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NEW・アルカディア!  作者: 祝 冴八
[DAY6]天翔ける歌声
49/64

番外編「収容所にて」

『——おい、天使軍さんよぉ!』


 鉄格子が裸足で蹴られた。彼の努力は虚しく、鉄の塊が震える鈍い音のみが発生する。

 その声に振り向いたのは、天色の髪を揺らす一人の少女だった。


「はい」

『もうこんな薄暗い所はごめんだ! 尋問と説教の繰り返し! 俺たちに何がしたいんだ!』

「……それはもう、お分かりでは?」

『もう十分だろ! 俺たちもう何日もここにいるんだぞ! 返してくれよ!』

「まだ1ヶ月経ってませんよ、せっかちさん」


 少女は呆れる様に肩をすくめた。ここの檻に収容されている者は、全てがアルカディアの一員であった。アルカディアとは悪の組織である……いや、天界と人間界で暴れ回る、人々に被害を及ぼしている組織である。

 単に悪とは言い難い。生命への侮辱をしているに過ぎない。

 ここにいる者の中は、過去に犯罪を犯したことがある者もいれば、経歴がない者、子供などさまざまな人物がいる。


「それに、私たち天使軍だって天界へ帰れないんです。この中の誰かが、あの結界の解き方を教えてくれない限りは」


 共通点とすれば、この部屋にいる唯一の天使軍、マニを見る鋭い目つきである。まるでこちらが悪者だ。彼女はそう思った。

 それでも、彼らを解放するわけにはいかない。彼女は全ての悪魔から目を背け、この収容所を出ようとした。


『なぁ、天使軍さんよぅ……なんで殺さねえんだ』


 掠れた声でマニを足止めしたのは、腕に大きく傷を負った、若い女性だった。


「……殺す? なんのことでしょう」

『アタシたちのことだよ……アルカディアは、お前さんの敵だろう。憎らしい奴らはさっさと片付けたほうが……人生楽だぜ』

「ご忠告感謝します、『ミゼル』さん」

『………っ!』


 ミゼル、と呼ばれた女性は目を丸くした。なぜなら、名前を呼ばれたからである。この小型収容所では、囚人は番号で呼ばれる筈だ。よって自分の本名を忘れかける者も多くいる。ミゼルもその一人であった。


「私だけではありません。他の隊員にも、あなたたちの名前を顔を一致させています。もちろん、囚人番号も」

『…………なぜだ』


 マニは、ミゼルの問いから顔を背けた。扉に備えられたエフェークオスに手をかざし、解錠する。扉が魔法によって開かれた時、マニは振り向き、彼らに微笑みかけた。



「人を殺しても、世界は変わりません。あなたが企もうと、私たち天使軍が抑え付けます。安心して未来をお過ごしください」



 一字一句間違えずに、彼女はマニュアル通りの文字を唇から溢した。

以前から本編に書こうと予定していた話ですが、

作者の考えを含め、本日番外編という形でこの回を投稿させていただきました。よろしくお願い致します。

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