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NEW・アルカディア!  作者: 祝 冴八
[DAY5]確執への抱擁
36/64

5-E 出動! 天災の天才はタダの天際!

5秒で分かる前回のあらすじ

「ギャグ漫画に2割は必ずあるしんみりタイム」



【————緊急出動命令。直ちに武装をし、指定の場所に向かってください。】


 軍基地のスピーカーから、ソレイルさんの声が響いた。

 それと一緒に、エルが咄嗟にエフェークオスを確認し始めた。


「————! 悪魔……!」


 少し驚いた様子を見せたエルの視線の先、つまりエフェークオスを、私も一緒に覗き込んだ。


「『ハイジン4体、悪魔1人』……?」


 私が首を傾げると、エルが答えてくれる。


「やっとアルカディアの役員が出てくれたってことだね」

「はっ! なるほど! そういえばそうだ!」


 私はポンと両手を叩いた。そういえば、今までハイジュウやハイジンはいっぱい出てきたけど、アルカディアの悪魔は見たことがなかった。

 なるほど、今回はエル達にとっては、なにか手がかりが掴めるチャンスなのかも。


「エル! 私も行くよ!」


 するとエルは、目を丸くして私を見た。


「そ、それはダメだよ。アルカは危ないし——」

「だってマニさんは負傷してるんだよ⁉︎ 代わりの戦力……とはいかないけど、でも、いないよりマシだよ!」

「でも————」


 困り眉のエルに喰い入るように、軍基地のアナウンスが流れ始めた。


【緊急出動命令、緊急出動命令——って、“緊急”って言ってるんだけど。マニ以外は全員早く出動をしなさい】



「——いた」


 エルは、その辺に立ってる一軒家の屋根から、人気のない道路を見下ろす。

 ……って、おい、「その辺」ってなんだよその辺って。もっと清く正しく地の文を書け、筆者。


「アルカは正面から行って。僕は背後から行く」

「わかった……って、そういえばソレイルさんは?」


 私は辺りを見渡したが、彼女の電光版顔はどこにも見当たらない。


「ソレイルは戦闘員じゃないんだ。そのかわり情報処理や、俯瞰(ふかん)からの指示とかは彼女に任せてる」

「フカンとはなんぞや?」

「空や天井から観察することだよ」


 そう言ってエルは、なぜか私たちの足元を指差した。

 その指先を辿ると……蜘蛛のような、脚の長い小さな何かが蠢いていた。


「…………蜘蛛? ロボット?」


 それは、胴体は缶詰めのようなタブのついた、背の低い円柱形。その缶詰めの側面からはえているのは、細長い、黒くて節のある脚が六本。それぞれが一本ずつ、細かく動いている謎の物体だった。


「そう。蜘蛛の形の、探索機だよ。ソレイルは遠くにいたまま、それを動かしているんだ」

「マジ⁉︎ そ、それはハイテク・ハイカラ・ハイブロー‼︎」


 彼はクスリと微笑んだ——のも束の間。彼は再び道路を見下ろして、すぐに真剣な顔になってしまった。


「よし。アルカ、好きなタイミングで行っていいよ」


 大きくて暖かい手が私の背中に置かれた。

 すると、何かに気がついたように、彼が急に振り向くと、柔らかく、目を細めて笑った。


「大丈夫。僕がサポートするから」


 私は力強く頷いた。

 そして、いつも彼がそうしたように、前傾姿勢で屋根を勢いよく蹴る。

 そうするとあっという間に、目標物が目の前に迫った。


 ——ザクッ!


 銀色の巨体。その胸に槍を突き刺した。


 ——バキンッ!


 私の槍の先端で、ハイジンの核が割れる音がした。

 私が顔を上げると、もう一体のハイジンと目が合った。


『……イポカーシス(撤退しろ)


 人間の肉声に近いような、意識すればそれとは少し異質なような声が、その巨体から発声された。


 彼の手には、モコモコした毛に覆われた、天生物が抱えられ——いや、摘み上げられている。

 このままアルカディアの手に渡したら…………あの天生物は、確実に、ハイジュウにさせられてしまう!


 逃すまいと私は状態を右へ傾ける。そうすると、ふとなにかが気になった。


 ——もう一人、『悪魔』がいない。


 今この場にいるのが、倒れたハイジンと起きているハイジンの二体のみ。

 確か、屋根から見ていた時は、彼らの他にもう一人いたはずだったのだ。


「…………気になるけど、とりあえずは!」


 私は槍を構え直す。次の突きは躱されてしまった。連続でそう上手くいくわけがない。


「………っくぅぅぅっ‼︎」


 私はすかさず方向転換し、もう一度攻撃を試みる。



「——ダメだ! アルカ、止まれ!」



 不意に、どこからか声が聞こえた。

 エルの声だ。ハイジンを跨いで、私の前方にいるようだ。


 なぜ彼が止める? ハイジュウの発生阻止は彼らの大事なミッションの筈じゃ……


「アルカ! ゲートが開いてる!」


 またエルが叫んだ。


「……ゲート……?」


 私が辺りを確認すると、ハイジンの進行方向に、黒い穴のようなものが空中にできているのを見つけた。なるほど、あれは確かにゲートだ。


 ゲートとは、今いるところから家や基地に瞬間移動することができる、魔法で作った、トンネルのようなものだ。

 恐らく、ハイジンが逃げる為に作ったものだろう。つまり、向こう側はアルカディアの基地かどこかに、繋がっている筈だ。


 このままハイジンに帰られたら——天生物も巻き込まれてしまう!


「絶対逃すかァァァァァァァァッ!」


 私は、迷わずハイジンの胸部目掛けて飛びかかり、槍を突き刺す。


 今度は、きちんと刺さったようだ…………だが、問題はそのあとだった。

 慣性の法則。私と天生物は、衝撃の方向に、そ、あくまでも重力にのっとって————



「アルカ‼︎」



 ——ハイジンと一緒に、暗いゲートの中に、呑み込まれてしまった。


「の、のわあああああああああああああああ⁉︎」

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