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VS 融合した門番

 死神ちゃんに突然名前をつけてくれと言われ、故郷に咲いていた花から「レイ」と名付けた。


 レイと共に腕ウサギを食べ終え、階段を下る。下に待ち受けていたのは、裏ボスが待ち受けているだろう部屋に続く大扉と扉を守るように座っている黒虎と白虎だ。

 レイに白虎の方の相手を頼まれ、黒虎と分断してもらう。危なくなった時は影遊で影に入りレイになんとか知らせよう。


「さて、いっちょやりますか。」

「グルアアアアアアァ!」


 白虎が咆哮を上げる。白虎の足元に魔法陣が展開される。この虎は魔法が得意みたいだ。

 だが、いくら強力な魔法を使えるといえど、当たらなきゃ意味がない。砂漠のエリアで戦った紫のカエルから手に入れた砂嵐のスキルと前から取っておいた隠密で、視力と気配感知のスキルをできるだけ無力化する。

 砂嵐は相手の視界を悪くし、微弱だが継続的にダメージを与えることができるスキルだ。メリットはそれだけでは無い。スキル使用者には視界の悪さも継続ダメージもない。とても強力なスキルだ。紫カエルと戦った時はこのスキルのおかげで相当苦労した。


 白虎がアクアカッターを放たずそのまま武器として使うことのできる水魔法、アクアブレードを発動し体に纏った。


「ガウ!」


 白虎の短く吠え、襲いかかってくる。砂嵐のせいで視界が悪いと思っているのかジグザグに走りながら襲いかかってくる。

 残念だが、俺からはしっかり見えている。

 竜化し腕ウサギから得た剛力と、溶岩魚から得た炎纏(えんてん)を使い、目の前に迫った白虎をぶん殴る。


 水の刃と炎の拳がぶつかり白い煙があがる。蒸発しているのだ。もう少し火力を上げればこっちが有利になる!


 大きく息を吸い込みフレイムブレスを放つ。アクアブレードを少しずつ蒸発させて武器を奪う。

 反対の手でもう一度剛力と、今度は雷を纏い殴る。対抗できる武器を失った白虎は俺の拳を受け入れるしかなくなり、顔面に攻撃を食らい後方に吹き飛ぶ。壁に激突し土煙が舞う。

 上の階層のフロアボスなら、これで顔がひしゃげて倒せるが…。


「グルル…」


 煙が晴れた場所には白虎が、魔法陣を展開しながら立ち上がっていた。さすが門番だ。

 魔法を使われるのを防ぐ為、爪を大きく振るう。距離が遠いがSPを消費して得たスキル、空裂(くうれつ)なら距離など関係ない。レイの死神の鎌の俺バージョンだ。


「グルァ!」


 白虎に回復する暇を与えないよう、空裂を撃ちながら雷撃を放つ。

 土埃が舞い、白虎の姿が見えなくなる。不意打ちを打たれてもダメージにならないよう、白虎がいるであろう場所に攻撃力低下の魔法を放つ。

 翼と腕をそのままにし、他の竜化を解く。白虎がいた場所に雷を腕に纏い攻撃の準備をしつつ少しずつ近づく。

 まだいるはずなのに、気配がない。どういう事だ…?


「「ガルァァァァァア!!」」


 煙の中から虎の咆哮が響く。しかし、さっきの白虎とは声が若干違う。嫌な予感がする。


「クロ!まずい、そっちに黒虎が…!」


 土操作の壁を解除してレイが飛び出してきた。と言うことは、さっきの声は…。


「「グルルルルル…ガァァァァア!」」


 土埃が晴れ、そこにいたのは左半身が白、右半身が黒のさっきより一回り大きい虎だった。


「おいおいまじかよ。レイ、MP回復しろ急げ!」

「わかってる!」


 レイがタンザナイトから溢れた水を飲み、MPをマックスまで回復する。


「黒い方は物理が通らないが、魔法が通りやすい。右半身に魔法を集中させてくれ。」

「あぁ、なら白い方は物理が通りやすいのか。あんま気にしてなかったが。」

「「よし、いくぞ!」」


 もう一度融合した虎に攻撃力低下魔法をかけ、左半身に空裂を撃つ。空裂は攻撃した場所が任意の場所にずらせるというだけのただの物理攻撃。だから白虎はダメージを負っていた。ならばこれを続けるのみ!


「「ガァァ!」」


 融合虎が吠えた瞬間、虎の背中に6つのファイアボールと体の周囲にはアクアブレードが出現した。

 ファイアボール同時に6つってなんだそれ!やりすぎじゃねぇか!?


「あのファイアボールは追尾型だ。注意しろ。」


 レイが静かに呟く。ちらりとレイの姿を確認するが、左腕が焼け爛れていた。戦っている最中に食らったんだろう。相当な威力だ。


「なら、下がれレイ!」


 再び竜化を行い攻撃に備える。レイを後ろに庇い空裂を打つ。アクアブレードだけでも手数を減らす。


 ふわりと急に体が軽くなった。レイが後ろから魔法耐性魔法をかけてくれたみたいだ。


 竜の鱗はあらゆる衝撃に強い。魔法もある程度なら弾き返すことができる。だからレイを後ろにやり庇ったのだが、その事にレイは感づいたみたいだ。察しのいいやつだ。

 いくら竜の鱗があるとはいえ、タダで攻撃を食らうつもりはない。大きく息を吸い込み、口の中に熱を溜める。ここに雷撃を加え、一気に放つ。即席で作った雷を纏った熱光線だ。

 最大威力で放ったからそこそこにダメージが高ければいいが…。


 熱光線を放ち終わった後、ファイアボールに備えて身を固くしていたら、急に視界が暗闇になった。レイの影遊だ。

 地上を見上げるとファイアボールが上を通過していったところだった。影遊の存在を忘れてた…。


 レイに影から出してもらい、空裂を放つ。融合する前の白虎のダメージが残っているのだとしたらあと少しで削り切れるはずだ。


 影遊から出てフレイムブレスを放つために息を吸い込む。

 レイがファイアボール6つを背負いながら俺の前に出てくる。レイが炎なら、俺は雷の方がいいかもしれない。口の中に溜めた熱をそのままに雷も合わせ威力を高め、レイが魔法を放つのと同時に雷撃を放つ。

 融合虎も負けじとアクアブレードとファイアボールを放ってくる。火力のぶつかり合いだ。

 レイがファイアボールを撃ち終え、影を動かし虎の背後に巨大な鎌を作った。

 なるほど。レイのやっている事が虎にバレないよう、俺は放っている雷撃に炎纒を加え爆発させる。


「っ!」


 消しきれなかった虎のファイアボールとアクアブレードが砂煙から飛び出し、襲いかかってくる。なんとか両腕でガードしたが、鱗が焼け剥がれた。

 砂煙で視界が悪くなった所をさらに砂嵐を使って視界を悪くし、竜化を四肢と翼だけ残しスピード特化の姿になり一気に虎に近づく。


「ぉおら!」


 焼けた腕の痛みを我慢し、炎纒と纒雷で虎の顔面を全力で殴り、レイの側まで後退する。

 虎は弱ってきているのか殴った衝撃でよろめき、体勢を戻すのに時間がかかっている。


「今だ!やれ、レイ!!」

「喰らえぇぇ!!」


 レイが影遊で作った巨大な鎌に赤い雷を纏わせて、融合虎の首に振り下ろした。


「「ガァァァァァァア!!」」


 虎は最後の咆哮を上げ、レイが首を切り落とした。

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