5. シーン FINAL side A
あれからさらに、いくつものシーンをループさせられている。
わかる限り……どのシーンも〝クリアしたような〟ムーブには持っていけてはいる。はず。
しかし毎回最後に、何だかわかんないままオルフォスに斬られて暗転するのだけは変わらない。
淡々と、巡ってくるものに対処するだけ。プログラムの一部になったような気さえする。
あの夜祭りのイベントも、何とかオルフォスに斬られるエンドで終えた。
〝本当の殿下〟を知りながら。
殿下……
確かに人気者で、きらめいて、この世界の頂点にいる人。そして、遠い。
〝そっち〟なのはいいとしても。全シーン、一度も手を繋いだことさえない。
彼の、人としてのあたたかさを、何も感じたことが無いのだ。
私の手を取ったのは、たった一回、あの夜祭りのオルフォスだけ。
振り返ってみれば、あの時のオルフォスのやさしさが、このゲームで最も血の通ったシーンだった。
斬って斬って、斬りまくって。
私の血を奪い続けた彼が、唯一、ぬくもりをもって伝えてくれたこと。
「───っ! そうか、そういうことなんだっ」
私はやっと、やぁっと気が付いた。
このク〇仕様なループを抜け出す方法に。
そうと決まれば、やるしかない。




