨3枚から5枚あたりだ。1枚でいいとは結構まけてくれたみたいだ。少なくて済むのはとてもありがたい。

 お礼を言ってお金を払い、新しい大鎌を背負う。

 今まで使っていた大鎌は草を刈る為として作られたような、すごくシンプルなデザインのもので、武器としての性能はイマイチだった。新しい大鎌は本体が黒く赤いラインが入ったスラッとしたデザインだ。新調した黒いフード付きコートともよく合っている。しかも今までのよりも軽く、刃も両側に付いていて振りやすそうだ。

 私は新しい武器を手にして高まった気分を落ち着けながら、ダンジョンに向かった。


 ダンジョンの入口は何故か賑わっていた。ギルドからの依頼は他の人でも受けられるようになっているし、今回は報酬が良かったからたくさんの人が依頼を受けたみたいだ。

 周りの人がどれくらいの強さなのか、新しく手に入れたスキル『鑑定』でLvを覗いてみる。大体がLv30から40辺りが多かった。鎌闘士が居ないか探してみたがやはりいなかった。もしいたらどんな武器を使っているのか、戦い方はどうなのか色々聞いてみたかったのだが、仕方ない。

 普通のスキルには、固有スキルの様にLvは存在していないようだ。『鑑定』は相手のステータス、物の名前や希少さ、レア度を見ることができる以外にはわかることは無いようだ。図書館の本にもそう書いてあった。まぁ、本が全ての情報ではないとは思うから、まだ何かあるのではないかと少し期待してはいるが。


「ダンジョン主の討伐依頼を受けた冒険者はこっちに集まってくださーい!依頼を受けた人と来た人が一致するか、パーティの有無を伺いまーす!」


 入口から少し離れたところにギルドの旗が立っていた。人混みで声の主は見えないが、旗の方向から声が聞こえてきて、人が旗の方向に流れ出したから、私も流れに乗った。


「はい、名前とパーティ教えてください。」

「リヤです。パーティは組んでないです。」


 列が進み、名前と自分がソロである事を受付の人に伝える。ソロである事を伝えた瞬間、周りがどよめいた。さっき『鑑定』から得た情報では、誰もが必ずパーティを組んでいた。最低でも2人のパーティだ。ソロはいなかった。

 しかし、少しだけ自分を正当化させてほしい。私にはこの世界に来てから冒険者との会話が、あの初心者いじめの冒険者達だけだったのだ。あの人達とは何があってもパーティは組みたくない。まだ経験が浅い人をリンチする輩だ。誰も組みたくないだろう。ユフィアはギルド所属の治癒士だから、依頼には参加できない。だからソロで行くしかないのだ。そうだ、仕方ない事だ。


「ソロとかマジで言ってんの?ダンジョン舐めすぎじゃない?」

「私はみんなと違って強いからー的な?ウケるんですけど。」


 パーティを組む人がいないだけでこの言われようとは。


 名前を言って私はさっさとダンジョン内に入った。大勢でひとつの的を叩きのめす様なあの空気は嫌いだ。向こうの世界を思い出す。ダンジョンに入ったのだ。イライラして周りを警戒するのを疎かにして怪我をするのはいけない。気持ちを切り替えて、中へと進んでいく。

 ダンジョンは迷路のように入り組んでいる。1箇所だけ下に続く階段があり、ここのダンジョンは地下12階が最下層らしく、下に行くにつれて魔物が強くなる。

 道中で見たことがない鉱石や植物を見つけたら片っ端から『鑑定』をしていった。


 青く光る草に『鑑定』をして情報を見ていたら、背後からピリッとした空気を感じた。何かが後ろにいる。

 私は大鎌を構え、戦闘態勢をとる。まだ1階で魔物も弱いとは言え油断は禁物だ。確定で先手を取るため『影遊』で影の中に入った。

 ダンジョンは洞窟状になっていて、光が届かない。つまりダンジョン内は全て影だ。陽の光の下だと自分の影にしか入れず、影に入ったまま移動が出来なかったため使い道がないと思っていたが、ここなら有利だ。

 私は影の中を移動し、気配を感じとった辺りまで移動した。私を狙っていたものは魔物のコボルトだった。

 犬の頭に人の体をしていて、体格は少し小さめ。嗅覚は人より強いが、視覚に頼って獲物を探す魔物だ。

 急にいなくなった私を必死に探しているコボルトの背後に回り込み、影からそっと出て、


「残念、後ろだよ。」


 コボルトが振り返ろうとした所を鎌で横薙ぎにし、首を切り落とした。コボルトは群れで行動する魔物だ。近くにまだいるかもしれないため、周囲に警戒しながら再び影に入った。


 影に入ったまま移動していると、遠くにコボルトの群れを発見した。どうやら他のパーティと交戦中らしい。またあの空気にされたくないから私は退避させてもらおう。

 ずっと影の中で移動しているが、外に出ている時よりも周りが見やすい。目が慣れたからなのか影がダンジョンよりも暗いからかなのかは分からないが。

MPがもったいない。周りに注意しながら影から出る。


 探索しながら、襲ってきた魔物を『影遊』を使って倒しつつ、階段を探した。


「あれ、さっきの痛いやつじゃん。死んでなかったんだ。」


 後ろから声をかけられた。受付の前にいた不特定多数のやつだろう。私の記憶にはこいつは存在していない。


「何か御用でしょうか?」


 こういう奴は機嫌を損ねると暴力を振るうイメージがある。すぐに笑顔を作り、丁寧に話す。もう関わりたくないから早めに離してもらえると助かる。


「いや、特に用事なんかないけど。見かけたから声掛けただけ。とりあえず死ぬなよー。」


 肩をポンと叩いてから、このパーティは去っていった。パーティの中にいた竜人の人だけが何故か振り返ってきたが、何も言わずに去っていった。なんだったのだろうか。

 獣人は元の世界でもよく見てきたが、竜人と会ったのは今日が初めてだ。頭の上にドラゴンの角らしき物が対になって生えている。


 笑顔と丁寧な口調は間違ってなかったらしく。何事もなく終わった。多分だが、彼らの進んだ方向に下の階に進む階段があるんだろう。距離を取ってからついて行くことにした。

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