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初レベルアップ

「ねぇねぇユフィアのLv1の時と、リヤちゃんのLv1の時とステータスに差があるんだけどなんで?」


 ユフィアが私のステータスを、「ここー」と指さしながら言う。

 私はステータスを見たのが初めてだから何がおかしいのかさっぱりだが、少し差ができているらしい。私は薬草しか採っていなかったから、Lvが上がる事も、ステータスが上がる事もしていないはずだ。確かにおかしいかもしれない。


「あぁ、年齢の差だろうな。」

「年齢の差?」

「そうだ。同じLv1でも、赤ちゃんと大人だと力の差とか体力の差があるだろう?きっとそういう事だ。」


 なるほど。確かに、同じLvの赤ちゃんと大人が筋力、体力で差がなかったら、私は父を殴り倒せていたわけだ。特に変な事じゃない。


「マスター、リヤちゃんの種族。アーレウス族ってなんです?聞いたことないのですが…。」

「エテル、パパでいいんだぞ。世界には色んな種族がいる。こっちにも、もちろん向こうにも。半世紀くらい生きてはいるが、俺も初めて聞くから相当古い種族なんじゃないか?」


 ダンも分からないのであれば、後で自分で図書館にでも行って調べればいいことだ。文字が読めるかどうかは別として。

 自分のことについて少しずつ分かってきた。年齢のお陰で少しだけステータスが高いこと、自分がよく分からない古い種族であること。残りでよく分かっていないのはスキルについてだ。


「あの、スキルってなんですか?固有スキルってのもあるみたいですけど。」

「あぁ、スキルっつーのは基本魔法と同じだ。ただ、スキルの方はSPを消費して得る代わりにMPの消費量が魔法よりも少ない。そして実用性のあるものが多い。分かりやすい見分け方は魔法かスキル、どちらかを使う時魔法陣が出るか否かだ。固有スキルに関しては、正直俺もあまり分かってはいないんだ。すまない。」

「いえ、ありがとうございます。」


 スキルについてはよく分からなかったが、これもまた後で調べれば問題は無いだろう。忘れないように、心の中にメモでもしておこう。


「さて!冒険者登録も出来たし、そろそろ初の討伐依頼に向かってもらおうか!」

「い、いきなり、ですか!?」


 まだ武器もない上に、戦い方も何も分からない状態で放り出されても困る。

 戸惑う私とは反対にダンは、歯を見せてニカッと笑う。

 笑顔が良く似合うおじさんだ…。


「安心しろ。今日は俺が付き添う!討伐依頼と言っても、最初はスライム狩りだ。死ぬことはまず無い。だが!弱いスライムと戦うと言っても、戦うのだから命懸けだ。武器の事、回復薬の事、まだまだ色々教えることがある!普段はそこらの冒険者にでも任せるのだが、娘達が気に入っている子なんだ。俺が直々に教えてやろう!」


 登録した日は、戦闘のことも教えて貰えるらしい。初めての戦闘に放り出されずに済んで良かった。

 ダンは余程張り切っていたのか、「よしいくぞ!」と私の返事とエテル達の制止を聞かずに腕を掴み、ダンに引きずられる形で外に出た。


「街のことは、帰ってきてからジェシカに聞くといい。あの子は顔も広いし、ウルティの街のことなら何でもと言っていいほど知っている。さ、まずは万一怪我してしまった時の為、回復薬を買いに行こう。こっちだ!」


 ダンは娘の事が本当に好きみたいだ。私に話す時の顔が綻んでいる。こんな父親が世に居たとは思わなかった。

 私の腕から手を引く形に変え、人混みの中をすいすいと通り抜けていく。大柄な人なのに、誰ともぶつからない。いや、よく見るとダンはぶつかりまくっていた。人の波に呑まれないよう、私の壁になってくれているのだろう。なんとも言えない気持ちになる。


「ついたぞ。ここだ。」

「おぉ、ダンじゃないか。久しぶりだな!この子は?新入りか?」

「あぁ、さっき冒険者登録を終えたばかりなんだ。」

「初めまして。リヤといいます。」


 ダンが親しげに挨拶を交し、流れで私のことも軽く紹介してくれた。その流れに乗って名前を名乗る。

 ダンが話している間に店の中を少し覗いて見たが、どうやらここは薬屋のようだ。透き通る緑の液体が入った瓶に、青色の液体が入った瓶、ドロっとしたものまで色々あった。


「初めまして、カイだ。冒険者になったばかりという事は、回復薬を買いに来たんだろう?ちょっと待ってな。」


 薬屋の主人、カイはそう言って店の奥に入っていった。

 回復薬なら店頭に並んでいるものでいいのに、何を取りに行ったのだろうか。ダンと顔を見合わせ首を捻っていると、緑色の液体の入った瓶と青く輝く瓶を手に、カイが店の奥から戻ってきた。


「待たせたな。今朝娘が回復薬を調合してな。これは会心の出来らしい。持っていきな。」

「え?貰っちゃっていいんですか?」


 会心の出来ということは、かなりの上物なんだろう。そんないい物を、まだ戦いにも出ていない冒険者が貰ってしまってもいいのだろうか。


「あぁ、貰ってくれ。ダンは人を見る目があってな。育ちそうな子を見つけても、ギルドから出て自ら教えるっつー事は、滅多にないんだ。それだけお嬢ちゃんの事を気に入ってて、心配もしてんのよ。お代はダンにつけておくから、持っていきな。」

「ありがとうございます…。」


 私は本当に貰っていいものなのか、少し不安になってダンを見上げた。急に褒められたからか、心の内がバレたのが恥ずかしかったからか、ダンは耳を赤く染めてそっぽを向いていた。


 薬屋の主人が貰ってくれというのだから、と思い直し私は回復薬を受け取った。

 しかし回復薬をしまうスペースが私の服にはない。後で物をしまう為のポーチでも買わなければ。


「あぁ、そうだ。ギルドのバングルにはステータスを見る以外にも、もう1つ機能があってな。少しなら物を収納できるんだ。」


 私の考えを汲み取ったように、ダンが説明してくれた。


 どうやらバングルの中央に付いている、青色の魔法石にしまい込めるらしい。

 ダンに教わりながら魔力を流し、回復薬を魔法石の上にかざした。その瞬間、回復薬が手から無くなった。やはり何度見ても魔法は感動する。


 カイにお礼を言い、隣の武器屋で初心者用の大鎌を買った。

 鎌闘士は100年くらい前の職業なのに何故あるのか聞いてみたら、たまに憧れた子が買いに来るんだそうだ。武器は子供にとっては憧れの対象なんだろう。


 回復薬を買い、武器を買って戦う準備は万端だ。

 ダンと私は街の門の前にある草原に来た。ここはスライムやらゴブリンやらが多い。周りを見渡すとすぐに見つけられるくらいだ。

 今回は初めての討伐依頼。ていっても国からの常設依頼でスライムを5体討伐すればいいようだ。

 私は鎌を握り討伐に取り掛かった。


「リヤ、止まれ。」


 ダンの緊張気味な声に思わず足が止まる。足元に目をやると雑草が蠢いていた。びっくりして体が跳ねた。

 草の部分しか見えていなかったが、よく見たら根っこが足のようになっている。そこそこに気持ち悪い見た目だ。


「ここら辺はスライムとゴブリンだけじゃなくて、レッサートレントっつって、草の魔物もいるから気をつけろよ。戦ってる最中に足取られるからな。」


 説明しながらレッサートレントに剣を突き立てるダン。あまり活発な魔物じゃないらしい。1突きを避けることなく死んだようだ。


「レッサートレントがいたら教えてやる。さ、行ってこい!戦いは体で覚えろ。」


 私はダンに返事をし、スライムを狩りに向かった。


 やはり、スライムを倒すのは簡単だった。鎌で数回切ればすぐに死ぬ。相手の攻撃方法は突進と溶けるくらいで、避けやすいものばかりだった。


「ラスト1匹…っと。」


 鎌を振り下ろし、5匹目のスライムに突き刺した。

 スライムを殺した瞬間、体が急に軽くなった。もっと動き回れそうな、体力が増えた感覚だ。謎の感覚に困惑していると、ダンが後ろから声をかけてきた。


「Lvが上がったんじゃないか?ステータス、確認してみ。」


 言われた通りに確認するため、私はバングルに魔力を流した。


---------------


リヤ(仮) 17歳 鎌闘士

種族:アーレウス族

Lv:2

状態:普通

HP:12/12

MP:9/9

攻撃力:10

防御力:9

素早さ:9

器用さ:7

魔力 :4

魔防 :4

SP :5


《固有スキル》

影遊(かげあそび)


《スキル》

無し



 ほんの少しだけステータスが伸びていた。体が軽くなったのはLvが上がったせいだったらしい。異常がなくてホッとした。

 ダンにLvが上がったことと、スライムの討伐が終わったことを報告し、今日はギルドに戻ることにした。


 Lvが上がれば強くなれるという事が分かった。明日からもっと依頼を受けて、強くなろう。前の世界でもそうだったが、ここはもっと生死が身近だ。のんびりと誰にも脅かされず過ごす為には、強くなることが必須だろう。

 私は鎌を背負い直し、帰路に着いた。

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